バリバラが障害のある俳優たちを売り込むブログ#2

NHK
2022年1月20日 午後8:30 公開

#2 神戸塾、プロフィールシート作りました!【遠征組】

2022年、今年こそ日本のコンテンツ業界の「ふつう」を揺るがしたい!

  昨年7月にスタートした、障害者専門の俳優養成塾『神戸塾』……「俳優になれるのは心身ともに健康な人」という業界の壁を壊すため、障害のある9人の塾生たちと走り始めて、半年がたちました。勢いと情熱はそのままに、2022年はさらに大きな挑戦を続けていきます!    

『神戸塾』とは?ブログ#1はコチラ

 あらためましてこんにちは、バリバラの番組ディレクター兼『神戸塾』“チーフ・マネージャー“のみそじDです。みなさま、本年も『神戸塾』をよろしくお願いいたします!

 すっかりご無沙汰になってしまいましたが、塾生たちは、番組の放送がない間も一流講師の演技レッスンを受けながら、日々、目を見張る勢いで成長しています。

 だからこそ、その魅力をひとりでも多くの演出家・監督・プロデューサーの方に届けたい。そしてなんとかキャスティングにつなげたい。そこで今回『神戸塾』では、こんなものを作ってみました……。

ズバリ、神戸塾スペシャル『プロフィールシート』!!!

9人それぞれの特性や「俳優としての可能性」を分かりやすくまとめて、売り込みに使用しようという狙いです。「番組には入りきらなかったけど、興味深い」情報も交えながら紹介していきますので、少しでも気になる塾生がいたら、ぜひキャスティングをお願いいたします!

 最初にご紹介するのは、神戸塾“遠征組”の3人。「遠征組」というのは正式な呼び名ではありませんが、関西以外に在住しており、いつも収録やレッスンにあわせて来阪しているためにそう呼ばれるようになりました。2022年1月放送の『魅力発見編』では、脚本家・演出家の佐藤慎哉さん率いる健常者劇団のメンバーとコラボレーション。見事スタジオで第二回公演を成功させました!

塾生①:Nyanko

一人目は、Nyankoさん。

 聴覚障害のあるNyankoさんは、手話と身振り、そして筆談を交えて演技をします。モデルや手話パフォーマーとしても活躍していて、ダイナミックな身振りが特徴的。第二回公演で共演した劇団員の小島あすみさんは、「Nyankoさんが舞台に入ってくるだけで一気に物語が進むようなパワーがある」と語ってくださいました。    

 写真:小島さんとNyankoさん。相手の口元を見てセリフを読み取り、大きな身振りでリアクション。

 一方で、ゆたかな表情も彼女の魅力のひとつ。鴻上尚史さんによる演技ワークショップでは、恋人の浮気を疑いながらも、最終的にはハッピーエンドを迎える女性を演じて、繊細で複雑な心のひだを表現しました。

写真:ごらんください、この表情!

 さまざまな分野での経験を生かして、舞台上でも飾ったり縮こまったりすることなく「ありのまま」の表情ゆたかな姿を見せてくれるNyankoさん。たとえ短い出演機会であっても、一目で見る者を魅了する瞬発力で結果を残せるはずです!

写真:稽古中の一コマ。コメディーからシリアスまで、色々な引き出しを見せるNyankoさん。その表情から目が離せません。(未放送素材)

塾生②:リブ

続いて、リブさん。

 個性的で目を引く義眼は、なんとオリジナルのデザイン。もともと絵を描くのが好きというリブさん。『義眼師』と呼ばれる専門家の力を借りて、自分らしいおしゃれを探求しているんだそうです。もしもこうした義眼のデザインを生かした役があったら、物語にもあたらしい変化が生まれると思いませんか?ピンと来た方はぜひキャスティングをお願いします。

写真:ブラックライトを当てると“EYE”の文字が!世界でひとつだけのオリジナル義眼。(未放送素材)

 もの静かで謙虚な人柄とはうらはらに、『ラスト・アクション・ヒーロー』のベネディクトや『ダークナイト』のジョーカーなど、強烈な悪役に憧れるというリブさん。共通点は、「顔に傷があること」。リブさん自身にとっては周囲からのさげすみや同情の対象でしかなかった特性を、その人ならではの「魅力」に変えている強さに勇気をもらったといいます。

写真:神戸塾の演技課題で「暴力を振るう夫に復讐する」役を演じるリブさん。ちょっと怖い……(未放送素材)

 神戸塾ではじめて演技を学んだリブさん。演技経験こそ少ないですが、じっくりと地道に考えて練り上げた表現は、きっと作品に変化と彩りを与えられるはずです!

写真:神戸塾第二回公演にて。全国放送のカメラの前で初舞台を演じ切りました!成功体験をひとつひとつ積み重ねていけば、魅力が花開くはず。

塾生③:大塚哲弘

最後は大塚哲宏さん。

 ふだんは紳士的で落ち着いた人柄の大塚さんですが、演技になると「化け」ます。神戸塾第二回公演では、どことなく哀愁のただよう管理職の「ダメ男」を演じて、演劇界のトップランナー・鴻上尚史さんから「びっくりするくらい楽しかった」と絶賛されました!

写真:稽古中の一コマ。つぶらな瞳で見つめられると……。

 高次脳機能障害のある大塚さんは、複雑な情報を整理するのが苦手。複数人での会話や、一度にたくさんの物事を進めようとすると、入ってくる情報を処理しきれずにパニックになってしまうといいます。そんな大塚さんにとっては、人物のかけあいで進む台本の読み取りが大きなバリアになっていました。ト書きや役名、セリフなど様々な情報が混在していて、どれがどれだかわからなくなってしまうからです。そこで大塚さんが自ら開発した「オリジナル書式」がこちら。

写真:大塚さんのオリジナル台本書式。PCで映像や音楽を編集する際の画面を参考にしたんだとか。

 役ごとに行を分け、時系列にそって発言を並べることで、物語の進行を大塚さんなりにわかりやすく視覚化したものだそうです。大塚さん自身の、障害にたいする理解と、演技への真剣な思いが形になったものでもあります。

 なかなか理解されにくい「高次脳機能障害」について多くの人に知ってもらい、社会における「ふつうを増やす」ことが活動のモットーだという大塚さん。その飽くなき探究心や誠実さで、「ふつう」の作品にあたらしい一面を加えることができる俳優です!

写真候補A:神戸塾第二回公演より。画面の隅でも、いい仕事をしています。

 以上、神戸塾“遠征組”の3人についてご紹介してきました。塾生9人に9とおりの魅力があるのが「神戸塾」。次回の記事ではほかのメンバーのプロフィールについてもお目に掛けたいと思います。すべては塾生たちの魅力を知っていただき、俳優としてのお仕事に繋げるため!

 というわけであらためて……「心身ともに健康でない」俳優に、ちょっとでも興味をもたれたプロデューサー・演出家・監督のみなさま、ぜひ神戸塾の塾生をキャスティングしてください!あんまり興味ない関係者のみなさまには、わたくしがこのプロフィールを持って売り込みに行きますので、よろしくお願いします!