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新型コロナと食品 最新研究

NHK
2021年11月4日 午後5:47 公開

コロナ禍の冬 再び 皆さんの食生活は?

2021年11月現在、新型コロナの感染状況は全国的に落ち着いていて、収束傾向にあります。しかし冬は、インフルエンザウイルスやノロウイルスなど、様々な感染症が流行しやすい季節です。街の皆さんにお話を伺うと、ワクチン・マスク・手洗い・換気などの基本的な感染対策に加えて、免疫を意識した食生活を送っている方が多くいらっしゃいました。

新型コロナと食品に関しての研究は国内外で膨大に行われていますが、「感染を劇的に予防する」「感染した際の治療効果がある」といった食品はまだ見つかっていません。また逆に、「これを飲んだり食べたりするとリスクが明確に上がる」といったものも同様に見つかっていません。

ですが、取材を進めると、手軽に実践できて日々意識しておくと有効な情報もいくつか見えてきました。

お茶・ビタミンD・お酒

まずは結論からお伝えします。

お茶 = 間接的に感染拡大を抑える可能性がありうる(※感染予防効果や治療効果については期待できない)

ビタミンD = 新型コロナとの関連については研究途上だが、ビタミンDが不足すると免疫機能が低下することは明らかになっている(※積極的に摂取するほど免疫の働きが向上するわけではない)

お酒 = “飲みすぎ”も免疫の働きを低下させる

専門家への取材も織り交ぜ、ひとつずつ詳しく見ていきます。

お茶は間接的に感染拡大を抑える可能性がある?

お茶と新型コロナウイルスの関係について研究する京都府立医科大学・教授の松田修さんにお話を伺いました。

松田さん「飲み物とか食べ物で新型コロナウイルスを抑制できないかということで様々な成分を試してみました。結果的にお茶が一番良かった」

松田さんは、新型コロナウイルス(従来株)と唾液を混ぜ合わせて感染者の口の中に近い状態を再現。そこにお茶を加えて10秒たつと、ウイルスの感染力が100分の1以下に低下したというのです。

松田さん「お茶に含まれるカテキン類の一部が新型コロナウイルスの表面のスパイクたんぱくに結合して感染するのを抑制することを見つけました」

ただし、注意点があります。カテキン類は血液中にはほとんど吸収されないため、新型コロナウイルスへの感染予防効果や治療効果は期待できません。では、この発見、どのように日常にいかせば良いのでしょうか?

松田さん「唾液中のウイルスの感染力を減らせれば、自分が知らぬ間に感染して、周囲に感染を広げるリスクを下げられるのではないかと思います。『自分のためにお茶を飲むということ以上に、人に感染させないためにお互い他人のためにお茶を飲む』そういう公衆衛生的な使い方をすれば、全体として新型コロナウイルスの感染拡大を抑制できる可能性があると思っています」

ただし、飲み方にポイントがあります。それは、数秒間以上時間をかけて、口の中のすみずみまで行き渡るようにすること。そのまま飲み込んでも、「お茶うがい」の要領で吐き出しても構わないそうです。

これまでのところ、緑茶・紅茶・ウーロン茶・ほうじ茶などカテキン類を豊富に含むお茶ならこうした効果が期待できるそうです。また、ペットボトルのものでも良いそうです。温度も、温かくても冷たくてもどちらでも良いそうですが、いわゆる“水出し”の場合は、カテキン類があまり抽出されないため、あまり効果が期待できないといいます。松田さんによると、できるだけ熱いお湯でお茶を煎れるのが有効とのことです。

また、カフェインの有無は新型コロナウイルスの感染力を下げる効果については特に関係ないそうです。ですので、カフェインレスのものでも構わないといいます。

お茶については、インフルエンザウイルスの感染予防にも効果が期待できるといわれています。そもそも、喉を乾燥から守り、粘膜・繊毛などの防御機構が適切に働けるようにするためにも水分補給は有効です。日々の飲み物の選択肢のひとつとして、お茶を頭の片隅においてみてはいかがでしょうか。

ビタミンD不足で免疫の働きが低下

ビタミンの医学分野に詳しい、神戸学院大学・教授の田中清さんに伺いました。

専門家・田中さん「ビタミンDは骨に関係するビタミンとして知られていましたが、最近は研究が進み、免疫の働きを正常に保ち、感染症にかかりづらくするためにも欠かせない栄養素のひとつと考えられています。もしビタミンDが不足すると、免疫細胞が正常に働かなくなりウイルスや細菌への抵抗力が下がってしまいます」

ビタミンDが新型コロナウイルス感染症の予防や早期回復に繋がるかどうかはまだわかっていません。しかし、海外では「血液中のビタミンDの量が少ない人の方がより重症化しやすい」「感染した方にビタミンDを投与して補ったら死亡率が減った」といった報告がなされています。またイギリスなどでは、ワクチン投与が始まる前にビタミンDのサプリメントを高齢者に配布した国もありました。アメリカのトランプ前大統領も新型コロナウイルスに感染した際、ビタミンDを投与されたといわれています。

このビタミンD、日本人の多くで不足していると指摘されています。厚生労働省は2019年に接種目安量をそれまでの1日あたり5.5マイクログラムから、8.5マイクログラムへと引き上げました。では、何を食べれば良いのでしょうか?

専門家の田中さんによると、一番のおすすめは、さけ(サーモン)。刺身なら2~3枚、切り身なら3分の1ほどで8.5マイクログラムを摂取することができます。

魚が苦手な場合は、しいたけやきくらげなどのきのこも良いそうです。ただし、きのこ類などに含まれるビタミンDは、より正確には「ビタミンD2」と呼ばれるもの。体内で免疫の維持に関わっているのは魚などに含まれる「ビタミンD3」という異なる性質のものです。体内のビタミンD2は、日光に含まれる紫外線を皮膚に浴びることでビタミンD3に変化します。

専門家・田中さん「きのこ類でビタミンDを補う場合は、適度な日光浴も合わせて行う必要があります。冬になると日差しが少なくなりますが、意識すると良いと思います」

お酒の“飲みすぎ”で免疫の働きが低下

千葉大学病院の研究によると、お酒を毎日飲む人(飲酒習慣のある人)は、全く飲まないか、週に2~3回程度の人に比べて、新型コロナワクチン接種後の抗体の量が増えづらい傾向があるそうです。飲酒とワクチンの関係について詳しいメカニズムはわかっていませんが、特に“飲みすぎ”については、免疫の働きを低下させることがすでに明らかになっています。

専門家・戸塚さん「抗体の量が少ないからといって感染リスクや重症化リスクが高まるとは限りませんが、過度な飲酒は腸や肝臓などの免疫に深く関わる臓器にダメージを与えます。また、“飲みすぎ”は睡眠を浅くすることで、免疫の機能を落とすこともわかっています。特に、感染症のリスクが高まる冬は“飲みすぎ”に注意して欲しいと思います」

制限緩和を受けて、飲酒の機会が増えている方もいらっしゃるかもしれません。新型コロナワクチン接種後に感染する“ブレークスルー感染”のリスクも指摘されていますので、基本的な感染対策を継続し、“飲みすぎ”には特に注意することが改めて大切かもしれません。