「私が突き止めたかったのは“命の重さ”だった」。40年前、日本とアメリカで大規模な調査を行い、太平洋戦争のミッドウェー海戦で命を落とした3419人の詳細を明らかにした作家・澤地久枝さん、92歳。指揮官のずさんな命令で奪われた命、15歳の若さで志願して戦場に向かった命…。そして、「その死にどんな意味があったのか」問い続ける遺族たち。それぞれの生と死の物語をたどり、現代的な意味を問い直す。
「下品でもいい。赤い靴履きたかったの」昭和の作家・有吉佐和子。今、復刊が相次ぎ、若い読者の心を動かしている。差別の根源を問う『非色』。認知症介護の実態を描く『恍惚の人』。なぜ、時代を超えて響くのか?故郷・和歌山で進む遺品の調査や、元編集者たちの証言から、有吉の怒りと覚悟に迫る。そして、晩年のルポ翻訳『最後の植民地』に込めた、“赤い靴を履く”女性たちへのエールとは? 朗読:和久井映見 出演:草笛光子
「養子縁組に至った経緯を知りたい」「実の親に会いたい」。生みの親とは法的に関係が解消される特別養子縁組。しかし、成長した養子たちの中には、法律上は他人となった生みの親の情報など“出自”に関する情報を求める者が少なくない。日本では養子の出自に関わる情報をどう保管して開示するかなどのルールが長く定められてこなかった。子どもの権利条約でもうたわれる権利を、誰がどう守るのか?養子たちの声から考える。
『ETV特集』は、さまざまな社会問題を取り上げるドキュメンタリー番組です。考えるヒントを提供する「心の図書館」であることを目指しています。