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見た目の常識をアップデート1

NHK
2021年7月1日 午後8:29 公開

見た目の「ふつう」とはいったい? 今回のバリバラは見た目の常識、略して“MJ”のアップデートを試みる! スタジオに多様な「見た目マイノリティ」の方たちをお招きし、MJについてじっくり考えていきます。

オープニングパフォーマンス「あるく」(ダンス:かんばらけんた)

オープニングでは、リオデジャネイロ・パラリンピックの閉会式でもパフォーマンスを行った、かんばらけんたさんがダンスを披露。鍛え上げられた上半身の筋肉で車いすから体を宙に持ち上げるなど、身体の「常識」を超える動きが次々と繰り出された。

見た目マイノリティ、それぞれの本音

スタジオには、顔や体に特徴のある5名のゲストが登場、「見た目」に関わる体験談を語った。見た目マイノリティの日常について、本音トークがスタート!

ダンサーの森田かずよさんは二分脊椎症と側わん症という障害がある。背骨が曲がっており、胸や腰が変形しているため、ふだんの服選びが大変だ。「左右のバランスが全く違うので(体を)測るところが全然違う。パフォーマーとしても、お衣装さんに服を作っていただくんですけど、まぁ衣装泣かせ…」なのだそう。

ユーチューバーのことみんさんは口唇口蓋裂という疾患を持つ女子高生。上あごとくちびるが裂けた状態で生まれてきた。くちびるには治療のあとが残っている。「小学校の時、見た目を皮肉ったあだ名を付けられたり。男子たちが『かわいい子、誰だ』みたいな話をしているときに『あいつは論外だから』みたいなことを言われたり」。

タレントの副島淳さんは父親がアメリカ人。見た目で「ダンスがうまいんでしょ?」などと言われるという。ことみんさんの話に共感し、「小学校の時に、副島くんがかっこいいと思う、って言った女の子が、周りから『え?副島?肌の色、黒だし・・・』と隅に追いやられてしまった」と話した。

生まれたときから、顔の右側に赤紫色のあざがある氏家志穂さんは多感な思春期を過ごした。「悩みはずっとありました。中学生の時にすごいいじめにあって」不登校になったという。「半魚人って言われましたね、魚ですらないんやけども(笑)」。「多分テレビの前の人たちは、私がここで普通にしゃべってると思ってると思うんですよね。だけど、私は見られるとか見つめられるのがすごく怖いんですよ、精神的に」。

オープニングでパフォーマンスを披露したダンサーのかんばらけんたさんは胸から下が変形しており、車いすに乗っている。「三歳の娘を連れて公園にいったりしたら、めちゃくちゃ目立つのでジロジロ見られます。僕は慣れているけれど、娘はそれが怖いみたいで、やっぱり複雑な気持ち」になってしまうという。

副島さんいわく、街で自分を見てくる子どもをお母さんが「ダメダメ、見ちゃダメ」と注意することは“あるある話”なのだという。おなじ経験のあるあずみんは「ちょっと傷ついちゃいますね」と共感。

自分の見た目は「個性」なのか?

好奇の目にさらされることに複雑な思いがあるという人たちがいる一方、森田さんはダンサーとして活動する中で、気持ちに変化があったそうだ。

「子どもに歩き方を真似されることがよくあったんです。(以前は)すごく嫌だったんですけど、(ダンスをするようになった)今では、その子が“自分とは違う身体”になろうとしている、興味を持ってくれているんだなーって感じる。『お、いいぞ』って、子どもにとっては発見だなって思うと応援したくなる」と森田さん。

自分の見た目を「個性」として捉えているのか、という問いについても話題に。副島さんは「エンターテイメントの世界に出てる自分は見た目が個性だって思っているんですけど、日常生活になると、嫌なこともある」という。日常のふとした瞬間に「やっぱり来世は日本で生まれたら黄色人種として生まれたい」と思うこともあるそうだ。

かんばらさんは「“個性”って思っている人は、それはそれで良い距離感なので、否定する気はないけど、全員が“個性”って思わなくていいし、無理してポジティブにならなくていいよな、ってすごく思いますね。ダンスにおいては、世界でも僕しかできない動きってのがあるので“個性”になっていると思いますけど、普段の生活ではあんまり“個性”だとは思わないですね」と語ってくれた。

ダンスパフォーマンス:Feel My Body (ダンス:森田かずよ)

スタジオではおだやかな音楽とともに、森田かずよさんの即興ダンスパフォーマンスがはじまった。自身の身体を慈しむような振り付けが印象的な2分間だった。

あざを隠すのではなく磨きたい

続いて、MJアップデート実験!氏家志穂さんが長年の夢にチャレンジ。それは「あざをきれいに見せてくれる、日常生活でもなじむような、あざを生かしたメイク」だ。

生まれたときから右ほほにあざがあった氏家さん。「いじめられたときは(あざを)隠したいと思ったんですね。でも知識がなかったので、ただティッシュを水に濡らして鏡の前で泣きながら一生懸命拭いたんですよね」。好奇の目にさらされ、世の中を恨んだこともあった。しかし気持ちに変化が芽生えたのは子どもができてから。あざを美しくメイクした姿を子どもたちに見せたい。そんな目標が生まれたという。

「あざがないのが一番いいんですけど、たまたま私には“あざという宝物”が与えられたので、隠すとか消すっていう選択肢ではなく磨きたいなって思うんですよ」

氏家さんの夢を叶えるため、化粧品メーカーに勤めるメイクのプロフェッショナルたちが集結! あざの色むらを整え、あざ以外の部分にも赤系の色をのせるなど、プロの技によって、あざが映えるメイクが完成する。「本当にありがとうございました」と夢が実現し嬉しそうな氏家さん。

向き合いたくないときは向き合わないでいい

氏家さんのアップデートを見て、副島さんはこう話す。「僕もこの(肌の)色がすごく嫌で。小学校のとき泣きながら石鹸でこすって、消えないかな?ってやっていたのを思い出して。氏家さんもいろいろ経験されて悩みも葛藤もあって、でもあざを宝物ととらえて、そこを磨きたいって仰っているのが素晴らしい」。

「オープニングで、上半身裸で踊らせていただいたんですけど、ダンスを始めた頃は自分の裸を見せるって考えられなかったし、“隠すもの”っていう認識でした。けど、だんだん肩周りの筋肉を見せたいと思ってチャレンジして。“筋肉凄い”っていう反応が来るかと思ったら、“きれい”とか“美しい”っていう感想をもらって。それは自分にはなかった発想だったので、アップデートでしたね」とかんばらさん。

バリバラのご意見番、玉木幸則さんはこう話してくれた。「みんながどう見ていても、自分が自分とちゃんと向き合っているか、向き合いたくないときは向き合わないでいいとか、そうやって折り合いをつけながら生きているんやなって思う」。

ことみんさんは中学生の頃、自分のプライベート写真にはスタンプやモザイクで口元を隠していたそうだが、現在YouTuberとしては「見られて恥ずかしいしヤダって思う気持ちと、もっとみんなに(口唇口蓋裂を)知って欲しいから発信していきたい気持ちと両方もっています」という。

「私はずっとあざを隠さずに、消さずに生きてきたんですよ。だから、あざをファンデーションで隠している人と意見が合わなくて議論したこともあったんです。だけど、あざを隠して生きていくことも正解だと思うし、私みたいにあざを隠さずに生きていくのも正解で、全部正解ですよね。今はそう思えるようになっています」と氏家さん。

そして、氏家さんの「守ってあげたい」の言葉に感極まることみんさん。最後に「見た目に同じ症状がある人や見た目マイノリティって言われる人たちと出会った経験がなくて、嬉しい」と話してくれた。

次回も引き続き、見た目の常識、MJをアップデートしていきます。どうぞお楽しみに!