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「自宅療養」を支える取り組み

NHK
2021年9月15日 午後1:16 公開

自宅療養 医師に相談できない不安

9月14日現在、厚生労働省の発表によると、全国で10万人以上の方がいまだ自宅療養を余儀なくされています。

自宅療養中の方が特にどんなことに不安を感じていらっしゃるのか?先月、自宅療養を経験された40代の男性の方にお話を伺うと、「医師と相談したいのにできないことが不安だった」といいます。

この方は、妻とともに自宅療養をしていましたが、療養期間中は、高熱が1週間以上続くこともあったそうです。保健所とは連絡がとれていましたが、専門の医師などに診てもらったり、症状について相談したりすることができず、不安が募ったといいます。

こうした「医師と相談したいのにできない」という不安の声は、番組にも数多く寄せられています。

気になる症状 オンラインで医師に相談

実はいま、全国で新型コロナに感染して自宅療養中の方を対象とした「オンライン診療」が行われています。

いち早く取り組みを始めた東京都品川区の場合、保健所が「医師の診察が必要」と判断した自宅療養者の携帯電話番号宛てに、ショートメールで専用のURLを送付します。受け取った人は、パソコンやスマートフォンからそのURLアクセスし、症状などを書き込めば受付完了となります。その後、自分の順番になると、オンラインで顔を合わせて医師の診察を受けられるという仕組みです。さらに、薬剤師会とも連携していて、処方が必要な場合は薬を自宅に届けてもらうこともできます。

この取り組みは、東京都品川区に限りません。東京都医師会によると、今後、都内全域で同様の取り組みを広げていきたいということです。また、奈良県と県の医師会では、自宅療養者が直接連絡できるオンラインや電話診療に対応した医療機関のリストを、現在まとめているとのことです。

オンライン診療 受ける場合の注意点は?

全国の自治体で広がる「オンライン診療」の取り組み。オンライン診療を受ける際に、患者側はどのような点に気を付けるとよいでしょうか。自宅療養に詳しい医師の佐々木淳さんによると、2つのポイントがあるといいます。

① 何がつらいのかを具体的に伝える

医師・佐々木さん「オンライン診療は、対面診療に比べて状況がどれだけひっ迫しているのかが伝わりにくいです。今どのような症状なのか、例えば食事ができないとか、呼吸が苦しいとか、何がつらいのかを具体的に伝えることが大切です。症状がひどい場合はオンライン診療で完結せず、往診・入院や、救急車を呼ぶ必要があるか見極めてもらえます」

②服用中の薬の情報を伝える

医師・佐々木さん「薬には“飲み合わせ”という薬どうしの相性がありますので、今飲んでいる薬を医師に伝えてください。あわせて、持病や、これまでのアレルギーのことなども伝えてもらえると判断の助けになります。お持ちの方は、手元に“お薬手帳”を用意しておくと、詳しい情報をスムーズに医師に伝えることができると思います」

オンライン診療を受けられない方は?

しかし、自分の地域にオンライン診療の取り組みがなかったり、ネットに慣れていなかったりする場合は、どうすればよいのでしょうか。

医師・佐々木さん「もし、何らかの持病があって“かかりつけ医”がいる場合は、電話して相談してみることをおすすめします。また、もし、“かかりつけ医”がいない場合は、診察券を持っている、受診歴のある病院などに電話をしてみることもひとつの方法だと思います」

実はいま「電話診療」も認められています。電話で処方箋を出してもらうことができ、さらに、薬局から薬を家に届けてもらえる、という仕組みが機能している地域もあるそうです。

医師・佐々木さん「もし地域に対応してくださるお医者さんがいないが、具合が悪いという場合は、ちゅうちょせず自分で病院にかけたり、場合によっては救急車を呼んだりしていただいて構わないと思います」

自宅療養 日常生活を支える取り組みも

自宅療養の際、いつも通りの日常生活が送れなくなって困ったという声も、番組に寄せられています。

家族全員が感染したという40代女性の例です。女性が自宅療養中に一番困ったのは「買い物に誰も行けなかったこと」だといいます。特に、おでこにつける冷却シートがなくて困った、とのこと。ほかにトイレットペーパーや生理用品などが足りずに困ったという方もいらっしゃいました。

そのような悩みに答えるため、「買い物代行」のサービスを始めた地域もあります。

神奈川県海老名市の場合、自宅療養者が必要なものを市の職員に伝えると、職員が地域のスーパーなどに手配。必要なものを玄関先まで届けて「置き配」してくれるという仕組みです。このサービスは、家族全員が感染していたり、一人暮らししていたりする場合など、まわりのサポートが得られない場合に利用できます。

さらに、自宅療養中は動くのがつらく、「ゴミ出し」をするのが難しいという声もあります。仮に日常の動作に支障は無くても、まわりの人に感染を広げないようにという配慮から、ゴミ出しをためらうケースも実際にあるといいます。そこで「ゴミ出し代行」支援が始まった自治体もあります。大阪府富田林市の場合、玄関前にゴミを出すと、市の職員が回収して直接クリーンセンター(ゴミ処理施設)まで運んでくれるということです。お住まいの自治体で支援が受けられるかは、役所などに「自宅療養の支援について知りたい」と連絡すると、その有無を確認することができます。

住んでいる自治体に支援がない場合は……?

もし、住んでいる自治体に生活に関する支援がない場合どうすればよいでしょうか?家族全員が感染し、買い物などにも行けずに困ったという40代女性の方は、友人などを頼って乗り切ったといいます。

この方の場合、急ぐものは友人に頼んで、玄関先に置き配してもらったそうです。また、2~3日後でも大丈夫なものは「ネットスーパー」を活用。自宅療養をなんとか乗り切ったそうです。

いざという時のために 1か月分の備えを

自宅療養になってから慌てないために、今のうちから備えておくといいことは何でしょうか。自宅療養に詳しい医師の佐々木淳さんは、想像以上に長期間に及ぶため、日用品をある程度多めに購入しておくことが大事だと指摘します。

医師・佐々木さん「在宅隔離期間は最短でも発症から10日間あります。濃厚接触の方は2週間。中等症以上だと3週間以上になることもあります。私が往診した患者さんの中には『ティッシュがない』『トイレットペーパーがない』『生理用品がない』といったことでお困りの方が多くいらっしゃいました。ですから、こういった日用品が不足しないように、1か月分くらいは蓄えておくと安心だと思います。また、体温計はめったに使わないという方が多いと思います。いざ使おうとすると電池が切れていることも実際にあります。体温計が使えるかどうかは事前にチェックしておくことも強くおすすめします」