ベルギーのブリュッセルにあるNATO(北大西洋条約機構)の本部で始まった、ウクライナへの軍事支援について協議する会合。
軍事支援と言えば、戦車、長距離ミサイルに続き、戦闘機の供与をめぐる議論が注目されていますが、今回の会合で浮かび上がったのは、もっと基本的な「弾薬」が不足しているという現状です。別府キャスターの解説です。
(「キャッチ!世界のトップニュース」で2月15日に放送した内容です)
・ウクライナ軍の砲弾は、日に最大1万発という報道も
ウクライナ東部、ドンバス地域の戦闘は砲撃戦となっています。ロシア軍は、ドネツク州のバフムトに対しても連日、激しい砲撃を加えていて、ドネツク州のキリレンコ知事は、その激しさについて、「バフムトには、敵の砲撃などの射程に入っていない安全な場所はもはやない」としています。
国営ロシアテレビの映像でも、砲撃を続けるロシア軍部隊の様子を伝えています。これに対し、国土防衛のための抵抗を続けるウクライナ軍も砲弾で反撃しています。その数について、AP通信は毎日6000から7000発に上るとしています。ロイター通信は、毎日、最大で1万発になるとしています。いずれにしても大量です。
・アメリカの砲弾製造は朝鮮戦争レベルに
こうした状況で、NATOはウクライナに支援をしていますが追いついておらず、NATOのストルテンベルグ事務総長は懸念を示しました。
「ウクライナでの弾薬の消費のペースは、NATO加盟国の現在の製造のペースより何倍も速い。NATO加盟国の防衛産業に負荷がかかっている。弾薬によっては注文から納品までの期間が1年だったのが、2年あまりに延びたものもある」。
このため、ベルギーの会合では、戦闘機という時間がかかることが予想される議論よりも、弾薬をどうするかという点が差し迫ったものになっているようです。
東西の冷戦終結後、欧米では防衛産業は縮小傾向でしたが、ここに来て急きょ、大量の弾薬が必要な状況になっています。ニューヨーク・タイムズは、「アメリカでは砲弾の製造を何倍も急増させていて、そのレベルは、朝鮮戦争以来だ」と伝えています。
まるで時計の針が、元に戻っているかのようです。
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