#ふつうアップデート 「オタ活、ふつうにやってみた。(2)」

NHK
2021年12月9日 午後8:30 公開

障害があると満足にオタ活ができない?首から下が動かず、24時間介助が必要な車いすユーザーのゲーマーが、障害者の“ふつう”をぶち壊そうと1泊2日の弾丸ツアーに出発。先週に続き、国民的RPGのスマホ向けゲームのアイテム(おみやげ)集めを目的に、公共交通機関のみで四国を巡る。 そこには予期せぬハプニングが!?

新たな仲間、馬島さんとの出会い

オタ活旅2日目。次の目的地は高知県の室戸岬だ。移動はおよそ2時間半。旅の初日に16時間も移動したため、井谷さん、そして彼のスーツケースを運ぶヘルパーのハジメちゃんにも疲れの色が。バスを降りた2人は、室戸岬にどう行けばよいのか迷っていたところ、予期せぬイベントが。ある男性が井谷さんに声をかけ、行き先を教えてくれたのだ。一体この男性は?

男性は馬島彬さん。四国の岬を巡る一人旅をしているという。じつは馬島さん、前日にも愛媛県宇和島で井谷さんたちと同じバスに乗っていたそうだ。その後も、行く先々で彼らを見かけ、ただならぬ縁を感じていたのだそう。井谷さんから誘い、3人で室戸岬の先端へ向かうことに。

岬に降りるスロープでは、馬島さんが疲れているハジメちゃんを気遣い、すかさずスーツケースを持つサポートをしてくれたのだった。

障害者と健常者が一緒に歩いていける街を

馬島さんに、井谷さんとの出会いについて聞いてみると「(街で見かけた)目の悪い方なんかにも、サポートしてあげたいなって思うんですけど、若い頃からなかなか最初の一言が出なかったんですね。でも(今回、井谷さんに)声をかけて、お話して。まったく違和感ないですよね。以前はどうしても一歩引いていたというか。まったくそういう意識をしなくていいんだなって思いましたね」。

馬島さんの話を受けて、井谷さんはこんな感想を持った。「やっぱりすごい離されてますよね。障害者と健常者が一緒にできないようになってるなって、すごい感じる。一緒に歩いていける街になればいいのになぁ、って。でも、自分から話してもいいなと思いましたね。僕らのことを知ってもらえるし。知って欲しいと思いますよね」。

馬島さんとの出会いで気力も体力も回復した井谷さん。ここで3つ目のおみやげ、高知名物のカツオを無事に手に入れ、また「仲間になってくれませんか?」とサポートのお願いをすることを覚えた。

あらためてスタジオで、馬島さんとの出会いを振り返る井谷さん。これまでヘルパーを自分で探し自立生活を送ってきた彼だが、この出会いで、自分の中の自立のイメージがアップデートされたのだという。「すごい頑張らないとあかん、と思っていたんですけど、自然と手伝ってもらえたり、自分を知ってもらえて。他人事じゃなくて手伝ってくれた人たちは、自分事として話してくれるようになってて、それがすごい嬉しかった」

ゲストの中川翔子さんも、2人の出会いに「全く知らないはずだった人たちが、一緒の道になって、ご縁があった。そしてお互い勇気を出して一歩踏み込んだことによって物語が、スイッチが変わるって、すごく素敵あの、劇場版でやるべきくらいの、すごいと思います。」と感動。

車いすでは登れない。急勾配の石段…

馬島さんと別れ、4つ目のおみやげを目指し、今回の旅の最難関、徳島県の薬王寺へ。バスと電車を乗り継いで4時間移動し、最寄りの日和佐駅に到着。そこから車いすで10分進み、薬王寺のふもとに到着。目指すは頂上にそびえ立つ、瑜祇塔(ゆぎとう)だ。寺務所で確認すると、本堂に行く方法は階段しかない。ということで、「車いすで行けるところまで行く」という作戦で挑む。まずは目の前に立ちはだかる18段の石段をどう攻略するか? 悩んだ末に、井谷さんは近くにいた親子にサポートのお願いを試みる。快諾してもらい、3人がかりで車いすを持ち上げる協力プレイで乗り越えることができた。

しかし、そこからさらに急勾配の石段が井谷さんの前に…。四国八十八か所のひとつである薬王寺は、頂上の瑜祇塔(ゆぎとう)まで合計136段の石段を登らないといけないのだ。井谷さんいわく「これはあかんやつ。僕の経験で、命かけるやつです」。

諦めかけていたが、おみやげは薬王寺のふもとでもゲットできることが判明。頂上まで登る必要がなく、井谷さんは4つ目のおみやげ、ウミガメを手に入れることができたのだった。

そして愛媛県松山市を出発して36時間、最後の目的地である阿波おどり会館に到着し、5つめのおみやげを獲得。今回の冒険の目的をすべて達成したのだった。

神社仏閣のバリアフリーは難しい?

前回の放送では、公共交通機関が車いすユーザーに対応していないことを指摘した、番組ご意見番の玉木幸則さん。一方で、神社仏閣などの観光地はすべての設備をバリアフリーにするのは難しいと感じているそうだ。

ゲストの中川翔子さんはこの問題についてこう話してくれた。「歴史があるからしょうがなかったりする。でも意外と、歴史が深いのにエレベーターが途中から付きましたっていうところも都内の神社でもあったりするので、びっくりしたり。ゲームのアプリだってアップデートされていく時代なんですよね。言葉にすることで届くこともいっぱいあると思う」。

そして井谷さんは「今回、ネット上だけじゃなく、自分が体験したことで、ほんとたくさん知ることができた。頑張ってくれたハジメちゃんも一緒に体現できたと思う」と、今回の旅を通して自分自身をアップデートできたことを話してくれた。

これからも井谷さんの自分をアップデートする冒険は続いていく!?