「国際共同制作って何?」ブログ担当スタッフが直撃取材!

NHK
2022年7月17日 午後7:55 公開

今回の「イワシの大移動」は、国際共同制作の番組です。時々聞く言葉ですが、国際共同制作ってどんなものなんでしょう。ちょっと気になりましたので、ブログ担当スタッフが直撃取材して参りました!話を聞いたのは、ダーウィンが来た!を制作しているNHKエンタープライズ自然科学部の菊池哲理部長です。

ブログ担当スタッフ(以下、ス):

国際共同制作ってなんですか?

菊池部長(以下、菊):

海外の放送局やプロダクションと協力して番組を作ることです。協力のやり方はいろいろあって、各放送局がロケクルーを出し合う場合もあれば、メインとなるどこかの局がロケを一手に引き受けて、他の局は編集などだけ行う場合もあります。シリーズ番組では放送回ごとに分担していることもありますね。1つの放送局だけでは制作が難しい、スケールの大きな番組を作るときに、国際共同制作は非常に有効な手段となります。

ス:今回のようにイワシを1000キロも追いかけるのは大変ですもんね。自然番組は国際共同制作が多いイメージですが?

菊:多いと思います。「ダーウィンが来た!」では年に1~2本ですが、NHKスペシャルなどでシリーズ番組を作るときには、よく国際共同制作になります。代表的なものでは、福山雅治さんにナビゲーターをお願いしている「ホットスポット 最後の楽園」はNHKが中心となり、海外のプロダクションにも撮影してもらいながら制作しています。最近では、「新・映像詩 里山」(※)の2本も国際共同制作でした。

ス:「里山」は日本が舞台ですから、これはほぼNHKが撮影ですか?

菊:そうです。撮影は基本的にNHKが行い、英語の国際版を制作しました。海外の放送局はそれをさらに再編集するなどして、自分たちのバージョンを作っていきます。ちなみに、里山の国際版は世界的に著名なプロデューサーで動植物学者のデビッド・アッテンボローさんがナレーションしてくれました。

ス:お名前は聞いたことがあります。すごい方が協力してくれたんですね。

菊:「里山」シリーズは今回の前に3部作がありました。それらは国際共同制作ではありませんでしたが、制作後に海外の放送局からひきあいがあり、多くの国で見られて非常に好評でした。そのおかげで、新たな里山シリーズの制作が決まると、世界の放送局が積極的に協力を申し出てくれました。国際共同制作すると、世界のトップレベルの制作者たちと交流し、番組制作のスキルを互いに高めあえることが、とても良い点です。特に、日本と海外のロケクルーが一緒になって撮影や編集を行う場合は、現場で教え合ったり、制作のやり方の違いに刺激を受けたりすることが多いようです。

ス:なるほど、互いに教え合う。いいですね。 ほかにも利点はありますか?

菊:それぞれの強みを活かすこともできます。例えば、NHKは技術力がありますから、高感度カメラなどを持って行くと喜ばれることがあります。また、遠隔地のロケでは、現地に近い放送局やプロダクションが参加しているととてもスムーズに進められます。いまコロナ禍で移動に制約が多くなっていますので、国際共同制作にさらに期待がかかっているとも言えますね。今後も世界の放送局と手をとりあって、視聴者の皆さまに良質な自然番組を届けていきたいと思っています。

※【新・映像詩 里山】人と豊かな生きものたちが共存する里山。自然の猛威を恵みに変える知恵に迫ります。

  • 「新潟の棚田 豪雪と生きる」初回放送:2022年3月5日
  • 「阿蘇の大草原 火山と生きる」初回放送:2022年3月26日

いかがでしたか?迫力満点の大スケール番組から、里山のような人と地域に根ざした自然の姿まで、もっと世界の自然を見せてもらいたいですね。国際共同制作の番組にご期待ください。

ブログ担当スタッフ