#ふつうアップデート 「焼き肉編」(1)

NHK
2022年6月10日 午後11:00 公開

世の中のふつうをアップデートする企画。焼き肉を心ゆくまで楽しみたいマイノリティーと、大阪の焼き肉店がさまざまな実験・検証を通し「誰にとっても便利でやさしい新サービス」を考える。

<番組の内容>

▶︎焼肉の”ふつう”をアップデート

▶︎色覚障害の男性「焼き肉の食べごろが分からない…」

▶︎「食べごろの焼き時間」を紹介するアイデア

▶︎全盲の女性「ひとり焼き肉は、自分で焼いて食べるのが“ふつう”?」

▶︎当事者の声から生まれた選択肢

<出演者>

中川翔子さん(歌手・タレント)

本田さん(色覚障害)

あゆみさん(全盲)

徳善久美さん(焼き肉店 店長)

レモンさん(番組MC)

玉木幸則(番組ご意見番)

あずみん(番組コメンテーター)

ベビー・ヴァギー(ドラァグクイーン)

<VTR>

今回のテーマは、みんな大好き、焼き肉!

女性客「頑張ったご褒美に『焼き肉いこっか』みたいな」

男性客「ファミレス、ファミレスって続いたら焼き肉が入ってくる感じ」

女性客「焼き肉、大好き!」

アツアツのお肉を、ほおばる。ん~、幸せ~! ところが…

男性「焼けてるかどうかが分からないんですよ。満足に食べられないんですよね」

女性「焼かなくちゃいけないっていうのが、いちばん難しいかもしれない」

さまざまな事情で、焼き肉を“ふつう”に食べられない人たちがいるみたい…

そこで!焼き肉を心から楽しみたい全国のマイノリティーたちと、大阪の老舗焼き肉店がタッグを組んで、一緒にアップデート!

全盲の女性「わぉ!」

店員「あ、うまく乗りました」

全盲の女性「めちゃいい匂いしますね。あ、おいしいです」

マイノリティーの小さな声から、みんなにとっても便利でやさしいアイデアが続々誕生!

世の中の“ふつう”をちょっとアップデート、「ふつうアップデート・焼き肉編」2週にわたってお送りしまーす!

焼肉の“ふつう”をアップデート

<スタジオ>

レモン:ふつうアップデート〜! 今日は焼き肉編でございます!ゲストは中川翔子ちゃん〜!

中川:よろしくお願いします。

レモン:噂によると焼き肉が…

中川:大好きですね〜。JKのころからひとり焼き肉をしておりました〜。今もこれからも一生しますよ〜。大好き〜!

レモン:あずみん、どうなん焼き肉。

あずみん:私ね、焼き肉大好きなんやけど、実はあんまり最近行ってなくて。

レモン:なんでや。

あずみん:コロナ禍っていうのもあるし、しょこたんみたいに1人で行くっていうのが、ちょっとハードルが高くて。

番組で障害のある人と、その家族50人にアンケートしたところ、8割以上が「焼き肉店を利用して困ったことがある」と回答。

「車いすで入れる店が少ない」「かむ力が弱くて食べられない」・・・といった声が。

今回の企画に協力してくれた焼き肉店の店長・徳善久美さんに話を聞いてみると…。

レモン:これまでどうだったんですか?車いすの人とかそういう方が来られたときは。

徳善:店舗によっては階段しかなかったりするので、ちょっとお断りしないといけなかったり。そういうところでも対応しきれなかったりして、申し訳ない思いをしたことも何度もありますので、今回ともに考えさせていただけたらなと。

レモン:でもね、2週連続焼き肉ってこれどういうこと玉木さん。

玉木:たかが焼き肉。されど焼き肉ってことやな。

レモン:バリバラが2週間もふるってことはこれすごいことやってことですね。ねえヴァギーちゃん!

ヴァギー:はーい。今回はですね。焼き肉店を満足したいという4人のマイノリティーが、全国各地から大阪に集結。実際にお店に行って様々な実験、検証をしてきました。

ここで、ルール説明!

①車いすユーザーや、目が見えない人など、4人のマイノリティーが徳善さんのお店を訪問。②どうすれば焼き肉を心から楽しめるか、一緒に実験・検証を行う。ちなみに徳善さんは、どんな困りごとを抱えた人が来るのか、知らされていない。

③その場で出たアイデアは、後日会社へ持ち帰り、焼き肉店のサービスとして正式に導入できるか検討する。

つまり、今回の企画のゴールは…「一緒に持続可能なアップデート!」。

まずはこちら!

焼き肉の食べごろが分からない

<VTR>

東京都内で暮らす本田さん。

本田「この人がたぬきの人なので、葉っぱが乗ってるし、タヌキといえば緑」

ユーチューブで音楽や映画、漫画など、様々なサブカルチャーを解説する動画を発信している。

月に1度、必ず焼き肉店に行くほど、大の肉好きの本田さん。しかし、食事のとき、いつも肩身の狭い思いをしているそう・・・。

本田「食べごろが分からないんですよ。だから、人よりもちょっと早く食べちゃったり。デート行くときとか女の子に焼かせちゃうんですよ、僕。『こいつ、私にばっか焼かせんな』みたいな、不満そうな顔の子はいましたけど。男がかっこつけて焼きたいじゃないですか」

実は本田さん、色を見分けるのが難しい、「色覚障害」がある。そのため、肉の焼き加減を見極めるのが難しいんだそう。

ということで、本田さんとアップデートするのは、「焼き肉の食べごろは、色で判断するのが“ふつう”」。

早速、徳善さんが働く大阪の焼き肉店へ。

本田「お肉を頼みましょうか。ハラミがめちゃめちゃ好きで、せっかくだしちょっと上ハラミ」

ヴァギー「上ハラミ。おー!よろしくお願いします!」

徳善「お待たせしまししたー」

本田「ありがとうございます」

まずは大好物の上ハラミを、いつものように焼いてみる!

本田「これきましたねー。もうちょっと焼いた方がいいのかな?どんくらいだろうな~。難しい!情報が何もないので、焦げで見るしかないんですよね!」

ヴァギー「ほうほうほう」

本田「焼きすぎの可能性もちょっとあるんで、ここぐらいで!…(実際に食べる)」

「すいません、めっちゃ生っすね」

ヴァギー「うそ!?」

本田「けっこう生っすね」

ヴァギー「焼き満足度的には、どれくらいなの?」

本田「100点中、40点くらい」

ヴァギー「え、そんなもんなんだ。焼きすぎ?大分焼いてかたくなっちゃってるなっていう」

本田「今までの女の子にそう思われてたんだろうなって思って、すごい今傷ついてます。いまいちだったんだなって思われてたんだろうなって思って」

本田さんがふつうに焼くと、なぜかうまく焼けない…。実は本田さんには、こんな感じで見えている。生肉と焼けた肉の色がほとんど変わらない!

そこで、徳善さんに焼き加減のアドバイスを求めると…

徳善「乗せていただいて、しばらくすると、お肉の縁が白くなってくるので」

本田「縁が白く!?」

徳善「色が変わってきたら、ひっくり返して約1分くらいできつね色になれば非常においしいよって話しになるので」

ヴァギー「きつね色」

本田「きつね色!?」

焼き肉のプロも、色で食べごろを判断するのがふつう~…。

ということで、アップデート実験開始!まずは、「音」の変化に注目してみる!

徳善「もう縁は白くなってきてます」

本田「白くなりました。一瞬今音がちょっと静まるタイミングがありましたよね」

徳善「ありましたよね」

本田「今ですかね? さっきみたいな静まり方がなかったな」

徳善「でももう縁は白くなってます」

本田「ああ、こりゃ大変だ」

実験失敗。ここでヴァギーさんから…

ヴァギー「現実投げかけていい?」

本田「はい」

ヴァギー「人もいるしさ、BGMガンガンじゃん。焼き肉屋で静かな事ある?」

本田「ほんとそうですね、たしかに」

続いて注目するのは、「形」。肉が焼けると、このように少しずつ縮んでいくが・・・。

本田「熱でちょっと“シンキロウ”みたいになって、肉が動いているように見える。ヤバい。うわー、これ2つ見るの難しいな」

本田「ぬかるみにはまりましたね」

ヴァギー「みなさん、やっぱ重要なものを忘れてるんじゃないでしょうか」

本田「なんすか?」

ヴァギー「時間あるじゃないっすか」

本田「時間っすね」

ヴァギー「時間あるじゃないっすか。店員さんが言ってた、白い縁が出てきて、裏返して、だいたい1分くらいかなみたいな。」

ということで、早速実験! 時間」で食べごろは判断できる?

ヴァギー「スタートでございます」

本田「はい」

徳善「はい、お願いします」

本田「はい、よいしょ。もうそろそろですか?」

徳善「いってみましょうか?」

本田「これでもう完成ですね。今のタイムは?」

ヴァギー「表面が、28.8秒、裏が32.7秒」

お味は?

本田「すごいおいしいんですけど、もうちょっとだけ焼くと、最高な感じですね」

徳善「表の28秒を、ちょっと35秒くらいに」

ヴァギー「OK」

本田さんにとってベストな食べ頃を、再度計測!

本田「3,2,1、ほい。これ緊張感やば。54321。ほい、はい、はい」

果たして・・・

本田「めっちゃうまい。めちゃくちゃうまい、これ。何回かあったんすよ。奇跡的においしいやつ、焼き加減のやつ、それが、再現されてます」

ヴァギー「マジで」

本田さん大好物の上ハラミ。ベストな食べごろをついに見つけた!

ヴァギー「いただきます。おいしい!」

本田「おいしいっすか。人にお肉焼いてうまいって言われたの、初めてです」

ヴァギー「おいしいよ」

本田「こんなにうれしい気持ちになるんですね」

ヴァギー「ああそっか、めちゃくちゃおいしいよ」

ここで実験終了!

「焼き肉の食べごろは、色で判断するのが“ふつう”」を、「焼き肉の食べごろは、時間でも判断できる」にアップデート!

オススメの「食べごろの時間」を紹介

<スタジオ>

レモン:おーすごい検証でしたねーこれは。しょこたん、どうでしたか。

中川:これみんなにとってうれしいことですね。秒数のおかげでジャストがわかると。だってホルモン歴すごい長いのに一生わかんないんですよ、焼き加減が。

レモン:あ、そうなん!?

中川:どれだけ色で、見た目で判断してきたのかなってびっくりしちゃいましたね。

レモン:本田さん、やってみた本人としてはどうでした?

本田:焼き肉問題って、やっぱり色覚障害の人にとってめちゃくちゃメジャーな問題なんですよ。

レモン:あーそうかー。

本田:みんな困ってて。その問題に風穴開けられたんじゃないかなーと思ってちょっと興奮しております。

実は色覚障害のある人は、国内におよそ300万人、男性の20人に1人にのぼると言われている。

レモン:ぶっちゃけ、なんでそこまでして「自分で焼いて食べたーい!」って気持ちになってんの?

本田:やっぱり僕、今までの人生でずっと、誰かに焼いてもらってるんですよ。

レモン:そうかー。

本田:32歳なんですけど32年間ずっと焼いてもらってて、人にしてもらわなきゃいけない“一択”のときは、ちょっと辛いなっていう思いがありますね。

レモン:徳善さん、色じゃ食べごろわからないって本田さんから初めて言われたとき、どんな気持ちでした?

徳善:どうしようって。なんて伝えて、どうしたらって思いましたし、「煙とか音は絶対無理やな」と思いつつ一緒に検証しましたけど、やはり無理で、もう時間っていうのがいちばんいいのかなって思いました。

ヴァギー:食べごろは時間でも判断できるアップデート案、お店のサービスとして導入できますか?

(徳善、導入の札をあげる)

レモン:おー導入ー!

中川:すごーい、忖度なしですごいすごい!

レモン:うれしい、忖度なしですよね。これはどうして導入をあげたんでしょうか。

徳善:実際に他の一般のお客さまにも「どれくらい焼いたらいいの?」ってほんとに非常に聞かれる中で、1つの目安というのを作っておけば説明しやすくなるので。早速会社の方にも取り入れていただいて。

レモン:もう、早速!?

今回、新たに作った説明書。おすすめの焼き方を徳善さんたちが部位ごとに検証!

色だけでなく、焼き時間の目安も記載することに!

このサービス、さっそく3つの店舗で導入することが決まったそう!

中川:アップデートしていただけると全ての皆さんに助かるので。メニューとかに1行でいいんでちらっと書いといてもらえると目安になっていいですね。

レモン:目安やねんな。

中川:人生って有限だし、1食ずつの食べられる回数ってほんとに限られてると思うと、いちばん美味しいの食べたいですもんね。

あずみん:今まで同じ理由でね、行けなかった人が行こうかなって思えるようになると思うし。

中川:今後の本田さんのデートがはかどりますよね。

本田:いやほんとそうですねー。これは助かりますねー。

レモン:かくな、アゴかくな。

ちなみに、「食べごろの時間」を紹介するサービス、徳善さんの店だけでなく、全国に広まってほしいとのこと。焼き肉店のみなさん、ぜひご検討くださーい!

ひとり焼き肉は、自分で焼いて食べるのが“ふつう”

<VTR>

あゆみ「どうぞー」

スタッフ「すいませんー」

続いて訪ねたのは、あゆみさん。社会人2年目、大阪でひとり暮らしをしている。

スタッフ「暗いっすね」

あゆみ「暗いですか? 天井の蛍光灯がきれちゃってて、途中まで気づかなかったんですけど、でも普段はそれで困らないので私は。そのままにしてるんですけど」

あゆみさんは全盲。目がまったく見えない。大の焼き肉好きで、学生時代は、家族や友だちとよく焼き肉店へ行っていた。多くの人にとって、焼き肉は自分で焼いて食べるのがふつう。一方、あゆみさんは、家族や友だちに焼いてもらうのがふつう。自分で焼いたことは一度もない。

去年、東京の大学を卒業し、就職のため単身、大阪へ。知り合いが少なく、コロナ禍もあり、もう3年近く焼き肉店に行っていない。

あゆみ「1人で行こうかなと思ったときに、気軽に行けたらいいなって思います。ふつうにお昼ごはんとかにいけたらいいなと思います」

ということで、アップデートするのは、「ひとり焼き肉は、自分で焼いて食べるのが“ふつう”」

あゆみさん、ついに人生初のひとり焼き肉へ!

あゆみ「こんにちはー」

早速、検証スタート!

徳善「奥のほう、ご案内します」

あゆみ「じゃあ手につかまっていいですか?」

徳善「ゆっくりいきましょうね」

徳善さん、目の見えない人を案内するのは、今回が初めて。

徳善「ここがテーブルになってます」

あゆみ「ありがとうございます」

徳善「イスはそちら。失礼します、いらっしゃいませ、こんにちは。お飲み物とか、どうさせてもらいましょうか?」

あゆみ「何があるか教えていただきたいんですけど」

徳善「けっこうあります」

あゆみ「じゃあジュース系教えてもらってもいいですか?」

徳善「はい、カルピスジュース、コーラ、ジンジャーエール、オレンジ、グレープフルーツ、あとカシス&ベリーソーダ、あとはマンゴーソーダ、あとライムジンジャー、レモンジンジャー、フローズンレモンソーダ、ノンアルコールレモンサワー、ザクロ茶、抹茶トニック、ノンアルコールハイボールがあります」

あゆみ「おいしそう、どうしよう。えっと、じゃあフローズンなんて?」

徳善「フローズンレモンソーダは凍ったレモンが入ってる」

あゆみ「興味があるのでそれにしてみたいです」

徳善「フローズンレモンソーダ、はい」

ヴァギー「今みたいにさ、めちゃくちゃカクテル量多かったら、ぶわーって言われるじゃん」

あゆみ「いや、そうなんですよ」

ヴァギー「脳内でめちゃくちゃ1個1個聞いて、今の今の、みたいな感じで?」

あゆみ「きになるやつだけ覚えておいて、あとでこう聞くみたいな」

続いて、お肉のメニューも読み上げてもらい、無事注文。あゆみさんが頼んだのは、こちらの3種類。

いよいよ、ひとり焼き肉本番!あゆみさん、徳善さんにこう切り出した。

あゆみ「自分で焼くのをやってみたいんですけど、もしお時間あったら、一緒に、というか見ていただいてもいいですか?」

徳善さんにナビゲートしてもらい、自分で焼いてみる!

あゆみ「立った方がいいんですか?」

徳善「立たなくても行ける距離感です。」

声を頼りに、肉を置く位置や、返すタイミングを教えてもらう。

あゆみ「わぉ」

徳善「刺さってるから」

あゆみ「あー、そういうことか」

徳善「あ、うまく乗りました。ナイスなところに乗りました。いける感じ」

あゆみ「いけた?」

徳善「いけましたいけましたいけました」

あゆみ「あ、おいしいです」

徳善「よかったです」

あゆみ「達成感とともに」

1枚焼くのに、およそ4分。このペースで1皿焼くと、30分以上かかる。さらに・・・

ヴァギー「つきっきりでって、お店側からしたら?」

徳善「手が空いてたら、本当に全然できることなんですけど、ちょっと混みあってるピーク時には、ずっとついてるっていうのは、ちょっと難しいかな。つきっきりっていうのは保証できないっていうのはあります」

すると、あゆみさんから思い切った提案が!

あゆみ「例えば、ちゅう房で、焼いてきていただくとかは?」

徳善「もちろん、フライパンもあるので、焼いて出すことはできるんですけど、フライパンで焼いちゃうと硬くなっちゃったりとか、ありますし、こうばしさとかがやっぱりちょっと全然違うので、残念かなというのは。」

あゆみ「じゃあちょっとお願いしてもいいですか?」

徳善「じゃあこれフライパンで焼いてきますね」

あゆみ「お願いします」

あゆみさんの大好物・レバーを、ちゅう房で焼いてもらうことに。

徳善「お待たせしました。」

あゆみ「わー、お皿に入ってるんですか?」

徳善「お皿に入ってます」

お味は?

あゆみ「おいしいです」

徳善「よかった」

あゆみ「みそ(ダレ)いい」

これには徳善さんも…

徳善「ここで焼くのが焼き肉と思ってましたけど、焼いてきてって言われて『えー、マジ!?』って思ってましたけど、それも今後ありなのかなと」

あゆみ「忙しいときに、ここで、つきっきりで焼いてもらうとかお互いけっこう、気疲れしちゃうところがあるような気がして。気疲れがないっていう、おいしさ、よさもあると思うんです」

ヴァギー「ですって、徳善さん」

徳善「うーん。ですねー」

実験終了!

「ひとり焼き肉は、自分で焼いて食べるのが“ふつう”」を、「店で焼いてもらうのもあり」にアップデート!

当事者の声から生まれた選択肢

<スタジオ>

中川:お互いに気づきがあったらすぐに柔軟に、あーそうか!っていう風に前に進んでいるなあっていうのはすごくいいことですよね。だって、おいしいハッピーっていう場所だし、あ、これでもいいのかも、みたいなぐらいのことで楽しめる方がいいですよね。

レモン:徳善さん。これ全盲の方をご案内するいうのは今までありました?

徳善:いや、初めてでした。

レモン:そもそも目が見えない人が来るとは思わなかったですか?

徳善:あんまり考えたことなかったですね。

レモン:考えたことなかったんですね。

中川:みんな食べたいはずですよね?焼き肉は。

レモン:もちろん!

中川:遠慮して、お店に行かなかったんですかね?

あずみん:私も手が短いから。

レモン:うん。

あずみん:これぐらいしかないから、焼けないんですよ、自分で。

レモン:届かへんねや。

あずみん:そう、届かへんから焼かれへん。だから一人で、結構1人行動好きで、どこでも1人で行くんですけど

レモン:ねぇ。

あずみん:焼き肉屋さんが唯一、1人で行ったことないところやって。

レモン:あずみんでも?

あずみん:そう。

レモン:ハードルがあったっていうことを気づかないですよね。

徳善:はい。そうですね、焼き肉焼ける、自分で焼くという想定の中で働いてるっていうか。

レモン:想定ですよね。

徳善:はい。

ちゅう房で焼いてもらう今回のアップデート案。実は撮影中、ヴァギーさんからこんな疑問が…

ヴァギー:店員さんに焼いてきてもらうとさ、定食屋の焼き肉定食とかでいいんじゃないかなぁとか。

あゆ:もちろん、焼き肉定食でもおいしいお肉食べられますけど、いろんな種類のお肉を自分で組み合わせて、注文して持ってきてもらうっていうのが、けっこう焼き肉屋さんならではの体験なのかなっていうふうに思います。

レモン:「フライパンで焼いてください」って言われた時には?

徳善:焼き肉ってこう、香ばしく焼くところにだいご味があって、頑なにフライパンで焼かない方がいいよって言ってたんですけど、そういう意見からすると、焼いてある、あげるっていうのも、フライパンであったとしてもいろんなお肉が食べれるのはやっぱり焼き肉屋さんなんで、逆ありなんかなっていうのも思いましたね。

あゆみさんと徳善さんが協力してできたアップデート。一方、番組のご意見番・玉木さんからこんな指摘が。

玉木:障害者に言われたらあれもこれも全部せなあかんって思い込んではるんやけど、そうではなくて、言ってみて、出来ることをその場でやっていく、当事者と一緒に、考えていくのが大事なことやと思うねんな。

ヴァギー:それでは、焼き肉は店で焼いてもらうのも、あり?!というアップデート案、お店のサービスとして導入できますか?

徳善:検討中で。

レモン:検討中〜!その理由は?

徳善:忙しいときの対応方法であるとか、そういう細かな打ち合わせっていうのはまだまだつめれてない話なので、今後、あの会社の本社の方にもしっかり伝えさせていただいて、なんとか形にはしていきたいなとは思ってます。

中川:やっぱり全部が全部できることでもないし、少しずついいところをお互いに、これならできるねってところを。

レモン:確かに。

中川:だっておいしいものが食べたいっていう欲望がいちばんっていうのはこれからも地球がある限り。

レモン:そうそう。

中川:みんなそうですからね。

玉木:これが正解じゃなくって、あくまでも本田さんとかあゆみさんの希望から生まれた選択肢の1つやったと思うねんな。

レモン:うんうん。

玉木:こうした選択肢が増えれば、たかが焼き肉、されど焼き肉、っていうことやんな。

あずみん:なるほど。

今日はここまで! 次回も、焼き肉のふつうをアップデート!

※この記事は2022年6月10日放送「#ふつうアップデート焼き肉編(1)」を基に作成しました。情報は放送時点でのものです。