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抗原検査 どう使う?

NHK
2021年10月14日 午後5:18 公開

薬局での販売が始まった 抗原検査キット

これまで医療機関などに限って使用が認められていた新型コロナウイルスの抗原検査キットが、先月末からは、薬局でも購入できるようになりました。

価格は1000円から3000円ほど。自分で検体を採取し、説明書の指示通りに試薬と混ぜ合わせて専用のキットに定められた量を垂らすと、15分から30分ほどで結果が出ます。

検体を採取するときは、まず、綿棒を鼻のなかに2センチほど入れ、鼻の内側を沿うように5回ほど回転させます。病院などで行うインフルエンザの検査とは違って、2センチほどのため、痛みはほとんどありません。

PCR検査・抗原検査 違いは?

新型コロナウイルスの感染の有無を判定するためには、一般的に、PCR検査と抗原検査が用いられています。一体どこが違うのか?まとめてみます。

まず、PCR検査も抗原検査も、本来の目的としては、新型コロナウイルスへの感染が疑われる人に対して体内のウイルスの有無を調べることにあります。感染していないことを確認(いわゆる、陰性確認)するために用いるものではないとされてます。

目的は同じですが、性能には違いがあります。

PCR検査の場合、感度(陽性をどのくらい正しく判定できるかの指標)・特異度(陰性であることをどのくらい正しく判定できるかの指標)ともに、多くの場合で抗原検査よりも優れているというデータが各国から報告されています。感度は症状の有無や検体を採取する場所によっても異なりますが、70~80%以上はあるとする研究が多いようです。ごくわずかなウイルス量でも検出が出来るため、発症前・無症状の段階でも感染者をある程度調べることができます。また、特異度については極めて高く、ほぼ100%とされています。ウイルスがいない場合に誤って陽性と判定される“偽陽性”はまず無いと考えられています。比較的精度が高い反面、検査には高度な検査機器と専門の技能を持つ人が必要になるため、数時間以上はかかります。さらに、郵送する場合には、長くて数日かかることもあります。

今回注目する抗原検査に関しては、製品によって違いはありますが、感度・特異度はPCR検査には劣るものがほとんどのようです。また、特に発症後でないと感度は低く、ある程度のウイルス量がないと正しく判定されないことが多いとされています。そのため、PCR検査と比べて、仮に感染していても陰性と誤って判定されるケースや、感染していないのに陽性と判定されるケースが多くあると考えられます。ただし、15~30分で結果が判明するという迅速さについては抗原検査が優れています。

ちなみに、価格についてはPCR検査の場合、安いもので2000円ほどから。医師による証明書などもセットの場合には1万円以上になることもあります。抗原検査は、1000~3000円程度の価格帯が中心のようです。また、PCR検査も抗原検査も、値段が高いからより正確、といったことはないようです。

医療用? 研究用?

今回、薬局で買えるようになったのは「医療用」の抗原検査キットです。こちらは、厚生労働省が精度を確認し承認したもので、品質の信頼性や客観性が保たれています。一方、「研究用」と表記されたものは従来からドラッグストアや通販サイトなどでも販売されてきました。こちらは、あくまでも「研究用」。実際には精度が低い物も多く売られており、感染の有無の判定に使うことは国は推奨していません。

抗原検査 その後の対応は?

感染症対策や検査の専門家の東海大学医学部教授・宮地勇人さんは、より正確なPCR検査をおすすめしたいが……と前置きした上で、このように指摘します。

専門家・宮地さん「発熱やせき・喉の痛みといった症状があるにも関わらず、夜間や休日など、病院などに行ってPCR検査を受けるのが難しい状況に限っては、抗原検査キットを使うのも有効ではないかと思います。もし、陽性と出たら、接点のあった人たちに連絡したり、初期対応を速やかに始めることもできると思います。その上で、速やかに保健所や病院などの医療機関に問い合わせた上で、改めて医師の診断をあおいでください」

抗原検査の場合、特に、偽陰性(本当は感染しているのに陰性と判定されてしまう)の可能性がPCR検査よりも高いとされています。仮に症状が無くても、「マスク無しでの大人数の会食をした」「近所でクラスターが発生した」「濃厚接触認定はされていないが感染している人と接点があった」など、1週間以内に感染リスクのある行動を取っているときは、適切な感染対策を続けながら、体調の変化に気を配ってください。また、万一、症状が出た場合には、保健所等に連絡の上、指示に従って医療機関の受診をしてください。

抗原検査での“陰性確認”は?

繰り返しになりますが、PCR検査も抗原検査も、本来は“陰性確認”に用いるものではないとされています。それでも、世界各国ではワクチン接種とあわせて、こうした検査での“陰性確認”を社会・経済活動正常化のためのツールとして用い始めている現実があります。日本でも、ワクチン接種の完了またはPCR検査や抗原検査の“陰性確認”の活用が検討されています。

内閣官房HP(※2021年10月14日閲覧)によると、PCR検査の場合は72時間以内、抗原検査では24時間以内の結果が有効とされる見通しです。

専門家・宮地さん「個人的には、強いて言えば、PCR検査をオススメしますが、抗原検査を“陰性確認”に用いるときには、なるべくこまめに繰り返し検査する必要があります。金銭的にも負担ですし、手間もかかりますが、政府も推奨するように、抗原検査は24時間ごとに検査をするのが理想です。精度がやや劣る検査でも、その頻度を高めることで有効性を高めることができます」

宮地さんによると、抗原検査の場合は、例えば、1泊2日の帰省を想定するなら、出発前日・宿泊当日・帰宅した直後の、3日間毎日検査するのが理想だといいます。もし旅行などを伴わないならば、3日1回の頻度での検査が理想だそうです。いずれにせよ、こまめに検査をすることが大事だとのことです。

感染リスクを抑えるには?

ワクチン接種を完了していても、いわゆる“ブレークスルー感染”のリスクはあります。接種していない人ほどではないとされていますが、ブレークスルー感染者から感染が広がるケースも報告されています。ですので、ワクチン接種を完了していたら安全、というわけではありません。

また、仕事などの関係で忙しくワクチン接種を完了できていない方や、持病や体質などの関係で接種できない方、ワクチンの安全性を慎重に確認するために様子を見ている方、ワクチン接種の対象になっていない11歳以下の子どもなど、ワクチンによる免疫で守れられていない人がまだ多くいます。

懸念される“第6波”を引き起こさないためにも、より安全を担保するには、ワクチン接種だけでなく、PCR検査や抗原検査を適切に活用することが必要なのかもしれません。