オミクロン株 専門家の見解は?

NHK
2021年12月8日 午後6:28 公開

オミクロン株 南アフリカでは?

ヨハネスブルグの様子(12月5日撮影)

いま、オミクロン株の感染が急速に拡大しつつあるヨハネスブルグは一体どうなっているのか?今回、現地に在住する日本人の青木美由紀さんにお話を伺うことができました。

青木さん「これから感染が増えていくことは認識しております。ただ、それがどれだけ重症化されるかということなど、まだ研究の途上にあるので、その辺に関して皆さん落ち着いて静観しているという状況だと思います」

青木さんによると、現地では特にパニックなどは起きておらず、事態を冷静に見守っている人が多いそうです。ただ、学校でのクリスマスのイベントが中止されるなど、感染拡大防止のための措置が始まっているといいます。

さらに、実際にオミクロン株に感染した人の診察も行っている専門家が、私たちの取材に応じてくれました。ワクチン・感染症に詳しい、ウィットウォーターズランド大学のシャビル・マディ教授です。

ウィットウォーターズランド大学 シャビル・マディ教授

シャビル・マディ教授「オミクロン株に感染して亡くなる人もいますが、過去の変異株と比べて極めて少数です。オミクロン株に感染して入院したり亡くなったりしている方の大半は50代以上のワクチン接種をしていない人のようです」

現地では、ワクチンを2回以上接種している人や、既に感染歴のある人がオミクロン株に感染するケースが急増しているとのことでした。

症状についても、これまで報告されている変異株とは少し異なる症例が目立つそうです。

シャビル・マディ教授「せきやのどの痛み、頭痛などの症状で始まって、ときおり関節痛が見られます。味覚や嗅覚の喪失は少ないようです。症状は、季節性インフルエンザに似ています。肺や様々な臓器に深刻なダメージを与えることはないようです」

比較的軽い症状が多く報告されている背景には、ブレークスルー感染(ワクチン接種完了後や感染歴のある人の感染)が多いこと、健康な若い人が感染者の多くを占めることが関係しているのではないか?という見立てでした。

オミクロン株のリスク 専門家の見解は?

12月8日現在、日本ではオミクロン株の市中感染は確認されていませんが、私たちは今後どう備えれば良いのか?日本・世界の第一線で活躍する専門家に伺ったところ、8人の方が、お忙しい中、番組宛てに見解を寄せて下さいました。

オミクロン株 専門家の見解

●感染力多くの方が「デルタ株より感染力が高い可能性がある」とおっしゃっていました。

●重症化リスク 「まだデータが少なく確かなことは言えない」と皆さんおっしゃっていました。ただ、南アフリカのシャビルさんも指摘していたように、イエール大学の岩崎さんは「もし日本で流行した場合には、高齢者の入院・重症患者が増える懸念がある」と指摘しています。また、川崎医科大学の中野さんは、「確かに比較的軽症の患者が多いという報道はあるが、楽観視するのは危険」と警鐘を鳴らしています

●ワクチンの効果
「感染予防効果についてはデルタ株に対してより低下する可能性が高い」・「重症化予防効果はある程度期待できる」と皆さんの見解が一致しました。

(12/9追記)
この点について、アメリカの製薬大手ファイザーとドイツのビオンテックは、8日、共同開発した新型コロナウイルスワクチンのオミクロン株に対する効果について、研究室で行った初期的な実験結果を発表。 それによると、3回目の追加接種を受けた人では、中和抗体の効果は2回接種の場合の25倍になり、従来のウイルスに対する効果と同じ程度に高まっていたとのことです。

●3回目接種の判断また、現在、製薬各社は、「オミクロン株のデータを元にしたワクチンの開発を進めている」としていますが、それでは、3回目接種については従来のワクチンを接種したほうが良いのか?それとも、将来のオミクロン株対応ワクチンを接種したほうが良いのか?についても伺いました。

「オミクロン株に対して、従来のワクチンでも3回目接種で一定の効果が期待できる」と多くの方がおっしゃっていました。たとえ感染予防効果はあまり期待できなくても、重症化予防効果はある程度期待できるためです。

その上で、見解には少し異なる部分もみられました。

イエール大学の岩崎さんとエモリー大学の紙谷さんは「オミクロン株対応のワクチンを待つよりも従来のワクチンを接種して備える方が良い」といいます。日本と世界でいまも感染が続いているデルタ株についても従来のワクチンでも効果が期待できるためです。とくに、2回目接種から6か月以上経過している人、高齢者や持病のために重症化リスクが高い人に関しては、できるだけ早い3回目のブースター接種を検討する価値があるといいます。

大阪大学の荒瀬さんは「オミクロン株などの変異株に対応したワクチンの方が効果的ではないかと期待している。今しばらく様子を見たい」としています。荒瀬さんによると、デルタ株など他の変異株に対しても、専用のワクチンの方が明らかに高い効果が期待できるといいます。そうしたワクチンが早期に登場する可能性もあるため、感染対策を続けながら少し様子を見るという選択肢もあるかもしれません。

一方、国立感染症研究所の長谷川さんは「オミクロン株を元にしたワクチンについては、まだデータが不足しているため、もう少し検討が必要」としています。

このほか、順天堂大学の堀さんは「もしオミクロン株の病原性が低いとすると、リスクの低い若い世代が3回目接種をする大義が薄れる可能性もある」と指摘していました。

私たちは どう備えれば?

まだオミクロン株については情報が限られていますが、私たちが何を心がけていくと良いのかについても、専門家の皆さんの意見が一致していました。

それは、マスクの着用や換気、3密回避といった基本的な感染対策の継続です。日本はいま、感染が収束傾向にありますが、くすぶり続けるデルタ株や、オミクロン株が新たな火種となって感染が爆発する可能性は依然として残っています。特に、シミュレーションの専門家・慶應義塾大学の栗原聡さんは「仮にオミクロン株が日本で主流になろうがなるまいが、来年2月末ごろから3月にかけて再び感染拡大するのではないか」と予測しています。

特に、冬は低温や乾燥などの影響から感染症が広がりやすい季節とされています。改めて基本的な感染対策を正確に行っていくことが大事だと言えそうです。