「自動撮影カメラってどんなもの?」ブログ担当スタッフが直撃取材!

NHK
2022年7月10日 午後7:55 公開

東京生きもの調査隊でも大活躍していた「自動撮影カメラ」。ダーウィンが来た!をご覧の皆さまには、おなじみかと思いますが、「どんなものなの?」と、お問い合わせを受けることも。そこで、ブログ担当スタッフが直撃取材してみました!話を聞いたのは、久保嶋江実プロデューサー。「ダーウィンが来た!」のディレクターとして「東京生きもの調査隊」「多摩川トライアングル」などの人気シリーズを立ち上げた、自動撮影カメラのプロです。

ブログ担当スタッフ(以下、ス):

自動撮影カメラってどんなものなんですか?

久保嶋プロデューサー(以下、久):

その名の通り、電池で駆動して自動で撮影してくれるカメラです。ずっと撮影しているわけではなく、動物などが前を通るとセンサーが反応して録画を開始します。以前はセンサーが反応してから録画が始まるまで数秒かかるものが多かったのですが、最近は技術の進歩で、すぐに撮り始める高性能なものが出てきました。また、夜でも撮影できるように、赤外線のライトがついているので、真っ暗な状態でも映ります。動物たちに警戒されることなく、昼も夜も、休みなく撮影を続けてくれる頼もしい存在です。

ス:一度設置したら、どのぐらいの期間、撮影できるんですか?

久:現場の状況によってかなり変わります。ほとんど動物が通らず、めったに撮影しない場合は、数か月間、電池が持つこともあるようですが、だいたい2週間ぐらいが目安だと思います。ただ、葉っぱが風にゆられて動いただけでも反応してしまうことがあるので、設置場所が悪いと、動物がいないのにずっと録画を繰り返して、あっという間に電池切れ、なんてこともあります。自動撮影カメラを仕掛ける時はかなり慎重に場所を選びます。

ス:そこがプロの技なんですね。他にはどんなことに注意しますか?

久:カメラを設置する高さや角度も重要ですね。通りそうな動物の種類がある程度わかっている時は、その動物が一番よくうつりそうな高さを考えて設置します。それから、動物はこっちからこんな風に来るんじゃないか、などと、いろんなパターンを想像しながら仕掛けたカメラの前を歩き、何度もテスト撮影をして角度を微調整していきます。それでも、番組に使えるような映像が撮影できるのは、ほんの一握りで、失敗も多いんです。

ス:幼稚園の「ムササビ」を撮影した今回の東京生きもの調査隊では、巣箱の中も撮影していましたね。

久:あれは自動撮影カメラではなく、防犯カメラを使いました。お店や街なかで使われているものと同じです。

ス:違うカメラだったんですね。どう使い分けるんですか?

久:防犯カメラは有線で電源をとれる場所しか使えませんが、ずっと録画し続けることができ、撮り逃しがありません。今回の巣箱のように、狭い範囲で確実に何かが起き、長期間撮影を続ける場合にうってつけです。一方、自動撮影カメラは、森の中や河原などで電源がなくても撮影できるのが強みですね。どこで何が起きるかわからない場合、台数を増やしてチャンスを増やすこともできます。

ス:自動撮影カメラで撮ったものの中で、印象に残っているものは?

久:たくさんありますが、多摩川の河川敷は思い出深いですね。「多摩川トライアングル」(※)をシリーズとして立ち上げたきっかけは、自動撮影カメラ、とも言えます。一体どんな生きものがいるのかまずは調べよう、と、平野伸明カメラマンと自動撮影カメラを仕掛けたところ、大都会のすぐそばにもかかわらず、タヌキ、ニホンノウサギ、ニホンイタチ、イノシシ、さらにはアナグマやニホンテンなど、実に11種もの哺乳類がやってくる様子を捉えることができたんです。この場所を見続ければきっと面白いことが起きるはず、と思いました。自動撮影カメラは、視聴者の皆さんに、動物たちのありのままの姿をお伝えしていくために、とても大切なツールですね。

※【多摩川トライアングルシリーズ】2019年春から、動物カメラマン平野伸明さんが、東京・多摩川中流の河川敷で密着撮影を開始。ニホンイタチを始め、ここに暮らす生きものたちの知られざる暮らしに迫るシリーズです。

  • 第1回 2019年9月22日「動物大集合!秘密の多摩川」

  • 第2回 2020年4月26日「台風で出現!多摩川 秘密の楽園 」

  • 第3回 2021年12月5日「東京 多摩川 生きものを呼ぶ!秘密の流木」

  • 第4回2022年5月15日「多摩川で大スクープ 鳥が裁縫をした!」

いかがでしたか?これからもダーウィンが来た!で大活躍しそうな、自動撮影カメラ。ご期待ください!

ブログ担当スタッフ