皆さま、また「ダーウィンが来た!」がやりました。2022年7月24日放送の「ダーウィンが来ちゃった!スペシャル」でお伝えした、長野・上高地のニホンザルが生きた魚を捕まえて食べるという、世界初の映像。番組にもご出演いただいた信州大学の竹中將起さん、東城幸治さんが映像を分析して論文化し、国際的な科学誌「Scientific Reports」に掲載されました。なんと論文の著者には番組ディレクターと撮影スタッフ3人、計4人が名前を連ねるという快挙!うれしい知らせに、ブログ担当スタッフが林浩介ディレクターを直撃しました。
極寒の上高地で撮影スタッフは奮闘した
ブログ担当スタッフ(以下、ス):いや~、おめでとうございます!
林浩介ディレクター(以下、林):ありがとうございます。冬の上高地でがんばった甲斐がありました。
ス:これまで何度も論文に貢献してきた「ダーウィンが来た!」ですが、4人も名前が載るのは、なかなかないケースですね。
林:先生方から「ぜひスタッフの皆さんのお名前を」というお話だったので、撮影にあたった4人(林浩介、山田玄城、小倉孝之、伊藤百音)の名前を入れていただきました。とてもありがたく思っています。
ス:スゴイですねぇ。撮影のウラ話は既に7月放送時のブログでも書いてもらいましたし、今回はNHKニュースにもなって、ネット記事も掲載される予定と聞いています。詳細はそちらに任せることにして・・・、このブログはちょっと個人的な興味で質問していいですか?
林:なんでしょう。ドキドキしますね。
↓ニュース記事はこちら!現場の臨場感あふれる内容です。(12/28追記)↓
スクープ撮影直後、握手する林Dと信州大学の竹中さん
ス:林ディレクターはこれまで科学論文に名前が載ったことはあるんですか?
林:あ、はい。学生時代に書いた論文は2本ほどあります。
ス:お~、さすが!どんな論文ですか?
林:大学で淡水魚の研究をしていました。大学院に進み、修士課程で書いた論文が2本。英語と日本語です。
ス:淡水魚。ちなみに、何という魚?
林:論文にしたのは「ツチフキ」という魚ですが、ご存じですか?
ス:ツチフキ・・・。すみません、聞いたことがありません。
林:全長10cmほどのコイ科の魚で、農業用水路などの底に暮らしています。生態がよく分かっておらず、絶滅も危惧されています。その生活史を論文にしました。泥底に直径15センチくらいのすり鉢状の巣を作りますが、その際、エラから土を吹き出すことが名前の由来と言われます。
ス:面白そう!ダーウィンが来た!でいつか見られますかね?
「ツチフキ」とぼけた顔が愛らしいお魚さんですね
林:どうでしょう。研究していた時も、巣そのものは何度も見ましたが、作っているところはほとんど見られませんでした。しかも、濁っているので撮影するとなると、大変だと思います。淡水魚は難しいんです。
ス:なるほど~。でも、せっかく研究していた淡水魚を番組にしたいのでは?
林:NHKに入局後、島根県・松江局のディレクターになりましたが、その時に「ドジョウ」をテーマにして「ダーウィンが来た!」を作りました。いわゆる「どじょうすくい」で有名な安来節ゆかりの島根だから・・・という理由ですが、自分自身の強みである淡水魚をやろうという気持ちがあったと思います。
ス:大学で生きものを研究していて、NHKにも自然番組を目指して入ったんですか?
松江局時代の林D(黄色い服)。「ドジョウ撮影で1年間お世話になった方々と」当時の広報写真の中からブログ担当スタッフが発掘。
林:はい。入局前、就職活動のためのエントリーシートにも「ダーウィンが来た!を作りたい」と書いていました。
ス:その夢がかなって、今回も、論文化されるほどの大スクープ。次はどんな番組を?
林:現在は、2023年のお正月に放送予定のNHKスペシャルの編集をしています。BBCとNHKが国際共同制作した「フローズン・プラネット」という番組です。今後も、自然番組を作り続けていきたいと思っています。
ス:先々の、大きな夢はありますか?
林:そうですね~、アマゾン川は目標の1つですね。やはり、淡水魚の研究をしていた人間にとっては憧れの場所です。まだ行ったことがないので、ぜひアマゾンで番組を作ってみたいです。
ス:これからも、林ディレクターらしい番組を期待してます!
林:はい、がんばります!これからも生きものたちの魅力を、どんどん発掘していきたいと思います。
◎ブログ担当スタッフから
林浩介ディレクターは視聴者の皆さまの疑問・質問にお答えする「ダーウィンが来ちゃった!」の企画を担当することが多いため、テレビ画面に映ることもしばしばです。身内が言うのもなんですが、なかなかのイケメンでありますので、今後ぜひ探してみてください。
2021年9月19日放送「ダーウィンが来ちゃったスペシャル」で“カエルのケロ次郎”を探す林D
さて、7月の「上高地のサル」放送後に林ディレクターが書いた記事は、こちらです。
また、林ディレクターが担当したその他の回のブログも大変興味深いので、ぜひご覧ください。
とにかく自然が好き、生きものが好きなディレクターが集まっている「ダーウィンが来た!」だからこその大スクープをこれからもご期待ください!
ブログ担当スタッフ
外部リンク
信州大学のホームページの記事です
生物学コース東城幸治教授の研究グループが、ニホンザルによる魚類の捕食行動の撮影に成功しました。 (※NHKサイトを離れます)※別タブで開きます