アメリカと中国それぞれの外交トップ、ブリンケン国務長官と王毅政治局委員がドイツのミュンヘンで会談。アメリカ側は中国によるロシアへの支援に対し懸念を示しました。望月キャスターの解説です。
(「キャッチ!世界のトップニュース」で2月20日に放送した内容です)
・米ブリンケン国務長官が中国の動向に懸念を表明
アメリカのブリンケン国務長官と中国の王毅政治局委員との会談のあと、ブリンケン長官のインタビューが注目されています。
ブリンケン長官はNBCのほか、ABC、CBSなどアメリカの主要ネットワークの番組に相次いで出演。「中国がロシアにlethal support=殺傷力のある支援を検討している、との情報があり懸念している」と主張しました。
ブリンケン長官は具体的な内容は避けながらも、「軍事支援には銃や弾薬の武器供与が含まれ、近く詳細を明らかにする」と述べました。
中国はこれまでロシア寄りの立場をとりつつも侵攻を支持しておらず、武器の供与は行っていないとしています。
・中国 習主席の主張を盛り込んだ文書を発表へ
一方、アメリカは先月(1月)、中国の宇宙関連企業が、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」がウクライナでの戦闘で使用する衛星画像を提供していたとして、制裁を科しました。また、中国は、欧米による制裁で行き場を失ったロシア産エネルギーの輸入を増加し続けるなど、制裁の抜け穴となってきています。
中国とロシアは軍事侵攻が始まる前の去年(2022年)2月の首脳会談で、「制限のない」友好関係を強調しています。
ブリンケン国務長官が懸念するように、仮に中国がロシアへの武器供与に乗り出せばウクライナの戦況、そして国際関係を大きく変化させることになります。同時に、イギリスの有力紙ガーディアンは、「中国は、プーチン大統領の戦略に対し、外交的に圧力をかけることができる“唯一の外部の役者”だ」と指摘しています。
中国の王毅政治局委員は18日、ロシアのウクライナ侵攻から1年になるのにあわせて、中国が政治的な解決に向け習近平国家主席のこれまでの主張を盛り込んだ文書を発表すると明らかにしました。文書ではすべての国の主権と領土の一体性が尊重されなければならないことや平和のためのすべての努力が支持されるべきことなどが示されるということです。
中国がロシアにどのような態度に臨むかは今後を左右するだけに、ブリンケン国務長官は中国に対しけん制のメッセージを発したことになります。
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