「シマトネリコだけじゃない!カブトムシ大集結」

NHK
2023年8月22日 午後7:13 公開

◎制作こぼれ話「シマトネリコだけじゃない!! カブトムシ大集結」

今回番組で取り上げたのは「シマトネリコの木」でしたが、実はカブトムシ大集結の情報は、他にもありました。多かったのは果樹園からの情報。規格に合わず廃棄されたモモやナシ、ブドウ、スイカの実に大発生するんだそうです。さらに木でも大集結の情報が。

そのひとつは、ムクゲ。ムクゲ大集結の情報を教えてくださったのは、千葉県山武市の久力悠加さん。

植木農園で遭遇した、ムクゲのカブトムシ大集結

ムクゲは中国原産の木ですが、シマトネリコと同じく、樹皮は柔らかくてカブトムシでも削れます。私たちは植木農園のムクゲで観察しましたが、昼間でも数十匹が群がっていました。大集結の原理はシマトネリコと同じなのかもしれません。

ムクゲの樹皮を削るカブトムシ

ただ、ムクゲの場合、幹の周りにも葉が密生しています。そのためなかなか大集結が人々の目にとまらないようです。カラスなどの天敵にも見つかりにくく、カブトムシにとっては居心地のいい場所なのかもしれません。

もう一つはシラカシ。

シラカシ大集結の情報を教えて下さったのは、神奈川県川崎市の佐藤司さん。早朝に連絡を受けて急行すると・・・。

シラカシの幹に何十ものカブトムシ

シラカシの樹皮は固くてカブトムシは削れそうにありません。しかし樹皮のあちこちに穴が空いて、樹液がしみ出していました。

シラカシの幹には樹液が出るポイントがたくさんある

シラカシで大集結する理由は、まだよく分かっていないそうです。どうやら昼になるとカブトムシの多くは樹液場を離れ、隠れてしまうようです。シラカシの樹液ならお腹いっぱいになるのでしょうか?身近な昆虫カブトムシですが、まだまだ多くの謎があるんですね。

◎撮影の現場から「タイムラプス 撮影の大敵は雨とカラス」

大集結のカギは昼も居続けること。その映像化のため今回挑んだのがタイムラプス撮影。屋外でタイムラプスをするとき一番の敵は雨。入念に雨対策をして挑みます。夜間撮影もあるので、ライトの雨対策も必須です。

入念に雨対策してタイムラプスに挑戦

ところが、撮影した映像を見てびっくり。雨以外にも敵がいたんです。カラスです。人が撮影している時にはカラスは決して来なかったんですが、自動撮影にしたところ、特に早朝、カラスは次々とやってきてカブトムシを食べていました。

頻繁にカブトムシを食べに来るカラス

カラスに食べられていない時もあったのが救いでした。

三日三晩の撮影で、できあがった映像は、番組でもご紹介しています。(冒頭から11分10秒のところ)

暗くなるとすぐやってきてシマトネリコの樹皮を削り始めたカブトムシ。次の日、明るくなっても樹皮に居続けました。カブトムシの後ろに、削り跡が少しずつ伸びていく様子がバッチリ映っていました。

赤丸の部分、削り跡が少しずつ伸びていった

◎ディレクターのお気に入り「実は自然が豊か、都会の植木農園」

番組の本筋とは関係ないのですが、撮影を通して驚いたことがあります。それは植木農園の自然が驚くほど豊かだ、ということです。取材した植木農園は住宅街の中にぽつんとあるにも関わらず・・・。

シマトネリコの木や堆肥置き場に仕掛けた自動撮影カメラに映っていたのは。

シマトネリコにいるカブトムシを狙うタヌキ

堆肥置き場を掘り返すアナグマ

アナグマは、堆肥置き場の中の小動物をほじくって食べているようです。何度も言いますが、ここは、住宅街の真ん中の植木農園。他の緑地とは切り離されています。普段どのように暮らし、どこで繁殖しているんでしょう?とっても不思議です。

撮影した植木農園の一つ。周りは住宅街。

ディレクター 鈴木 洋平