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バリバラ10年目SP ♯1タブーに挑戦!?障害者バラエティー
NHK
2021年5月6日 午後8:29 公開

2012年に障害者情報バラエティーとして放送を開始したバリバラ!10年目を迎えたのを機に、過去の放送を振り返りつつ、バラバラは何と向き合ってきたのか、これからどこへ向かっていくのか、あらためて考えます。

第一弾は、障害者をめぐる「タブー」にどう挑戦してきたのか?

障害を笑いのネタにしていいのか?

バリバラが始まった当初、まずチャレンジしたのは「障害×笑い」。今や「障害×笑い」の代名詞となったのが、現在まで続く人気企画「SHOW-1グランプリ」だ。VTRで、第一回のチャンピオンとなった脳性マヒブラザーズ、統合失調症をネタにした失敗ダーマンZ、そして、寝たきりコント職人あそどっぐの伝説のネタを振り返る。さらに忘れてはならないのが、番組当初から数々の企画に体をはって挑戦してきた脳性まひの畑俊彦さん。いったいどんな思いが、彼をバリバラ出演へと駆り立てたのか。

ゲストのカンニング竹山さんは、「SHOW-1グランプリ」を初めて見たとき、障害者が自らの障害をネタにしていることに、「障害者のことを笑っていいの?」と戸惑い、罪悪感を抱いたと振り返る。

「でも見ているうちに、この人たちは、本気で笑わせようと思ってやっていることがわかってくる。本当に面白ければ笑っていいんだと考えを改めた。さらにみんな自分の持っている障害をちゃんと生かしている。失敗ダーマンZを見ていると、統合失調症のことが理解できて、それが笑いに昇華されている」とプロの目から「障害者によるお笑い」を分析する。

さらに「バッティング挑戦企画」をはじめ、芸人顔負けの体当たり企画に参加してきた畑俊彦さんは、出演の理由をこう語ってくれた。

「障害者が『かわいそう』だとか、『頑張っている』っていう社会のステレオタイプのイメージをぶち壊したかったんです」

「感動ポルノ」障害者の描き方・描かれ方

2016年8月の生放送では、番組内で紹介したオーストラリアのコメディアンで2014年に亡くなったステラ・ヤングさんのスピーチが話題となった。

「手が無い小さな女の子が、口にペンをくわえて絵を描く姿。

カーボンファイバーの義肢で走る子ども。

みなさんがこれを見ると、『自分の人生は最悪だけど、下には下がいる。彼らよりはマシ』と思われます。私たちはこれを“感動ポルノ”と名付けました」

バリバラでは放送開始から障害者の描き方、描かれ方を大きなテーマとしてきた。それは「かわいそうな障害者が健気に頑張っている姿が感動的」、というような一方向の描かれ方に疑問を投げかけることでもあった。

MCの山本シュウさんはこう話す。

「感動しているあなたの心は、障害者だから感動しているのか? 一人の人間として感動しているのか?それはこれからも問い続けなければならない目線。」

「障害者の恋愛とSEX」話す場がない、情報もない

9年前、障害者の恋愛をテーマにした放送回で思いを打ち明けてくれたのは、ダンサーの森田かずよさん。彼女は自身の障害をコンプレックスではなく個性だと考えてきた。しかし、仲の良かった男性に告白すると「恋人という関係までは考えられない」という返事が。森田さんは「身体ごと愛してもらえないんだなって思った」と打ちのめされた。それがきっかけで恋愛ベタになってしまったのだという。

森田さんはスタジオでこのときの思いを振り返る。

「やっぱり自分の障害ごと受け入れてもらえるかどうか。普段の生活はできるけど、セックスや恋愛になると、もっとほんとに受け止めてもらわないといけないんだなって、この時も今も思っている」

畑さんは普通学校に通っていた中高生の頃、学校の友人たちとも、セックスの話をする機会がまったくなかったという。

「教室の隅で、そういう話をする友達の輪に入りたかった。けど、『そういう話題には畑は入れないだろう』という風に思われていたんですよね」

森田さんは、畑さんの話に共感しつつも、障害者のある女性にとって、性や恋愛を話題にすることは、より困難なのだと話す。

「障害のある人の『恋愛』ってタブーで、『セックス』なんて、よりタブー。障害者であり、さらに女性であるということは、そういうことを“より口にしてはいけない存在”だと社会に見られていると思っていたんです」

障害者の命の重さ

障害者は存在自体がタブーなのか。この10年は相模原障害者殺傷事件など、障害者の命の重さが問われる出来事が次々と起こった。2013年に始まった新型出生前検査もその一つ。母体の血液の中の赤ちゃんの遺伝子を調べ、ダウン症などの障害の有無を調べる検査だ。“ダウン症のイケメン”あべけんたさんが取材した2014年6月の放送を振り返り、あらためてスタジオで考えた。

現在の母体保護法では、中絶の条件に「赤ちゃんに障害がある」という理由は含まれていない。しかし、その後も検査を受けることができる病院は増え続けている。そしてダウン症と診断された人の多くが中絶を選んでいるという現実がある。

「日本ではダウン症の子だったり、障害のある子に対して、やっぱり偏見の目が、ちょっと強いと思う」と話すのはゲストのIVANさん。

続けて、森田さんはこう話す。

「ダウン症ってどういう障害なのか? どんな人生の選択肢があるのか? それを全然知らないまま、その決断をするのか? 決断のための検査になって欲しくないなって、すごく思います」

「検査自体は否定はしない」と玉木幸則さん。しかしあくまで「心構えや準備するための検査として認識してほしい」と話した。

「お医者さんやったら、どんな子であっても『私らも応援するから、どうやって育てようか考えようね』って言ってくれたらいいのにと思う。『精神的に、金銭的に難しい』とか言うけども、金銭的な部分で言うと、いろんな手当てとか医療費の助成とかあるから、思ってる以上にお金はかかりません!」

当事者が自分の思いを伝えていくバリバラ

最後に玉木さんは10年を振り返ってこう話す。

「世の中で“タブー”と言われていることをバリバラではやってきた。それはまだまだ“タブー”なのが現実。タブーと言わなくて済むような社会になるために僕たちはもっと発信していきたい。そのためにも、当事者にちゃんと出てきてもらって、自分の言葉で、自分の思いを伝えていくバリバラであってほしい」

来週は10周年企画、第二弾をお送りします!どうぞお楽しみに。