NATO(北大西洋条約機構)は、14日から開かれていた国防相会議で今後、ウクライナへの軍事支援として大量の弾薬を供給するため、加盟各国が弾薬の生産能力を強化することで合意しました。加盟各国は来年からGDPの2%以上を国防費に支出することを目標にすることになるとしてロシア軍のウクライナ侵攻によってNATOは変化を迫られていると伝えています。
欧米がウクライナへの軍事支援を協議する中、空の防衛をめぐる新しい懸念も出ています。アメリカでは中国の気球が撃墜され、回収された残骸の分析が進んでいますが、その気球が、今度は、ウクライナの上空にも現れました。中国ではなく、ロシアのものだとウクライナ側は見ています。別府キャスターの解説です。
(「キャッチ!世界のトップニュース」で2月16日に放送した内容です)
・「ロシアの気球6基を撃墜」とウクライナ空軍が発表
きのう15日も、首都キーウでは防空サイレンが鳴り響きました。「またミサイル攻撃か」と警戒されましたが、ウクライナ空軍は後に、「気球が飛んでいたからであり、撃墜した」と発表しました。
発表によりますと、キーウ上空で確認されたのはロシアの気球6基で、それらの気球には反射板などがついていた可能性があり、風任せで飛んでいたと見られ、防空システムが機能して撃墜したということです。
これらが発表通りロシアのものだとしたら、その目的は何なのでしょうか?
中国の気球について、アメリカは偵察のために使っていたのではないかと見ています。しかし、ロシアのものと見られる気球の目的は偵察ではなく、ウクライナの防空システムを消耗させるためではないかとウクライナ軍は見ています。つまり、ウクライナの防空システムをわざと作動させ、迎撃のための地対空ミサイルを無駄に使わせるための、「偽の標的」だというのです。
・英メディア「迎撃用のミサイルが不足」
こうした気球は、数日前にも飛ばされていた可能性が指摘されています。
14日、ウクライナの隣国のモルドバでは、気球に似た物体が確認されたとして、安全のために1時間半ほど領空が閉鎖されました。また、ルーマニアの上空でも確認され、戦闘機が緊急発進して警戒しました。
これらもロシアからウクライナを通って行ったものではないかと、ウクライナ当局は見ています。一方、これら気球に関してロシア側の発表はありません。
イギリスのフィナンシャル・タイムズは、「ウクライナの防空システムはこれまでのところ、ロシアがウクライナの制空権を握るのを防いできたものの、迎撃用のミサイルが足りなくなってきている」としています。
ロシアがミサイルや無人機での攻撃を執拗に続け、気球まで使い始めている恐れも浮かび上がる中、ウクライナの空の防衛をめぐる支援も強化が急がれています。
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