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バリバカップル #同性カップル
NHK
2021年5月27日 午後8:00 公開

マイノリティーカップルたちの恋愛模様や悩みを伝えてきたバリバカップル。今回は、2組の同性カップルの日常生活に密着しました!

好きな人と好きな場所で暮らしたい

まさひろさんとかつのりさん、男性どうしのカップルが暮らすのは三重県伊賀市。2人は田舎暮らしにあこがれ、大阪から移住してきた。ご近所さんから畑を借り、一人前の農家になるべく修行中だ。2人はこの地域で付き合っていることをオープンにして暮らしている。ご近所さんからも、野菜の差し入れなどが届く関係だ。2人の出会いは8年前、マッチングアプリによるものだ。まさひろさんがかつのりさんに一目ぼれして猛アタック。デートはもっぱらかつのりさんの好きな鉄道旅だったという。現在、同棲して7年目を迎えている。二人の関係を町の人たちはどう見ているのか聞いてみると、「自然な感じ」と2人は自然に受け入れられていた。

そして、もうひと組は、香川県で暮らすぽっちゃんともみちゃんの女性どうしのカップル。数か月前に、ぽっちゃんの地元に引っ越してきたばかりだ。マイペースなぽっちゃんとしっかり者のもみちゃん。白で統一された部屋は、もみちゃんがリードして作った。料理はぽっちゃんが作り、もみちゃんがサポートする。家で仕事をすることもあるぽっちゃんの仕事机の前には、忘れっぽいぽっちゃんに向けた、もみちゃんからのアドバイスがぎっしり貼ってある。仕事もプライベートもしっかり者のもみちゃんがぽっちゃんを支えている。そんな二人は13年前、性的マイノリティの女性が集まる場で知り合った。ぽっちゃんから『相談がある』と持ちかけられたもみちゃん、2人で宴会を抜け出した道すがら、もみちゃんが「なんだかぽっちゃんのことを好きかも」と告げたことをきっかけに急接近、付き合いが始まった。今回、2人は顔を隠しての出演、その理由は、ぽっちゃんには苦い思い出があるから。ぽっちゃんが中学生の時、好きになったのは女性。その気持ちを伝えることはできなかった。当時のテレビや周りの人たちにとって同性愛者は“キワモノ”的な扱いをされていたから。その影響で、“同性を好き”という感情を持つ自分は「ダメなやつ」と思っていたからだ。その思いを抱えたまま、地域でカミングアウトすることなく生活してきた。それでも2人は、お互いの存在を“家族”になったと言う。

地方での生きづらさ

今回、番組にはイラストでの出演となったぽっちゃんともみちゃん。その理由は? と問われると、「おいっ子やめいっ子が(何か陰口をたたかれたり)迷惑がかかるのが申し訳ない」と。それについて、ドラァグ・クイーンのベビー・ヴァギーも「周りから言われた時にフォローできない」と同調。こういった問題に対して、LGBTQの居場所づくりをしている当事者の松中権さんは「地方では、日常生活と学校生活や仕事関係が密なため、すぐに情報が伝わってしまうことを恐れている当事者が多い」と言う。また、ベビー・ヴァギーからは「地方で生きていけないから都会に出る、そうすると地方に残らなくなる。残った人は(カミングアウトできずに)存在を隠し続ける、という“悪循環”に陥っていると話した。

そういった声は、今回のゲスト・松中権さんの元にも集まっていると聞き、権さんが代表を務める居場所でのイベントに、シュウさんとヴァギーさんも参加。金沢で暮らす女性同士のカップル、鈴木さんとシャリーンさんに北陸での生きづらさについて話を聞いた。また、イベントを同時配信で聞いている人からの生の声でも「地域でも取り組んでるのかもしれませんが、理想と現実のギャップは大きいと思います。」といった声が寄せられた。

“おせっかい”が二人と地域を変えた!

後半は、まさひろさんとかつのりさんが“なぜ地域に溶け込んで生活できているのか?”の秘密を探る。2人も最初からカミングアウトできたわけではない。地方に対する閉鎖的なイメージから、受け入れてもらえないのでは? と不安を抱えていたため、2人でひっそりと暮らしていこうと考えていた。しかし、移住説明会で「近所付き合いなしに田舎暮らしは難しい!」という回答ばかりが返ってきた。そこで、最後の希望をもって電話したのが三重県伊賀市。その電話に対応してくれたのが当時の移住担当者だった舩見くみ子さん。この人が“スーパーおせっかい”だったのだ。家探しに困っていた2人に不動産会社を紹介したり、農業を始めたいという願いに、生産農家を紹介したり、ありとあらゆる2人からの問い合わせに対応してくれたのだ。というのも、伊賀市は外国人の労働者も多く、さらには同性カップルをパートナーとして認める制度を地方でいち早く導入も決めていた。伊賀市には多様性な人を受け入れる土壌があり、移住者を受け入れる市側にも多様性を認めていく意識が高かった。舩見さんのお節介のおかげで、地域の料理教室に参加したり、学校のLGBTQに関する講師に抜擢されたりなど、2人の関係をオープンにしやすい環境が作られていた。

かつのりさんは「(ゲイというセクシュアリティーを忘れて)普段は、もうただ人として、そこで生きてるだけっていう。そのシンプルなことが、やっと、今できたと、幸せだなっていうのを、実感してます。」という。

そして地域で溶け込んで生活している様子を見ていた、香川のもみちゃんとぽっちゃんは「もっと、地元の人のその、善意とかを、信じることも大事だなと思いました。」との感想を話した。

それを踏まえ、玉木さんからは「2人だけで頑張ることじゃないっていうことも、知っとってほしいねんな。行政とか、地域の人とか、いろんな協力者がおって、初めて、言っていけることやから、そこは慎重に、丁寧に、自分らのペースで生きていってもらいたいなって思ってんねん。」と言う。

松中権さんは、「そういうカップルがほんとに楽しそうに暮らしてる姿を見てたら、ゲイでいいかな、この町を出て行かなくてもいいかなって思ってたと思うんですよね、この次の若い世代の人たちにとってもすごく大事なこと」と話す。

秋元才加さんからは「私もそろそろおせっかいおばさんデビューしようかなって。」それに対し番組MCのシュウさん曰く「十分才能あると思うで。」とのお墨付きを。「おせっかいは、世界を救う!!」のだ。

みんなで考える「好きな人と、好きな場所で暮らしたい!

松中権さんが代表を務める東京・新宿にある『プライドハウス東京』でのイベントに、バリバラからシュウさんとヴァギーさんも参加し、YouTube視聴者と一緒にセクシュアルマイノリティーがどうすれば「好きな人と、好きな場所で暮らしたい」を実現できるのかをトークしてきた!

イベントにリモート出演したのは、金沢で暮らす女性カップル、鈴木さんとシャリーンさん。2人は現在石川県金沢市で暮らしている。鈴木さんの生まれ故郷だ。

じつは、あるアンケートで「家族にLGBTがいたら嫌だ」という率が一番高かったエリアが、北陸。そこで暮らしている2人、どんな苦労があるか聞いてみた。

鈴木さんはパートナーのシャリーンさんの事を「ホームステイしている人」と地域では説明している、と言う。その理由も「両親の近所付き合いのメンツのため」だと。実は、2人は5年前に海外で結婚した。しかし、日本では海外で結婚をしていても夫婦と認められていない。海外生活で関係性をオープンにしてきた2人にとって、金沢での生活はとてもストレスだという。日本での生活を楽しみたいシャリーンさんは、地域の人から個人的なことを聞かれても“本当のことを言えない”ために、ここで友達ができないのではないかと心を痛めている。

金沢で暮らし始めて3年が過ぎた2人だが、金沢でも今年になって希望が持てる動きがある。

これまで、当事者やアライ(Ally:セクシュアルマイノリティーの理解者)、子どもの支援者などがバラバラに存在していたのが、権さんをハブにしてつながり出した。そういった人たちが「ただお菓子があって、ただお茶があって、ただ本が置いてある……という、そういう場所なんですけど、それがすごく心地いい」と金沢の町屋に集まり『nijinoma café』(にじのまかふぇ)を2か月に1回ほど開いている。

最初はスタッフだけで集まっていたのが、回を重ねるごとに増え、現在は30人~40人ほどの人たちが蜜を避けながら出入りしている。鈴木さんは「人づて、人づてで点、点、点、点、点が大きな点になってきてる」と言う。鈴木さんはここで出会った人たちと、『観光文化都市金沢』をダイバーシティ都市にすべく動きはじめたところだ。さらに、今年の7月からは金沢市でパートナーシップ宣誓制度も利用開始される予定だ。

そういった動きは、鈴木さんとシャリーンさんにとって「ここで生活を送る希望」だという。最後に2人は「伝統的な金沢でも、こういった点と点が結んで1つのパワーになって動き出したので、他の地域やYouTubeでコメントをいただいている方も、急がなくてもいいからいつか声をあげよう」と鈴木さん。シャリーンさんからは「まずはみんなで友達になろう。そして、loveとsupportで一緒に頑張ろう」と声をもらった。