【新発見!】オオスズメバチvs.カブトムシ 最強の昆虫はどっち?

NHK
2022年11月20日 午後7:54 公開

皆さま、こんにちは。久々に、ブログ担当スタッフ直撃取材による記事をお届けします。2022年11月8日、昆虫界(昆虫好きの界わい)に衝撃が走りました!山口大学からプレスリリースされた「オオスズメバチvsカブトムシ 最強の昆虫はどっち?」という研究成果です。一部マスコミにも取り上げられましたので、「見たよ」という方もいらっしゃるでしょう。しかし!ブログ担当スタッフは知っています。ダーウィン班では発表の日のだいぶ前から、この情報をキャッチしていた人物がいることを。田所勇樹ディレクターに直撃しました。

ブログ担当スタッフ(以下、ス):あなたは知っていましたね。

田所ディレクター(以下、田):・・・。(黙秘する田所)

ス:知っていましたね。

田: ・・・はい、知っていました。(神妙に白状する)

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すみません、小芝居から入りましたが、田所ディレクターはダーウィンが来た!「カブトムシ」回の取材を進めており、今回のプレスリリースをした山口大学講師の小島渉さんにご協力をいただき、同行ロケもしていました。

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田:とても興味深い研究成果だったので、この話を聞いてすぐ、一緒にカブトムシ回を制作している鈴木洋平ディレクターに取材に行ってもらいました。

ス:お~!それ、ブログ記事にしていいですか?

田:・・・。

ス:いいですよね。

田:・・・はい、いいです。

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と、快諾をいただきまして、放送日程がまだ決まっていないカブトムシ回の放送前に、皆さまに途中経過をご報告させていただきます!

◎オオスズメバチvs.カブトムシ 最強昆虫はどっち?

山口大学 小島渉講師

鈴木洋平ディレクター(以下、鈴):小島さんにインタビュー取材すると、とても面白いお話が聞けました。

ス:それで、最強昆虫はどっちですか?

鈴:ずばり、オオスズメバチです。

ス:やっぱり~!カブトムシは優しそうだけど、オオスズメバチは見た目も怖いですから。でも、ちょっと意外でもありますね。あんなに固いヨロイがあるカブトムシが負けるなんて。

鈴:小島さんの研究は、夜、クヌギの樹液場に集まるカブトムシの観察からはじまりました。カブトムシが集まって食事しているところへ、明け方、オオスズメバチがやってきます。そして、カブトムシの脚にかみついて、次々と投げ落としはじめ、わずか5分ほどで樹液場を乗っ取ってしまったといいます。カブトムシ10匹ほどに対して、オオスズメバチは2~3匹で圧勝。小島さんはさらに翌日、翌々日と観察を続けましたが、3日とも同じことが繰り返されたそうです。

【動画】小島さんが撮影した映像を動画コーナーで公開中です

ス:なるほど、脚を狙うんですね~。

鈴:カブトムシは脚にかみつかれると、幹にしがみついていられないようです。小島さんも「クヌギに集まる昆虫の中で最強とも考えられていたカブトムシが、オオスズメバチにこんなに簡単に負けてしまうとは、思いもよりませんでした。」とおっしゃっていました。

ス:それにしても、毎日起きるようなことなら、なぜ誰も気づかなかったんですか?

カブトムシを襲うオオスズメバチ 地面に落ちても攻撃が続くことも・・・

鈴:小島さんは、この戦いがごく短い時間しか見られないからではないか、とおっしゃっていました。オオスズメバチの攻撃がはじまると、終わるまでわずか数分。しかも早朝、まだ明るくなる前ですから、このタイミングに出くわすのはかなり難しいですよね。今回、小島さんは野外で一晩中、観察をし続けるという実験をしていて、たまたま気がついたそうです。

ス:野外で一晩中、見続ける。なかなかできませんね・・・。それを3日。

鈴:面白いものを見つけたらとことん見続ける、さすが科学者ですよね。そして小島さんは4日目にして、ある実験を行います。それがさらに面白い事実を浮かび上がらせます。

◎カブトムシは夜行性ではないかも!?

鈴:小島さんは「オオスズメバチが樹液場に近づけないようにする」という実験を行います。市販のスズメバチよけスプレーを使って、来るたびにシュ、シューと阻止し続けるという、なかなか大変そうな話ですが、結果は非常に興味深いものでした。なんと、カブトムシが昼ごろまで樹液場にとどまり続けたんです。カブトムシは昼にクヌギの樹液場にはいないことが多く、夜行性として知られています。しかし、必ずしも昼に行動しないわけではなく、朝オオスズメバチに攻撃されることが理由の一つだったとわかったんです。

ス:オオスズメバチがいなければ、昼間ももっと動いているかも、ということですね。それにしても、数日でそんな実験まで思いつくなんて、さすが!

鈴:実は、小島さんがこの実験を思いついた背景には、いま「ダーウィンが来た!」と一緒に追っている、ある謎が関係していたそうです。まだ取材中ですから詳しく話せませんが、その中でもカブトムシの「活動時間」に注目していました。

ス:もともと興味を持っていたから、より深く調べられたということですか?

鈴:そうだと思います。「どういう切り口で見るかが大切」と小島さんもおっしゃっていました。

ス:・・・で、番組が追っている謎というのは、どういう?

鈴:それはまだ秘密です。今回の発見も大きな手がかりの1つですが、他にもたくさんの要素がある奥深い話ですから、ぜひご期待ください!

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というわけで、「ダーウィンが来た!」では、カブトムシの謎を鋭意取材中です。私も期待してま~す!

ブログ担当スタッフ

NHK山口のニュースでも取り上げられたようです↓ (11/26追記)

山口 NEWS WEB “真の昆虫の王者”は? カブトムシ対スズメバチ

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