

浅田文学の傑作小説を、中村雅俊を主演に迎えて映像化
孤独を抱えながら昭和の復興期を生きてきた男が、謎の美女たちに連れられ、自らの過去をさまようことに。
謎の美女たちは何者なのか・・・。そして目的は・・・。
忘れようとしていた記憶、女性たちの言葉、すべての点がつながった時、物語は感動のクライマックスを迎える――。
ノスタルジーとミステリーの入り混じる世界感を4Kでダイナミックに描く。
【あらすじ】
商社マンとして65歳で定年を迎えた竹脇正一は、送別会の帰りに地下鉄の車内で倒れ、病院の集中治療室に運びこまれる。正一の妻の節子、同期で社長まで上りつめた堀田、同じ養護施設で育った永山、永山の弟子として働く娘婿の和志、それぞれが問わず語りに意識の戻らない正一に自らの思いを吐露していく。一方、正一本人は、ベッドに横たわる自分の身体を横目に、謎の美女に連れられるまま病院を抜け出し、思い出の場所を巡るという奇妙な体験を重ねていく。命の終わりに人生を振り返る旅のようなものなのだろうか・・・。孤児という出自から来る孤独を無理やり忘れ、父として夫として懸命に生きて来た人生。その人生の終盤、正一は予想もしていなかった過去と向き合うことに。
生活のために働き、会社を勤め上げた者、そのサラリーマン人生を支えた妻、父の背中を見て育った子供たち。そんな皆の心を、やさしくほぐす物語。
【浅田次郎さんコメント】
映像化を意識して小説を書いたおぼえはない。だにしても「おもかげ」は、脚本においても演出においても演者にとっても難しい作品であろう。まず生と死の対峙(たいじ)という主題が観念的であり、現実の場面は集中治療室のみで、メインストーリーは記憶と妄想によって構成される。しかし、難しいからこそすばらしいドラマになりうると思う。くしくも竹脇正一君と演ずる中村雅俊さんと不肖浅田次郎は、同じ昭和二十六年の生まれ。語り合わずともたがいの人生は理解できる。
4Kドラマ「おもかげ」
【放送予定】
BS4K 2023年3月下旬予定(119分)
【原作】
浅田次郎「おもかげ」
【脚本】
吉田康弘
【音楽】
富貴晴美
【出演】
中村雅俊 ほか
【制作統括】
盛夏子(アミューズ)、神林伸太郎(NHKエンタープライズ)、小林大児(NHK)
【演出】
小林聖太郎