ウクライナが国土の奪還を目指して新たな反転攻勢に乗り出すとするなか、ロシア国内では攻撃が相次いでいます。望月キャスターの解説です。
(「キャッチ!世界のトップニュース」で6月1日に放送した内容です)
・相次ぐロシア国内への攻撃
ロシア国内では5月30日に首都モスクワなどで起きた無人機による攻撃に続いて、31日も攻撃が報告されました。
ひとつは、南部クラスノダール地方です。燃料貯蔵施設で火災が発生しました。地元の知事は無人機による攻撃を受けたとみられるとしています。もうひとつがウクライナと国境を接する西部ベルゴロド州です。州知事は、ウクライナ軍の攻撃が相次ぎ死傷者が出るなど被害が広がっていると明らかにしました。
ベルゴロド州の攻撃については、国営ロシアテレビも31日夜のニュースのトップで伝えました。ウクライナ側から砲撃が続いて4人がけがをし、子どもたちが隣接する州に避難を余儀なくされていると伝えています。このベルゴロド州では5月22日にも、ロシア人などの義勇兵だとする組織が戦闘を行っているとしています。
・「ウクライナの反転攻勢に向けた戦略」という見方も
ロシア国内で攻撃が相次ぐ理由は何なのか。
ウクライナ政府は、攻撃への直接の関与を否定していますが、フランス2は、軍事専門家の話として、「ウクライナの大規模な反転攻勢に向けた戦略だ」という見方を示しています。ロシア国内やロシアが支配しているウクライナの領土で、ロシア軍の侵攻を支える補給線をポイントで攻撃し、ロシア軍を動揺させるというものです。また、ロシア国内を不安に陥れるのも戦略のひとつだとしています。
こうした中、ウクライナ大統領府は、ゼレンスキー大統領が5月31日、南部のオデーサ州を視察したと発表。ゼレンスキー大統領は現地の司令官から作戦や任務遂行の準備状況について報告を受けたとしていて、南部での今後の作戦について協議したものとみられます。
最新の戦況についてイギリス国防省は、5月31日に、「5月以降、戦況の主導権がいっそうロシアからウクライナに移っている」と指摘しました。そして「ロシアは5月だけで20日間も無人機やミサイル攻撃を行い、ウクライナの防空網を無力化し、反転攻勢の部隊を破壊しようとしたが、ほとんど成功していない」と分析しています。
ロシア国内での攻撃にプーチン政権が神経をとがらせているとみられる中、ウクライナによる反転攻勢の開始は着実に近づいているように見えます。
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