

原作・平野啓一郎、出演・柄本佑×鈴木杏×阿部サダヲ
「あなたは亡くなったんです、3年前に」
ある日突然、身に覚えのない己の死から復活した男。
会社の屋上から転落したというが、全く思い出せない。
最愛の妻と幼い息子を残して、なぜ自分は死なねばならなかったのか……?
答えを追い求める男がたどりつく真実とは……。
原作は、近年映像化が相次ぐ芥川賞作家・平野啓一郎が東日本大震災直後に発表。
「もしも亡くしたはずの大切な人にもう一度会えたら」という着想から執筆され、今またパンデミックを経ていっそう心に響く作品です。
ドラマ化に当たっては、日本映画界に話題作を次々と送り出す人気脚本家・高田亮と、柄本佑、鈴木杏、阿部サダヲほか名優たちが集結。
生きるとは何か、幸せとは何か……?
今を生きる全ての人々に、本格派のヒューマン・サスペンスをお届けします。
【あらすじ】
ある夜、土屋徹生(柄本佑)がふと目覚めると、そこは会社の会議室だった。
いつものように家に帰ると、妻の千佳(鈴木杏)が言葉を失いおびえているようで、様子がおかしい。
そこへ1歳だったはずの息子が起きてくるが、どう見ても4歳にはなっている。
やがてひとりの役人が訪ねて来てこう言った――「あなたは亡くなったんです、3年前に」。
テレビやネットには、死んだはずの人間が世界中でよみがえっているというニュースがあふれていた。
だが徹生には死の記憶がない。会社の屋上から転落したというが、事故・自殺、どちらも身に覚えがなく釈然としなかった。
もしや――生前、何かにつけてつきまとって来たあの男・佐伯(阿部サダヲ)に殺されたのではないだろうか?
徹生の会社の警備員をしていた佐伯は、格差と孤独への恨みを徹生にぶつけ、嫌がらせを繰り返していた。
深まる謎を前に、答えを追い求める徹生。だが千佳は何かを隠しているようだ。
徐々に解き明かされていくそれぞれの心の闇。
徹生たちは、もう一度人生をやり直せるのか。
そして、その果てに見いだす真実とは……?
【コメント】
◆原作・平野啓一郎さん
コロナに戦争と、人間の命について考えさせられるような出来事が立て続けに起きています。この作品は、死んだ人間が次々に蘇る、という突飛な物語です。もし自分が死んで生き返ったなら、愛する人が生き返ったなら、まず何をしたいでしょうか? 主人公も「復生者」の一人ですが、彼は自分の突然の死の真相を探る過程で、私とは何かと問い、愛する人たちとの関係を見つめ直し、仕事の意味について考えます。
「幸福」とは何でしょうか? この在り来たりな問いに向かい合うべき時でしょう。
◆脚本・高田亮さん
この小説を読んだ時、2012年に書かれた物語が、コロナ禍が長引く今にこそ必要な内容であることに驚きました。作者の平野啓一郎さんは、いずれ世の中が行き詰まり、普通の生活すら困難になっていくことや、多くの人が生きていく上で救いが必要になることがわかっていたに違いありません。私自身、この物語を読むことで気持ちが楽になりました。
ドラマになることで、多くの方の気持ちが楽になることを願っています。
◆土屋徹生役 柄本佑さん
いきつけの喫茶店のマスターに「はいどーぞ」と文庫を渡されたのがこの小説との出会いです。あれから3年。まさか自分が土屋徹生をやるとは思ってもいませんでした。不思議な縁に緊張しています。
高田亮さんのシンプルイズベストかつどこか色気の漂うホンにとても大人な世界を感じています。地に足をつけて、頑張ります。
◆土屋千佳役 鈴木杏さん
サスペンスから始まってやがて人間の本質的なところにたどりついていくこの作品は、色んな色を持っていて、どこへ連れて行かれるか予想できない面白さがあります。
生とは、死とは、夫婦とは……様々なテーマを、押し付けではなく受け取り方をゆだねるような優しさや温かさとともに、お届けできたらと思います。
◆佐伯役 阿部サダヲさん
僕の演じる佐伯は風貌も変わっていて、出て来たとたんに周りを異様な雰囲気にすると思います。
でも意外に核心を突いたことを言っていて、回を追うごとに人間性も見えてくると、実は今の社会や人間のことをよくわかっている人なんじゃないかと感じられるキャラクターです。
佐伯とは一体何者なのか……?皆さんにも色々想像しながら見て頂ければと思います。
土曜ドラマ『空白を満たしなさい』
【放送予定】
2022年6月25日(土)スタート <連続5回>
よる10時~10時49分 [総合]
【原作】
平野啓一郎「空白を満たしなさい」
【脚本】
高田亮
【音楽】
清水靖晃
【出演】
柄本佑 鈴木杏 萩原聖人 渡辺いっけい うじきつよし 藤森慎吾 ブレーク・クロフォード
風吹ジュン 阿部サダヲ ほか
【制作統括】
勝田夏子(NHKエンタープライズ) 落合将(NHK)
【演出】
柴田岳志(NHKエンタープライズ) 黛りんたろう