新型コロナワクチン3回目接種 効果は?

NHK
2022年2月21日 午後3:07 公開

全国的にオミクロン株の感染が拡大する中、新型コロナワクチンの3回目接種が始まっています。

そうした中、番組には日々、視聴者の皆さんからワクチンの効果や副反応について、質問が寄せられています。

そこで今回あさイチでは、国内外で研究をリードする、免疫学やワクチンの専門家7人に、3回目接種やワクチンについて様々な質問を行いました。

■感染予防効果は?

まずは、3回目接種の「感染予防効果」についてです。

専門家の皆さん、意見が一致していて、

「若干期待はできるが、感染拡大は防ぎきれない」ということでした。

イエール大学医学部免疫学部教授の岩崎明子さんは、

「変異の大きいオミクロン株に対しても、3回目接種を受けた人の血液を調べると、中和抗体がぐんと高まっているのが見られます。実際、3回目接種を受けた人はワクチンを打たない人と比べて免疫効果がオミクロン株においても成果が出ています。思ったよりも期待できます」と、指摘します。

(画像:イエール大学 岩崎明子さん)

また、国立感染症研究所インフルエンザ・呼吸器系ウイルス研究センター長の長谷川秀樹さんは、オミクロン株が流行している今だからこそ、接種が重要だと指摘します。

「3回目接種直後の抗体価が高い間は発症予防も多少期待できます。しかし現在のワクチンで誘導されるオミクロン株に対する血中の中和抗体は約2か月半しかもたないことが分かっています。現在目の前にある感染の波に対しては一定の感染予防効果が期待できると思いますので、3回目を打つなら目の前に感染の波がきている今だと思います」

(画像:国立感染症研究所 長谷川秀樹さん)

ただ、オミクロン株に対して、十分な感染予防効果があるのかというと、そうではないようです。

順天堂大学大学院教授の堀賢さんは、

「3回目のワクチン接種をすると、感染予防効果は 48.4 %まで改善しますが、オミクロン変異株の性質(抗原性)が変化しているために、これ以上の予防効果は得られません。流行のコントロールをするには不十分です」

(画像:順天堂大学大学院 堀賢さん)

順天堂大学医学部客員教授の伊藤澄信さんは、次のように指摘します。

「従来株(武漢株)に対するものほど、有効率は高くないことは明らかになっていますが、有効性がないわけではないと考えます。ただ、現在の流行である、小児から家族の感染は、ワクチン3回目接種をしても防ぎきれない」

(画像:順天堂大学 伊藤澄信さん)

■発症・重症化予防効果は?

では、「発症予防効果」や「重症化予防効果」はどうでしょうか?

専門家の皆さんの見解は一致していました。

「接種で確実にリスクが下がるため、万が一のためにも接種は推奨。特に高齢者や免疫不全などの基礎疾患がある人には、積極的に接種をおすすめしたい」とのことです。

中でも、国立感染症研究所の長谷川秀樹さんは、

「オミクロン株の感染後に亡くなる人で多いのは、基礎疾患の増悪や、終末期の最後の一押しになってしまっているケースが多いようです。その場合、重症化にはカウントされずに、いきなり死亡となります。かからないに越したことはありません」

と、付け加え、接種の意義を強調していました。

比較的重症化しにくい、といわれている若年層に対しても、個人の発症・重症化予防、医療のひっ迫の回避の二つの観点から、接種に大きなメリットがあるということでした。

■二次感染を防ぐ効果は?

では、他人にうつしにくくなる効果、

すなわち「二次感染を防ぐ効果」はどうでしょうか? 

こちらも、専門家の方々の意見は一致していて、「ある程度期待できる」そうです。

3回目接種をすることで、せきなどの症状をおさえられれば、それだけ他人にうつすリスクも低くなるそうです。

ただその場合も、マスクの着用や換気などの3密回避で、感染対策を徹底することは継続して行ってほしいとのことでした。

■番組に寄せられた質問も伺いました

専門家の皆さんには、番組に寄せられた、こんな質問も伺ってみました。

「Q. オミクロン株は無症状や軽症が多いと聞きますが、副反応の辛さを考えたら感染した方が楽でしょうか?」

免疫学の専門家で、大阪大学教授の荒瀬尚さんは、

「他人にうつすリスクもあるうえに、安易に多量のウイルスにさらされると、想像以上に重症化する恐れもある」

と指摘しました。

できるだけワクチン接種や、感染対策を行って、ウイルスにさらされる量を減らすことが大切だ、ということです。

(画像:大阪大学 荒瀬尚さん)

「Q.ワクチンを接種していれば、ブレイクスルー感染した場合も、後遺症の予防効果はある?」

エモリー大学小児感染症科助教授の紙谷聡さんによると、効果は期待できるそうです。

「ワクチン接種者は未接種者に比べてコロナの長期的後遺症による症状の頻度が下がることが示唆されると、イギリスの英国保健安全保障庁の報告にて発表されています。たとえ発症時は軽度の症状であっても、倦怠感や頭痛などの長期的な後遺症に苦しむ人が、ある一定数認められていることを考えると、接種の意義を改めて認識させられます」

ワクチンを接種すると、後遺症のリスクが下がるという研究が今、次々と発表されているそうです。

(画像:エモリー大学 紙谷聡さん)

「Q.3回目接種はオミクロン株用のワクチンを待った方がいい?」

イエール大学の岩崎明子さんは

「動物実験でオミクロン株用のブースターワクチンは従来のワクチンと中和抗体を出す効果がほぼ同じだった。オミクロン株用のワクチンを待つのではなく、より早く3回目の接種を強くおすすめしたい」

と指摘しました。

そのほかにも、専門家の皆さんは、実際に接種できるまでにどれぐらいの時間がかかるか、安全性についても不明瞭だということを考えると、現行のワクチンを接種したほうがいいという見解で一致していました。

「Q.先日、オミクロン株に感染しました。3回目接種はどう判断すればよいでしょうか?」

イエール大学の岩崎さんは、

「高齢者や持病がある人はたとえ感染歴+2回接種完了していても、オミクロン株に対する中和抗体が低いとともに、その期間が短いのでぜひ3回目接種を推薦します」

順天堂大学の伊藤さんは、

「回復者血清の抗体価に比べてワクチン2回接種後の抗体価は高いことが知られています。逆に、回復者血清以上の抗体価が得られるようにワクチンの接種量が決められたと認識しています。また、3回目接種で得られた抗体価の上昇は感染者よりもはるかに高いので、感染者であってもブースター接種をお勧めしてます」

と指摘しました。

一方で、

「すでに2回接種が終わっている場合は、変異株に対しても免疫ができている可能性もあるため、3回目接種を焦りすぎる必要はない」

と指摘する専門家もいました。

「Q.3回目接種は、モデルナではなく、できればファイザーをうちたいです。供給を待つのはどうでしょうか?」

専門家の皆さんの見解は一致していました。

「モデルナとファイザーでその効果と副反応に大きな差はないため、待つ必要はない」

「ワクチンのブランドを選び、その間に感染していては、本末転倒です」

ただ、ワクチンの専門家で、国の委員も務める川崎医科大学教授の中野貴司さんは、自分自身が納得することの必要性を強調していました。

「現状のデータでは、3回目接種をファイザーとモデルナのどちらで接種しても、その有効性や安全性は大きく変わらないと考えられます。ファイザーの接種機会がそんなに遅れないのであれば、その選択でもよいと思いますが、自らが納得して接種することが大切です」

(画像:川崎医科大学 中野貴司さん)