北朝鮮から通報があった「人工衛星」の打ち上げ計画について日本政府は近く「衛星」と称する弾道ミサイルが発射され、沖縄県の上空を通過する可能性があると分析しています。
政府は北朝鮮に自制を強く求めると共に自衛隊に日本の領海への落下に備え、迎撃できるようにするための「破壊措置命令」を出しました。望月キャスターの解説です。
(「キャッチ!世界のトップニュース」で5月30日に放送した内容です)
・北朝鮮の「国防5か年計画」とは
北朝鮮が「人工衛星」を打ち上げる計画を通報してきたことについて、けさ、新たな動きがありました。
北朝鮮の朝鮮労働党中央軍事委員会のリ・ビョンチョル副委員長は、「初めてとなる軍事偵察衛星が6月に入ってまもなく打ち上げられる」と、国営メディアを通じて明らかにしました。軍事偵察衛星の目的については「アメリカや追従勢力の危険な軍事行動をリアルタイムで追跡・監視する上で不可欠だ」としています。
北朝鮮の動きに対し、日本とともに隣国・韓国でも警戒が高まっています。韓国KBSは、北朝鮮の打ち上げ計画の狙いやタイミングについて次のように分析しています。
まず、狙いの背景には、北朝鮮の「国防5か年計画」があるとしています。「国防5か年計画」は、キム総書記が2021年に打ちだしました。朝鮮労働党の創立から80年の節目にあたる2025年までに、「最強の軍事力を確保しなければならない」としたものです。
核兵器の小型化と軽量化、戦術核兵器の開発と超大型核弾頭の生産などとともに、軍事偵察衛星の保有も掲げています。
・韓国は人工衛星の軌道投入に初成功
北朝鮮は、キム総書記が5月16日、初めてとなる軍事偵察衛星の打ち上げに向けて、「搭載準備が完了した1号機を視察して今後の行動計画を承認した」と発表していました。このタイミングとなることについて韓国KBSは、梅雨の時期を避けるとともに、韓国が5月25日、国産のロケット「ヌリ号」を打ち上げ、小型の人工衛星を軌道に投入することに初めて成功したことがあると指摘しました。
これについてユン・ソンニョル大統領は「韓国が宇宙大国になったと宣言する快挙だ」と述べていました。韓国KBSは、韓国のこうした動きが北朝鮮を刺激したとみられると分析しています。
北朝鮮は1990年代から「人工衛星の打ち上げ」と称して事実上の長距離弾道ミサイルの発射を繰り返してきました。このうち2012年12月と2016年2月の2回について地球を周回する軌道に何らかの物体が投入されたと分析されています。一方、地上との定期的な通信などは確認されていません。
人工衛星を打ち上げるロケットと弾道ミサイルの技術は基本的に同じで、国連安全保障理事会の決議に明確に違反します。北朝鮮は打ち上げを繰り返しながら衛星に関する技術も高めていくとみられ、国際社会は厳重な警戒を続けています。
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