ニュース速報

どう備える?「自宅療養」

NHK
2021年9月7日 午後10:07 公開

自宅療養 頭をよぎる「急変」

タレントの小堺翔太さん ことし8月 新型コロナウイルスに感染し自宅療養を経験

小堺さんが体調の異変に気付いたのは、8月3日。倦怠感と発熱の症状があったため、翌日の4日にPCR検査を受けたところ、結果は陽性。10日間の自宅療養生活を送ることになりました。熱は39度台の後半まで上がり、せきがひどくて眠れない日もあったそうです。

小堺さん「高熱が出だした頃から、せきが断続的に1分近く出るのが夜中じゅう続きました。これでも軽症といわれましたが、急変してこのまま治らないかもしれないという不安が常にありました」

小堺さんは、感染が判明したあとは、基本的に部屋に閉じこもり、使うトイレも家族と分けるなど、できる限りの感染対策を取りました。対策が功を奏したのか、同居する家族にはうつらずに済んだそうです。

「急変」とは? 兆候は?

小堺さんのほかにも、今回、自宅療養の経験者の方々に取材でお話を伺うと、高熱が続く中で「急変」という言葉に恐怖を感じたという声が多くありました。この「急変」について、自宅療養に詳しい医師の佐々木淳さんにお話を伺いました。

医師・佐々木さん「短時間のうちに症状が急激に悪化するケースは決して多くはありません。基礎疾患がある人は、まれに急激に悪化することもあるので注意が必要ですが、多くの場合、2日から3日かけて血液中の酸素飽和度の低下とともに症状が悪化していくケースが多いようです。高熱やせきはしんどいですが、それだけで命にかかわることは多くありません。ですが、肺など呼吸器の症状が悪化すると命にかかわります。血液中の酸素飽和度の値をこまめにチェックすることが大切です」

自宅療養の“命綱” パルスオキシメーター

自宅療養中、自分自身の状態を把握するための“命綱”としての役割を果たすのがパルスオキシメーター。肺が酸素をきちんと取り込めているかを数値で確認することができます。

厚生労働省によると、血中の酸素飽和度の値が96%以上だと軽症。96%から93%の間だと中等症Ⅰに分類されます。これは、せきや息苦しさはありますが、人工呼吸器などで酸素を吸入する必要はない状態だとされています。93%を下回ると中等症Ⅱになります。保健所やかかりつけ医などに連絡し、適切なケアを求める必要があります。

基本的な使い方は簡単です。装置に指を入れるだけで手軽に心拍数と血中の酸素飽和度を測ることができますが、できるだけ誤差が少なく正確な値を測るためには注意点もあります。

・爪が中心にくるように指を入れる
・測定中は手を動かさない
・数値が安定するまで1分ほど待つ
・指先の冷え 濡れ ネイルアートなどは測定がうまくいかない場合も…
・毎日必ず測る

測定の頻度やタイミングについて、医師の佐々木淳さんに伺いました。

医師・佐々木さん「基本的には、体温と同じように朝昼晩、食事のときなどに測定するのが良いと思います。ただ、息苦しさなどの自覚症状が無いのに、酸素飽和度の値がどんどん下がって悪化していくというケースもあります。ですので、たとえ息苦しさがなくても安心せず、毎日1回から2回は測ることをおすすめします」

「自宅での療養生活」誰に相談すれば……

番組には、自宅療養を経験された方から「自身の体調についてどこに相談すればよいのかわからなくて不安だった」という声が多く寄せられました。小堺さんも、5日間にわたって保健所からの連絡がもらえなかったとき、体調について誰にも相談できず、不安がつのっていったそうです。

医師・佐々木さん「基本的には保健所に相談することになっています。ただ、感染状況によっては、業務がひっ迫して、すぐに対応してもらえないこともあります。そういう場合は、かかりつけ医や、今まで受診したことのある医療機関に連絡して相談してみても良いと思います。それでも対応してもらえない場合は、オンライン診療も選択肢に入れてみてください。いま、新型コロナに関しては、初診からオンラインで対応してもらえるようになっています。ネットなどでオンライン診療をしている医療機関を検索してみるのもひとつの方法だと思います」

食事・飲み物・寝方など どうすれば良いのかわからないという声も多く寄せられました。小堺さんも、味覚に異常が出て何を食べてもおいしく感じられず、特に食事に困ったといいます。

医師・佐々木さん「新型コロナに感染すると、嗅覚障害や味覚障害に加えて、吐き気や下痢など消化器の症状が出る人も多いことがわかっています。回復のためには、体力が必要なので、いかにエネルギーをとるかが重要だと思います。私が個人的にオススメしているのは、アイスクリームやチョコレートなど、少量でもカロリーがとれて口当たりがいいものです」

飲み物については、塩分と水分を両方とることが重要だそうです。スポーツドリンクのほか、お茶に梅干しを入れるなどして工夫したという声も自宅療養を経験した方から寄せられました。

寝方については、とくに息苦しさ感じたときには、うつ伏せになったり、クッションなどを抱いて斜め下を向いたりすると少し楽になることが多いそうです。

療養生活を振り返って 小堺翔太さんは……

小堺さんは療養生活を振り返って、伝えたいことがあるといいます。

小堺さん「イメージしていたよりも、軽症でもとにかくしんどかったし、体だけではなくて、気持ちの部分も家族のことや仕事のことなどで気に病む病気だと感じました。まだかかってない方は、自分の身を守ることを改めて考えてほしいと思います。私の経験が、皆さんの“もしもの時の備え”になればいいなと思います」

緊急性の高い症状とは?

視聴者のみなさんからは「緊急性の高い症状をどう見分ければ良いのか?」について、多くの質問を頂きました。

医師・佐々木さん「血中の酸素飽和度の値が90%を下回ったら救急車を呼んでいただきたいと思います。また、自覚症状として一番大事なのは“息苦しさ”です。呼吸回数が2秒に1回を超えるような速い呼吸になる。全速力で走ったあとのような息苦しさを感じた場合も、すぐに救急車を呼んでください。また、療養中のご家族を見守る立場の方は、“呼びかけても反応が悪い”とか、“顔色が明らかに悪い”といった場合は救急車を呼んでください。救急車が来てくれれば、酸素吸入などの処置を開始することができます」