ロシア国防省は13日、ウクライナ東部のドネツク州でウクライナ側の拠点のひとつバフムトの近郊にある集落を掌握したと発表。NATOのストルテンベルグ事務総長は軍事侵攻の開始から1年を前に警戒していたロシアによる大規模な攻撃はすでに始まっているという認識を示しました。別府キャスターの解説です。
(「キャッチ!世界のトップニュース」で2月14日に放送した内容です)
・ウクライナ南東部にある交通の要衝「バフムト」
東部ドネツク州にあるウクライナ側の拠点バフムト。なぜ、ロシアは執拗にこの町の攻略を目論むのでしょうか?その戦略的な意味について見ていきます。
ウクライナ南東部の前線ですが、弓のような形になっており、バフムトは中心部あたりにあります。ロシア側は、ここを突破し、ウクライナにさらに攻め込もうとしていると見られます。
こちらの地図ではご覧のように、バフムトはいくつもの幹線道路が交差するほか、鉄道も通る、交通の要衝でもあります。ロシア側は「ここを押さえれば、東部ドネツク州での支配を広げていける」との狙いがあると指摘されています。バフムトは、1年近くになるロシアのウクライナ侵攻で、最も長期にわたって攻防が続いてきた場所となっています。
またバフムトは、ウクライナの国土防衛の戦いにおいて象徴的な場所にもなっています。
12月20日、ゼレンスキー大統領自らがバフムトに入り、兵士たちを鼓舞しました。その時に、ゼレンスキー大統領は兵士たちから託されたウクライナの国旗をアメリカの首都ワシントンに持って行き、連邦議会で演説を行った際、下院議長に手渡しました。
・ロシア側は人海戦術で攻撃
一方で、攻略を目論むロシア側は、文字どおりの人海戦術で攻めています。イギリスのフィナンシャル・タイムズは、「軽装備のロシア兵を人の波のように送り込んでいて、人的損失を顧みないソビエト時代の上官がやっていたことと似ている」としています。ロシア側には多くの死傷者が出ていますが、それでもこの戦術をとるのは、「ロシアにはより多くの兵力がいて、損失の影響が少ないことをウクライナ側に見せようとしている」という分析を紹介しています。
ロシアの上官たちが自国の兵士の命をいかに粗末に扱っているかを物語っています。しかも、こうした現状は、国営ロシアテレビのニュースでも一切触れられていません。
こうした中で、ロシアの民間軍事会社ワグネルが12日、バフムトの北側の町外れにあるクラスナ・ホラの村を攻略したと発表し、ロシア国防省も13日同様の発表を行いました。
ウクライナ側にとって、バフムトをめぐる情勢は厳しさを増しています。
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