ウクライナと国境を接するロシアのベルゴロド州では、6月1日以降、砲撃などの攻撃を受けています。ウクライナ政府は攻撃への関与を否定し、プーチン政権に反対するロシア人などの義勇兵を名乗る2つの武装組織が関与を表明しています。ロシアへの攻撃はベルゴロド州だけでなく隣接する2つの州にも広がっているとカタール・アルジャジーラは伝えています。
ロシア西部で攻撃が広がる中、プーチン政権は警戒を強めざるを得なくなっています。プーチン大統領が募らせていると見られる危機感、その原因と見られるロシア西部の緊張、そしてウクライナの反転攻勢について、別府キャスターの解説です。
(「キャッチ!世界のトップニュース」で6月5日に放送した内容です)
・5月から続くロシア西部への攻撃
まず、「ロシア西部の緊張」です。この一帯は、ウクライナと国境を接しています。このうちベルゴロド州では、5月22日、「自由ロシア軍」と「ロシア義勇軍」を名乗る2つの武装組織がウクライナ側から侵入して戦闘を行ったと主張し、クレムリンに激震が走ったと指摘されています。
しかし、この攻撃は、この1回だけではありませんでした。その後、6月に入っても砲撃などが続き、地元当局はこれまでに7人が死亡したとしていますが、2つの武装組織はこれへの関与も主張しています。さらに、ロシア各地の当局によりますと、2日には、クルスク州とブリャンスク州でも攻撃がありました。住民の避難も行われていて、ニューヨーク・タイムズは、ベルゴロド州のシェベキノについて「住民が逃げ出して、ゴーストタウンのようになっている」と伝えています。
プーチン大統領としては当然、危機感を募らせるような状況です。「国境をきちんと防衛できていないのではないか」という不満がロシア国民から向けられることも望んでいるはずはありません。
・ウクライナの反転攻勢はすでに始まっている?
こうした中で、「ウクライナの反転攻勢」が迫っています。ゼレンスキー大統領は、ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで、「準備は出来ている」と述べた上で、多方面で展開されることを示唆しました。
ただ、この反転攻勢は、広い意味ではすでに始まっている可能性もあります。
思い出されるのは去年(2022年)11月に南部へルソンが奪還された時の作戦です。
この時の反転攻勢にしても、奪還の4か月前の7月の時点で、ヘルソン出身の住民はインタビューで、「市内にあるロシア軍の拠点にも砲撃があり、市民は反転攻勢が始まったと受け止めている」と話していました。今回も、「ある日、ある場所で始まった」と特に宣言されることなく進められる可能性があります。それだけ、ロシア側にとって対応はより複雑になります。
ロシアでは、きのう4日、反体制派の指導者の釈放を求める抗議活動が国内各地で行われました。プーチン大統領としては、危機感や警戒感を高め、さらに神経をとがらせるような状況になっているのは間違いなさそうです。
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