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ワクチン接種 広がる支援

NHK
2021年9月17日 午後9:09 公開

接種したい × 廃棄ワクチン マッチング

なかなかワクチンの予約を取れない人々がいる一方で、ワクチンが余って破棄されてしまうという“ミスマッチ”が全国的に問題になっています。この課題を解決する新たなサービスを、大阪のIT企業が開発し、注目を集めています。

まず、ワクチン接種を希望する人と病院とが、それぞれサービスに事前登録。そして病院で余ったワクチンが出た場合、登録していた接種希望者に順番に連絡がいくという仕組みです。すでに、廃棄される可能性のあるワクチンを希望者に接種できるようにする取り組みは全国で行われていますが、その多くは「早い者勝ち」となっていました。朝からスマートホンでキャンセル情報をチェックし、何十回もチャレンジしてようやく予約できたという声も番組には寄せられています。このシステムを使えば、たとえ時間がかかったとしても、自分の番が来たら携帯電話宛に連絡がくるので、予定さえ合えば確実に接種することができます。

先月、実際にこのサービスを導入した大阪の病院では、廃棄するワクチンのほとんどを接種を希望する方にまわすことができたといいます。

システムを開発したアルカディア・システムズ 和田知也さん「一斉にメールなどを配信して、早い者勝ちにするという仕組みも考えたのですが、どうしてもそうなってくると、常にスマートホンを見ている人しか接種ができない問題点があると思い、今回のシステムを開発しました。このシステムの運用はまだ始まったばかりですが、全国に拡大していくことで、接種を希望するできるだけ多くの方にワクチンを届けられるようになればと思います」

全国に広がる 接種支援の取り組み

いま、「ワクチンを打ちたいのに打てない」という方を支援するための様々な取り組みが全国各地で行われています。

どこでも接種 “ワクチンカー”

大阪・豊中市では、住民が希望する場所で手軽にワクチン接種をできるようにと、キャンピングカーを改造したワクチンカーを作りました。24人以上の希望者を集めることができれば予約できます。希望する場所に無料で来てくれるということです。豊中市によると、商店街や自治会、そして会社などへの派遣を想定しているそうです。

“週末ミッドナイト接種”

東京・港区では、今月からワクチンの夜間接種サービスが始まります。金曜日の午後7時から午前0時まで接種できます。日中は仕事でワクチン接種に行けない人や、副反応が出た場合に備えて休みの前に接種したいという人の利用を想定しているそうです。

“2回目” 予約支援

いま、特にモデルナのワクチンの2回目の予約が取れずに困っているという方が増えています。事情は様々ですが、特に多いのは、「職域接種でモデルナのワクチンを1回接種したものの、体調不良や急用のため2回目接種を延期したら接種期間が終了してしまった」といったケースだそうです。

ワクチンは1回目と2回目ともに同じメーカーのものを接種することになっています(※例えば、1回目にモデルナ、2回目にファイザーやアストラゼネカを接種する、いわゆる“交差接種”は日本では認められていません)。そのため、1回目がモデルナの場合、2回目もモデルナを接種する必要がありますが、自治体での接種では主にファイザーのワクチンが使われているため、モデルナの2回目の予約を取るのが難しいのです。そこで、東京や埼玉では、モデルナの2回目接種を支援するサービスが始まっています。

ワクチン接種時の“保育園”

小さい子どもを育てていて、「仮に副反応が出たときに、誰に面倒を見てもらえばいいのだろう……?」という不安から、ワクチン接種をためらっている人も多くいます。愛知・小牧市の三輪栄さんが運営する保育園では、“副反応託児”という、ワクチン接種にともなう副反応に備えた全国でも珍しいサービスを始めました。たとえ三輪さんの保育園に通っていない子どもでも、分け隔てなく無料でワクチン接種の当日と翌日、翌々日も預かるサービスです。

三輪栄さん「私の保育園の保育士たちがどんどん接種するにあたり、2回目の後の副反応が想像以上に大変ということがわかりました。今の状況で育児できる?と聞いてみたら、全員無理って言ったんです」

利用料は無料。この三輪さんの取り組みを応援したいという地域の方々の寄付や、保育士の資格を持つ方のボランティアで運営しています。“副反応託児”では、通っている子どもとは別の場所で面倒をみるなど、感染対策を徹底した上で行っています。

9月中旬の取材当日も、地域の方々がおむつなどを次々と寄付しに来ていました。中には使っていない空気清浄機を寄付しにいらっしゃった方も。さらに、9月16日放送の「あさイチ」放送後にも、いわゆる“潜在保育士”の方から協力したいという申し出も寄せられたそうです。

三輪栄さん「子育てしながらのワクチン接種は、きっと大変だと思います。でも、ひとりで抱え込まずに、社会で協力しあえるような体制を作っていくべきだと思っています」