【9月4日の解説】①ウクライナ軍が第1防衛線突破 ②ウクライナ国防相“更迭”

NHK
2023年9月5日 午後2:05 公開

2つのウクライナ関連のニュースを望月キャスターが解説します。

(「キャッチ!世界のトップニュース」で9月4日に放送した内容です)
 

・ウクライナ軍 第1防衛線突破

ウクライナ軍は、南部ザポリージャ州でロシア側が支配する交通の要衝に向け反転攻勢を続けており、ロシア側が幾重にも築いてきた防衛線についてウクライナの国防次官は「ロシア軍の第1防衛線を特定の複数の地点で突破した」と述べました。
 

第1防衛線の突破はウクライナにとって、ロポティネの奪還に続く大きな前進です。ロシアはウクライナの反転攻勢に備え、南部でことし春から幾重もの防衛線を急ピッチで築いてきました。今回、ウクライナが突破したとする第1防衛線は、南部ザポリージャ州のベルボベ周辺で突破したとしています。

統いて、第2防衛線があります。さらに、要衝トクマクを取り囲むように防衛線が築かれ、町は要塞化しています。
 

これらの防衛線は「スロビキン・ライン」と呼ばれています。ウクライナへの軍事侵攻でロシア軍の副司令官を務めたスロビキン氏(写真左)にちなんだ名前です。スロビキン氏は、プリゴジン氏の武装反乱の計画を事前に把握していたとも伝えられ、8月に解任されましたが、「スロビキン・ライン」についてアメリカのフォーブスは、世界でもほぼ類を見ないほど強固な防衛線だと指摘しています。
 

その詳細をウォール・ストリート・ジャーナルが分析した図です。赤い線がざんごう、黄色い線が「竜の歯」と呼ばれる構造物、オレンジの線が戦車ごうです。さらに広大な範囲に地雷が敷設されています。
 

竜の歯は、コンクリートでできたおよそ120センチのピラミッド型の構造物ですが、戦車の下に食い込みウクライナ軍の前進を阻んできました。ウクライナ軍の前進についてアメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官も、1日、ウクライナの反転攻勢で過去72時間に「注目すべき進展があった」と指摘。さらにカービー氏は第2防衛線の戦闘でもいくつか成功しているとの認識を示しました。
 

ウクライナ軍はこのあとさらに南下し、要衝トクマクを奪還、さらにメリトポリを奪還してアゾフ海に達するのが当面の目標とみられています。イギリスのガーディアンは、ロシアはウクライナが南部で第1防衛線を超えられないと予想し、第1防衛線を固めるためにあてた兵力は60%で、第2防衛線にあてた兵力は20%にとどまると伝えています。

ウクライナの反転攻勢はスピードが遅いと指摘されてきました。今回、第1防衛線を突破したことで反転攻勢が大きく進展するかが注目されます。一方、ロシア軍は別の地域から部隊を南部に再配置しているともみられ、今後も激しい戦闘が続くとみられます。
 

・ウクライナ国防相“更迭” 今後の戦況に影響は

ウクライナのゼレンスキー大統領は3日、レズニコフ国防相を交代させると発表しました。ウクライナでは国防省での汚職疑惑が伝えられていて、事実上の更迭とみられます。
 

ゼレンスキー大統領は3日夜、動画で次のように発表しました。

「レズニコフ氏は550日以上にわたって本格的な戦争に向き合ってきた。国防省には新しいやり方や軍や社会との新たな関係が必要だと思う」。
 

ウクライナでは国防省による制服の調達をめぐる汚職疑惑などが相次いで伝えられ、レズニコフ氏の交代が取り沙汰されていました。

レズニコフ氏は欧米から軍事支援を引き出すなどロシアによる軍事侵攻の対応では中心的な役割を果たしてきました。反転攻勢が続く中での要職の交代なので、影響が注目されます。ただ、今回の交代はゼレンスキー大統領にとって反転攻勢を進めるためにも必要なものだったとも言えるかもしれません。ウクライナが汚職問題で国際社会の信用を失えば、欧米からの軍事支援に影響が出かねません。また、念願のEUやNATOへの加盟も遠のくことになります。
 

ゼレンスキー大統領は後任に国有財産基金のウメロフ総裁をあてるとしています。新たな人事は議会に諮られ、正式に決まることになります。
 

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