ウクライナで増加する子どもの犠牲

NHK
2023年6月2日 午後5:12 公開

ウクライナの首都キーウでは、1日もロシア軍のミサイル攻撃があり、9歳の女の子を含む3人が死亡しました。一方、ウクライナと国境を接するロシア西部ベルゴロド州の知事は1日、国境近くの町が砲撃を受け、あわせて10人がケガをしたとSNSで明らかにしました。望月キャスターの解説です。

(「キャッチ!世界のトップニュース」で6月2日に放送した内容です)
 

・「占領地域や激戦地では情報の収集が困難だ」

6月1日はウクライナで「子どもの日」とされています。この日にウクライナの首都キーウで亡くなった9歳の女の子は、共に亡くなった母親とともに防空ごうに避難する途中だったということです。キーウ市当局は1日に予定されていた「子どもの日」の関連行事をすべて中止しました。

ロシアによるウクライナ侵攻で子どもの犠牲が増え続けています。現地の検察当局はロシアが軍事侵攻を始めた去年(2022年)2月以降、子ども484人が死亡、992人がケガをしたと発表しました。ただ、「占領地域や激戦地では情報の収集が困難だ」としていて、子どもの犠牲はさらに多いとみられています。

また、精神的に追い詰められ苦しんでいる子どもたちが多くいます。国連は、うつやトラウマなどに直面している子どもたちは、およそ150万人にのほると推計しています。
 

・ロシアによる子どもの連れ去りとみられる事案も

さらにウクライナでは、ロシアによる子どもの連れ去りとみられる事案が相次いでいます

ロシアが、占領した地域から子どもたちを保護するという名目で「サマーキャンプ」と呼ぷ場所に滞在させたあと、大勢の子どもたちがウクライナに戻れなくなっているのです。ウクライナ政府によりますとロシア側に「連れ去られた」とされる子どもたちなどの数は1万6226人。このうちウクライナ政府などが連れ戻せた子どもたちは300人あまりにとどまるということです。
 

戻ってきた子どもたちは、ロシアが管理する施設で、ロシア語やロシアの歴史を学ばされていたと証言しています。この問題をめぐってICC(国際刑事裁判所)はことし3月、国際法上の戦争犯罪の疑いで、プーチン大統領に逮捕状を出しました。

そのプーチン大統領は1日、「子どもの日」にあわせて子だくさんの家庭に勲章を授与したと国営ロシアテレビが伝えました。プーチン大統領はオンラインで家族たちと交流し、子どもとも直接、会話をしました。
 

ロシアによる攻撃でウクライナの大勢の子どもたちが犠牲になり、親たちも苦しめられる様子は、プーチン大統領の目にどう映っているのでしようか。

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放送[総合]毎週月曜~金曜 午前10時5分
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