勝負の第2戦へ ”なでしこ”問われる対応力

”パリオリンピックへの道は容易ではない”

そう思わせるには十分すぎるほどの第1戦でした。サッカー女子の日本代表“なでしこジャパン”は、今月24日、サウジアラビアで北朝鮮と対戦し0対0で引き分けました。試合内容は北朝鮮に主導権を握られ、日本はかろうじて引き分けた形でした。第1戦を振り返り、パリオリンピックの切符がかかる勝負の第2戦のカギを探ります。
(※2024年2月26日スポーツオンライン掲載)


”想定外”の第1戦


試合前、北朝鮮は前線からプレッシャーをかけてボールを奪い、奪った後は日本のディフェンスラインの裏に大胆にロングパスを蹴ってカウンターを仕掛けてくることが予想されました。

しかし、第1戦で北朝鮮はディフェンスラインに選手を5人並べて引いて守り、前線から積極的にボールを奪いにくることはほとんどありませんでした。そして、ボールを持つと、中盤の選手が短くパスでつないで攻撃を組み立てるなど“想定外”の戦術をとってきました。

予想と違った相手の戦い方にフル出場した司令塔の長谷川唯選手は「もっと簡単にロングパスを蹴ってくると思っていたので、最初は少しプレッシャーをかけにいけない部分があり、簡単につながれてしまった。攻撃の面でも全く形を作れず、個人でひとつ打開できるかどうかという試合になってしまった」と振り返りました。

「なんとか引き分けに持ち込んだ」

そんな表現がぴったりな、日本にとっては反省の多い第1戦となりました。

問われる対応力 第2戦のカギは


第1戦は引き分けに持ち込んだ日本ですが、第2戦は磨いてきた「対応力」が問われることになります。

去年11月と12月に行ったブラジル遠征。アジア最終予選を見据えて、同じ相手とたて続けに2試合行う日程が組まれました。
その1戦目。体の大きなブラジルを相手に間合いを詰め切れず、4点を奪われて敗れました。

中2日で迎えた2戦目。日本はサイズのある選手には人数をかけて守り、早い段階からプレッシャーをかけてくる相手に対して立ち位置を工夫して回避するなど、1戦目で出た課題を修正して2対0で完勝しました。

アジア最終予選、ホームで行われる第2戦は、中3日で今月28日に行われます。

長谷川選手は「相手も自分たちが対応してくることを想定していると思うので、その準備を上回ることができるかだ。戦術も含めて相手がこうしてきたらこうしようという1個先を読んだ準備ができれば勝つチャンスは大きくなる」と話しました。

勝ったほうがオリンピックの出場権を得る大一番を前に、限られた時間で課題を共有し、再び「対応力」を示すことができるか。北朝鮮との第2戦はなでしこジャパンの真価が問われる試合になります。


この記事を書いた人

福島 康児 記者 2015年入局
名古屋局、大阪局を経てスポーツニュース部

元高校球児も現在は主にサッカーやフィギュアスケートを取材
世界的プレーヤーのアンドレス・イニエスタ選手の密着取材などを通して日々サッカーの奥深さを勉強中です