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子どもも注意 新型コロナ”後遺症”

NHK
2021年9月30日 午後6:10 公開

収まりつつある “第5波” その一方で…… 

9月に入り、“第5波”は収まりつつありますが、いま“後遺症”外来に訪れる人の数が増えつつあります。東京・世田谷区が9月に発表した調査によると、感染者の半数近くが何らかの“後遺症”を訴えていることがわかりました。さらに、感染歴のある10代の子どもの30%に何らかの“後遺症”や体調不良がみられるといいます。

これまでの研究で、新型コロナ“後遺症”は、味覚や嗅覚の障害だけでなく、ひどい物忘れや消化不良など、20種類以上にも及ぶことがわかっています。

その一方、様々な診療科が協力することで成果をあげている病院もあります。“後遺症”治療の最前線の医師に、受診のポイントや、特に子どもで注意すべき症状などについて詳しく伺いました。

“コロナ アフターケア外来”の取り組み

岡山大学病院は今年2月、全国に先駆けて“コロナ・アフターケア外来”を開設。この外来ではすでに100人近くの“後遺症”患者をケアしてきました。副病院長で、総合内科・総合診療科 教授の大塚文男さんに、この外来で大切にしているポイントを教えていただきました。

最も大切にしているのは、問診に時間をかけることだといいます。特に、初診時には1時間ほどかけるそうです。現在どんな症状で悩んでいるのかだけでなく、様々な角度から体調不良の原因を探っていく必要があるからです。

感染後の療養中の詳しい症状や、使った薬剤。持病の有無やこれまでの病歴。さらに、患者が置かれている生活環境や家庭事情などについてまで詳しく話を聞いていきます。できるだけ丁寧に問診をすることで、患者の症状をより詳細に把握することができ、効果的な治療につなげていくことができるそうです。

加えて、岡山大学病院の“コロナ・アフターケア外来”では、他の診療科との連携にも力を入れています。皮膚科・耳鼻咽喉科・精神科神経科など様々な専門医とタッグを組んで治療に臨むことで、様々なアプローチから症状の改善を目指すことができるといいます。

岡山大学病院 副病院長 総合内科・総合診療科 教授 大塚文男さん
「新型コロナの“後遺症”は、例えば“けん怠感”や“物忘れがひどい”など、外から見てわかりづらい本人の自覚症状が中心です。そのため、専門の医師でも診断が難しいのです。また、感染して療養中に使った薬剤の影響、隔離生活などによるストレスといった様々な要因が複雑に重なりあって体調不良が引き起こされていると考えられます。だからこそ、患者さんと真摯に向きあうことが大切だと思います」

“後遺症” 子どもにも……

新型コロナの“後遺症”。決して、子どもも無縁ではないことがわかってきました。9月に発表された世田谷区の調査によると、感染歴のある人のうち、10代で30.2%。10歳未満で14.3%が“後遺症”とみられる何らかの体調不良を訴えているといいます。

これまでに100人以上の子どもを診療してきた“後遺症”に詳しい医師の平畑光一さんは、子どもの場合、大人とは少し傾向が異なると感じています。

「子どもの場合、もちろん全身のけん怠感なども見られはするのですが、脈が速くなる・下痢をする などの症状が多いと感じています。また、私がみる限り、症状が長期化してしまうことが多いように思います」

子どもにとっては、自分の症状を適切に言葉にして伝えるのは非常に難しいことのため、できるだけ早く適切な治療を受けるためには、“周囲の気付き”が特に大切だといいます。

“後遺症”外来 医師 平畑光一さん「お子さんが、普段だるくならないことで、だるくなっていないか気を配ってほしいと思います。例えば、ゲーム・漫画・スマホなど、その子が好きだったはずのものが楽しめなくなっている場合には注意が必要です。実際、そうした小さな違和感に親御さんが気付いて受診につながったケースも多くあります」

特に10代の子どもに注意 MISーC

さらに、厳密には“後遺症”とは異なるとされていますが、特に10代の子どもの場合には、MIS-C(ミスシー・小児多系統炎症性症候群)という全身の重い炎症を伴う症状も報告されています。発生頻度はごくまれとされていますが、アメリカなど海外では死亡例もあるそうです。

感染症に詳しい小児科医の中野貴司さんによると、新型コロナ感染の2週間~8週間後に発症し、重症化してしまうこともあるといいます。

中野さんによると、治療法はあるとのことです。免疫グロブリン療法や、ステロイドの投与といった免疫の暴走を抑える治療で症状は改善するそうです。

ただ、このMIS-Cの場合、症状が急速に悪化することがわかっています。そのため、特に感染歴のある子どもが体調不良を訴えたときには、ためらわずに小児科を受診することが必要だということです。

“後遺症” 受診のポイントは?

「もしかして“後遺症”かも……?」という場合にはどうすれば良いのか?“後遺症”に詳しい岡山大学病院の大塚文男さんによると、まずは、かかりつけ医(主に内科)を受診するのがよいそうです。持病の有無や、過去の病歴など、治療に必要な情報をゼロから詳しく調べるのは病院・患者どちらにとっても負担が大きいためです。かかりつけ医の紹介で、“後遺症”外来を受診するほうがスムーズに治療が進むことが多いといいます。

もし、かかりつけ医がいない場合には、自治体が設置しているコールセンターなどに相談すると、保健所などから適切な病院を紹介してもらえるケースもあります。また、症状が重たい、外出がつらい、という場合にはオンライン診療や電話診療も有効とのことです。

ただし、初診の場合は、できれば対面診療がよいとも大塚さんはおっしゃっていました。問診に加えて、血液検査やCTスキャンなどの精密な検査も行えるため、より適切なアプローチで治療に臨めるためです。

“無理をしない・させない” 周囲の気づかい

今回、取材させて頂いた専門医の皆さんが共通しておっしゃっていたのが、“後遺症”の可能性がある人に対しては、“無理をしない・させない”こと。無理に運動をして症状が悪化してしまったケースも少なくないといいます。また、“後遺症”を診療できる病院・地域のクリニックも増えつつあります。感染後に異変を感じた場合には、ためらわずに医療機関を受診することも大切だということです。

視聴者のみなさまからの質問

番組には、新型コロナの“後遺症”に関連して、たくさんの質問・メッセージを頂きました。

Q.新型コロナに感染後、療養中は無症状だった人にも“後遺症”が出ることはありますか?

実際にあることがこれまでの研究でわかっています。無症状といっても、自覚症状が無いだけで、精密検査を行うと、腎臓・肝臓・肺・血管などがウイルスの感染によるダメージを受けているケースが実際に世界各国から報告されています。感染で受けたダメージをきっかけに持病が悪化してしまう可能性や、隔離によるストレスなどで体調不良が引き起こされる可能性もありますので、いわゆる“無症状”の方も注意が必要です。

Q.37.5℃くらいの微熱が続きます これも“後遺症”?

岡山大学病院の大塚さんに伺ったところ、実際に、微熱が長く続くようなケースもあるそうです。ただ、その場合、“後遺症”というよりは、感染自体が続いてる可能性も否定できないといいます。加えて、他の持病やストレスなども関係している可能性があるので改めて医療機関の受診を検討してほしいとのことでした。

Q.“後遺症” がワクチン接種で改善したという情報をSNSで見ましたが本当?

こちらも、岡山大学病院の大塚さんに伺ったところ、実際にワクチン接種後に症状が改善したケースはあるそうです。ただ、逆に、接種後に悪化したケースもあるといいます。メカニズムはまだわかっていないため、現段階では“後遺症”を治す目的でワクチンを接種することは勧められないとのことです。