◎制作こぼれ話「上高地のサルが中腰になるワケ」
長野県・上高地は、サルの仲間が暮らしている世界で最も寒い場所の1つと言われます。今回、サルたちが「魚を捕る」という独自の生態で冬を生き抜いている姿が見えてきました。また、番組でもご紹介した通り、魚以外にも川虫や藻を食べに頻繁に川に入っています。でもよーく見るとみんな中腰になっているのに気づきましたか?実は冬季の川の水温は3℃程、とっても冷たい!サルたちだって濡れるのは嫌なんです。うっかりお尻が水につからないように、みんな中腰になって食べ物を探しているようです。まるで“空気イス”のような姿勢をとり続けるサルたち、やはり疲れるのか、中にはササの葉を何枚も重ねて座布団のようにするツワモノもいて、ビックリ!厳しい寒さの中、取材を続けていた私たち。サルたちも寒さと闘いながら暮らしているんだな~と、少しほっこりした光景でした。
◎撮影の現場から「まさに体力勝負!」
端から端までが10キロ以上にもなる上高地。広大なフィールドでサルを見つけるのは至難の業です。フンや足跡を頼りになんとか群れを見つけたら、その後は体力勝負。夕方まで追いかけ続け、その日のねぐらの位置を確認。翌朝、サルがねぐらから出る前に現場に到着し、追跡を再開します。でも朝、現場に到着すると、既にサルがねぐらからいなくなっていた!なんてこともしばしば。さらに、サルのフンを探している最中になんと巨大なクマのフンを見つけちゃったことも。冬の間は冬眠しているクマも、暖かい日には目を覚まして獲物を探すことがあるんだとか。出会ったらどうしよう・・・。と、そんなこんなで、大自然の中を歩き続けた2週間。サルと行動を共にした時間は、とても良い経験になりました。
↓取材の経緯がさらに詳しくわかるニュース記事。林ディレクターが執筆しています(12/28追記)↓
◎ディレクターのお気に入り「意外と貴重!マーキングするタヌキ」
神奈川県のお宅の庭に突如として現れた謎の一本道。犯人はタヌキでしたが、実は映像の中にとっても貴重な姿が映っていたんです!それは、あの「マーキング」。タヌキは夜行性で警戒心が強いため、実はマーキングする姿を撮影するのは難しいんです。今回、撮影したカメラマンは過去にタヌキの番組を担当した際に、夏場に3週間、タヌキを追いかけても一度もマーキングの姿は見られず、繁殖期にさしかかる冬になって初めて見たそうです。「イヌ科タヌキ属」のタヌキですから、マーキングは犬そっくり、片足を上げたおなじみの格好でしたね。
ディレクター 林 浩介
☆ブログ担当スタッフから☆
なるほど、タヌキのマーキングって貴重だったんですね~!お庭にされるとちょっと困る・・・という気にはなりますが、そんなに頻繁ではないなら、ひと安心?でしょうか。今回の番組、私のお気に入りは「研究者の方のよろこぶ姿」です。追い求めているものについに出会った瞬間、研究者にとっては本当にうれしいんでしょうね。見ているこちらも、思わず笑顔になる瞬間でした!
ところで。今回、担当の林浩介ディレクターは、制作ウラ話ブログが始まってから3回目の執筆です。過去の記事も、とっても面白いので、是非ご覧ください!
「コアラ」制作ウラ話~飼育員さんに聞いた謎の呪文~2022年6月26日放送
「アマガエル」 制作ウラ話~ケロ次郎をご存じですか?~2022年6月12日放送
これからも林ディレクターの番組にご注目ください!
2022年11月30日追記
ビッグニュース!この番組でご紹介した映像が科学論文に掲載されました。番組スタッフ4人も著者として名前を連ねる快挙!ブログ記事をご覧ください。↓
【番組から論文に!】長野・上高地「魚を捕るサル」~林ディレクターに直撃取材~
ブログ担当スタッフ