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バリバラ10年目SP ♯2自分らしさって!?多様な性と多様性
NHK
2021年5月13日 午後8:29 公開

先週に引き続き、放送開始10年スペシャル!第2弾は、当番組になじみの深い2人を通して、「多様な性と多様性」について、バリバラがなにを伝えてきたか振り返ります。

「大西賢示」との折り合いに悩む、はるな愛さん

はるな愛さんは、放送開始当初から「バリバラR」(ラジオ番組、現在休止中)のMCを務め、マイノリティーのためのファッションショー『バリコレ』を企画するなど、バリバラ・ファミリーのメンバー。

子どもの頃から、男として生まれたことに違和感があったはるな愛さんは、高校中退後、女性として生きると決心、ショービジネスの世界へ飛び込み、性別適合手術も受けた。その後は、「おねえブーム」に乗って、タレントとしてTVでも活躍、タイで行われたトランスジェンダー女性のコンテストで世界一になったことも大きな話題となった。

トランスジェンダー女性のフロントランナーともいえるはるな愛さんだが、長年ある違和感を持ち続けてきた。

「性別適合手術をしたら悩み事が無くなると考えていたけど、生理がくるわけでないし、本当の女の子の体にはなれないとわかった」といい、「大西賢示」として生きた過去、つらかった思い出も、自分のなかの大切な部分だと思っているのだという。はるなさんは、戸籍上の名前は本名の大西賢示のままで、性別も変更していない。

そんな、はるな愛さん、最近になって、今まで以上に、「自分のなかの大西賢示」の部分が大きくなってきていると感じている。「お仕事で男性の服装をする機会があったのね。そうしたら、目線まで男みたいになって,女の子のミニスカートに目が行ったりしたの」。そう語るはるな愛さん。女性の部分と男性の部分、どう折り合いをつけていけばいいのか、悩んでいる。

「自分は何者!?」入り口としてのLGBTQ

「自分は 女?男?それとももっと違う何か?」最近では女性との恋愛も意識するようになったというはるな愛さん、「自分は何者か?」との問いを胸にある人を訪ねた。ゲイバー界のレジェンド吉野寿雄さん、御年90歳。はるなさんが若い頃からなにかと相談に乗ってもらってきた人物だ。米兵に体を売って、戦後の時代を生き抜いたという吉野さん。当時も、ゲイであることは昼間の世界では口にはできず「おびえながら生きていた」という。

「ママにとって自分は何者なんですか?」はるなさんの問いに、「自分は自分者よ。変えようがないもん。持って生まれた性格はもう一生つきもの」と答える吉野産さん。「トランスジェンダー=“女になりたい人”と見られることが生きづらさにつながっている」自分は“自分らしく”生きられていないのかも、はるなさんは、今まさに悩み中だ。

「LGBTQという言葉が広まった昨今、つい『あなたはL?」など聞いてしまう現状があるけれど、LGBTQは人をどれかにあてはめるための言葉ではない』と、ご意見番の玉木幸則さん。MCの山本シュウさんはこう話す。「LGBTという言葉でスタートしたけど、それはあくまでとっかかり。性の多様性は実はもっと広い、ということを伝える段階にきている」。

どれだけ生きづらさを感じている人がいるんだろう?

続いて紹介するのは、バリバラ開始当初からのレギュラー出演者、大橋ノアさん(バリバラレギュラー時代はグレース)。番組内では恋愛に積極的な“肉食系女子”と見られていたが、実はずっと性別への違和感を隠していた。転機はアメリカ留学。現在もアメリカに住み、トランスジェンダーの男性、大橋ノアとして自分らしく日常生活を送っている。

アメリカで大学入学の申し込みをする際、性別欄に『男性』『女性』『どちらでもない』『答えたくない』という選択肢があったのだという。それを見たとき、「自分がおかしいんじゃなくて、日本の社会から、男か女か、どちらかしかないのだと、植え付けられていたんだと気づいて、少しずつカミングアウトできるようになった」とノアさんは話す。カミングアウトしたときに、これからどうしたいか丁寧に話を聞いて、一緒に考えてくれる人が周囲にいたことも大きかったという。

ではなぜ、日本ではカミングアウトできなかったの?

ノアさんが挙げたのが、『ダブルマイノリティー』の回。ヘルパー制度を利用して1人暮らしを送っている植木智さんのことを取り上げていた。「もしカミングアウトして、ヘルパーが来てくれなくなったら生活が成り立たなくなる」植木さんがなかなかカミングアウトに踏み切れなかった理由を聞いたノア(当時の大橋グレース)は、“やはり自分はカミングアウトできない”と感じたのだと振り返る。

玉木さんは「障害者のヘルパーが絶対的に不足していて、人を選ぶこともできないのが現実」と“人手不足”のためにヘルパー制度自体が十分に機能していない現実を指摘。障害者であり、セクシュアル・マイノリティーであることは、マイノリティー性が交差するゆえの生きづらさがあるのだ。

ところが、ノアが留学した先では、セクシュアル・マイノリティーで障害のある仲間に会うことがたくさんあるのだという。

「アメリカに来て、障害者でトランスジェンダーとかセクシュアル・マイノリティーの人に出会う確率が、日本とあまりにも違い過ぎる。日本ではカミングアウトするのが怖くて、言い出すことのできない人たちがどれくらいいるんだろう?どれだけ生きづらさを感じている人がいるんだろう?って感じました」

生きづらさは一人ひとり違う。いろんな人の声を聞いていきたい

5年前から『生きづらさを抱えるすべてのマイノリティー』の声を取り上げる番組に進化したバリバラ。スタジオでは、障害とセクシュアリティーなどマイノリティー性が重なることで、生きづらさがより複雑になることがゲストたちから口々に語られた。最後に『バリバラのこれから』について、ノアさんはこう語った。「『バリア(社会的障壁)を無くす=バリアフリー』っていう意味で言うと、それは障害者だけのことではなくて、社会の『生きづらさの壁』を無くてしていくという意味での『みんなのためのバリアフリー』って感じになっていけば嬉しい」。

玉木さんは「生きづらさは本当に一人ひとり違うから、話をちゃんと聞かないといけないことがよくわかった。もっともっといろんな形で発信し続けていきたいし、いろんな人の声を聞いていきたい」。

バリバラはこれからもすべてのマイノリティーの生きづらさに耳を傾け、社会の側にある壁(障害、差別、偏見)を無くすためにどうすればいいか、一緒に考えていきます!