ウクライナの首都キーウに対するロシア軍の攻撃が繰り返される中、ロシア国防省は30日、首都モスクワなどを狙った無人機による攻撃が仕掛けられたと発表。ウクライナ政府は関与を否定しています。
ロシアのプーチン大統領は「ウクライナの政権はロシアや国民を威嚇する道を選んだ」と述べ、具体的な根拠は示さずに、ウクライナによる攻撃だと主張したうえで対抗措置をとることを示唆しています。望月キャスターの解説です。
(「キャッチ!世界のトップニュース」で5月31日に放送した内容です)
・首都モスクワへ初めての複数の攻撃
ロシアがウクライナ侵攻を始めてから、首都モスクワが無人機による複数の攻撃を一度に受けるのは、これが初めてです。無人機による攻撃はどこで行われたのか、イギリスのフィナンシャル・タイムズが、ロシア側の情報を基にまとめた地図で見ていきます。
ロシアは首都モスクワや近郊を狙って8機の無人機が攻撃を仕掛けてきたとしています。このうち5機を撃墜し、3機を電子戦の装置で無力化したとしています。
3機はモスクワ南西部にある3か所の高層住宅に接触し2人がけが、5機はモスクワ郊外で撃ち落としたということです。この一帯はプーチン大統領をはじめ、政府高官の邸宅が集まる高級住宅街で、その近くに墜落したということです。最大の焦点は誰が攻撃を行ったのかですが、現時点では明らかになっていません。
ロシアは5月に入り首都キーウで攻撃を繰り返していて、29日から30日にかけての攻撃では1人が死亡しました。これを受けてウクライナ国防省情報局のブダノフ局長は、「われわれを脅そうとする者はすぐに後悔する」と報復を示唆していました。ただ、今回の攻撃についてポドリヤク大統領府顧問は、「われわれには直接関係がない」と述べて関与を否定しています。
・プーチン大統領は対抗措置を示唆
一方、5月3日には、ロシア大統領府がクレムリンに対して2機の無人機による攻撃が仕掛けられたと発表されました。この攻撃をめぐってはロシア側による自作自演という見方も指摘される一方で、アメリカのニューヨーク・タイムズやCNNテレビは24日、ウクライナ側が関与していた可能性があるとする見方を伝えました。このうちニューヨーク・タイムズは複数のアメリカ政府当局者の分析として「ウクライナの特殊機関または諜報機関のいずれかによって計画された可能性が高い」と報じています。
今回の攻撃についてロシアのプーチン大統領はウクライナによる攻撃だと主張し、対抗措置を取ることを示唆しています。仮に攻撃がウクライナによるものだとすれば、ロシアに軍事侵攻を継続する口実を与え、攻撃をさらにエスカレートさせる懸念があります。しかし、もしそうだとしても、攻撃の応酬はロシアがウクライナへの軍事侵攻を継続しているからにほかなりません。
これを止めるためにはロシアが侵攻の継続を断念することが必要なことは間違いないとい言えます。
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