医療ひっ迫 現場からのメッセージ

NHK
2022年8月5日 午後0:05 公開

■次々と入院患者が… 都内の病院

新型コロナの第7波が各地で広がる中、医療機関がパンク状態です。

「小児科に電話しても繋がらない」

「新型コロナか他の病気か分からない」

こうした声が番組にも寄せられています。

今、現場はどのような状況になっているのか?あさイチでは、関係者の協力を得て、新型コロナ対応にあたる医療従事者の方たちに話を聞くことができました。

こちらは、順天堂大学病院の新型コロナ病棟です。あさイチでもお馴染み、堀賢さんが現状を知ってほしいと、動画を撮影してくれました。

(画像:順天堂大学病院 新型コロナ病棟の様子)

堀さん「この病棟は中等症から軽症の患者さんが入院しています。ほぼ満室ですね。第7波が広がり始めてから、ずっと満室の状態が続いています。患者さんが毎日4~5人ずつ退院しては、4~5人ずつ入ってくるというペースで、とても忙しい状況です。」

現場で対応にあたる医師によると、これ以上数が増えると、対応に限界が来るのではないかと懸念しているそうです。

新型コロナ病棟で対応にあたる医師

(画像:新型コロナ病棟で対応にあたる医師)

Q今は満床に近い状態ですか。

医師「そうですね。ほぼ連日、何とか病床をやりくりしてギリギリで回しているような状況です。退院が3名から4名のところ、入院が7~8名ということで、プラスが続いていて、空きがどんどん減っているような状況です。」

Qスタッフの皆さんの疲労度はどうですか。

医師「連日ギリギリの状態で夜遅くまで残って対応しているような状況で。本当にいっぱいいっぱい。これ以上増えてきたらなかなか難しくなるのではないかと思います。濃厚接触者になって出勤できないというスタッフや、本人が体調崩してお休みというケースもあって、スタッフの数も若干減っている状態です。そういう状況も合わせて少し疲弊が進んできているかなと思います。」

■子どもの感染・入院患者が増加

医療現場のひっ迫に拍車をかけているのが、子供の感染です。厚生労働省によると、6月下旬に比べて、7月下旬の感染者数は10倍以上。全国の感染者のうち、およそ3割が10歳未満・10代の子どもが占めるようになりました。順天堂大学病院でも、これまでほとんど見られなかった子供の入院患者が、数名見られるようになったといいます。

入院する子ども

現場で対応にあたっている看護師が、話を聞かせてくれました。

看護師「お子さんの入院患者も今、多いです。」

Qお子さんの年齢層はどの年齢層が多いですか。

看護師「けっこうバラバラで、基礎疾患のある0歳の子や、それから6歳以上の子など。家族全員で入院という方もいらっしゃいます。家庭内感染も多いですね。」

Q小学校の学年で言うと、高学年・中学年・低学年とありますけど。

看護師「印象的には高学年とかの方が多いかもしれません。10歳、11歳とかです。」

■地方にも感染拡大の影響が

子供への感染拡大は、地方の医療現場にも大きな影響を与えています。岡山県にある、川崎医科大学附属病院の新型コロナ病棟でも、子どもの患者が増えつつあり、私達が撮影にうかがった7月末の時点でも、10歳未満の入院が1件ありました。

岡山県にある川崎医科大学附属病院

(画像:岡山県にある川崎医科大学附属病院)

看護師「ここ最近は、やはり第6波ぐらいからは、小児がすごく多かったという印象があります。子どもさんは必ず大人と一緒に入院するのですが、狭い病室の中でかなり抑圧された閉鎖空間のような状況の中にいるので、ストレスがすごくたまるという方もいらっしゃいます。ちょっとお父さん、お母さんも、しんどい状況かなと思います。」

新型コロナ病棟で対応にあたる看護師

(画像:新型コロナ病棟で対応にあたる看護師)

さらに、小児救急が専門の医師によると、第7波になってから搬送される子供は、症状がこれまでより、重い傾向にあるといいます。

小児救急医 川崎医科大学准教授 栄徳隆裕さん

(画像:小児救急医 川崎医科大学准教授 栄徳隆裕さん)

栄徳さん「オミクロン株が出た時はやっぱり軽かったですよね。軽い風邪かなっていうぐらいで、測ったら検査で陽性になるという人が多かったですけど。第7波はしんどそうですね。喉をすごく痛がったりとか、そのせいで水分とか食事が取れないとか、あとは筋肉痛とか、高熱とか、筋肉痛が来たりとか、高熱が続いたりとか。この前はちょっと軽い脳炎になった人がおりましたね。そういったしんどい症状が出る人が多い感じがしますね。ちょっと一回り悪性度が上がったのかなっていうのは現場では感じます。」

小児科医で、川崎医科大学教授の中野貴司さんによると、こうした感染の拡大は、新型コロナ以外の診療にも、大きな影響を与えているといいます。

小児科医 川崎医科大学教授 中野貴司さん

(画像:小児科医 川崎医科大学教授 中野貴司さん)

中野さん「他の病気の患者さんの診療が、新型コロナがなかった頃に比べて、十分にできていない気がします。RSウイルスとか、アデノウイルスとか、夏を迎えて増える手足口病とか、乳児が発熱するエンテロウイルスとかパレコウイルスの患者さんも今多いんですよね。脅かすつもりは全然ないのですが、行動制限がないが故に、新型コロナ以前の流行様式に、他の感染症も元に戻ってきていると思うんです。」

小児科看護師「子どもさんには診療ひとつ取っても、やっぱり手が掛かると言うか、人数がいるので、新型コロナの患者さんが増えると、いろいろな診療に影響が出てきます。私たちの中でも全部診たいんですけど、やっぱり制限もあるので、もどかしい気持ちにはなります。」

中野さんと小児科の看護師

(画像:中野さんと小児科の看護師)

中野さん「新型コロナがない頃、私たちはそういった病気をトリアージ(振り分け)して、適切な医療をやろうと心掛けてきたわけですが、新型コロナにいろいろ手間も時間も掛けなければならないので、他の医療も含めてかなり混乱と圧迫が起こっている状況です。」

こうした状況の中、私達は何ができるのでしょうか。普段と違う子どもの変化を見守ることが必要だと中野さんは指摘します。

中野さん「私たちは親御さんの不安な気持ちに対応していかなければいけないと思っています。そのためには制度の整備と、マンパワーがやはり必要だと思いますので、そこが本当に大きな課題だと思っています。ただ、子どもたちの健康のためには、日頃からそのお子さんを最も身近な場所で見ていただいている保護者の方が、『これはどう考えても普段と比べておかしい』と気付いてあげることが何より大切ではないでしょうか。」