仲間とともに、未来を守れ。
© 大今良時・講談社/NHK・NEP
王都レンリルに夜明けが訪れた。恐ろしいノッカーは去り、市民たちは取り戻した平和に歓喜する。戦いの後始末を終え、ようやく訪れた休息のとき。仲間たちは口々に夢を語り合う。フシには新たな目標ができていた。やがて仲間たちは、それぞれの道を選択する。カハクもまた……。時の流れの果てに、待つものとは。
それははじめ、球だった。ただの球ではない。ありとあらゆるものの姿を写し取り、変化することができる。フシは、はじまりの姿に戻った。確信は無い。だが、希望は残されている。ボンシェンは、フシのために命をかけた。ノッカーとの決着をつけるため、不死身の仲間が立ち上がる。
ついに、フシが消えた。フシの器はすべてノッカーに奪われてしまった。夜の闇がレンリルを覆い、街にはノッカーの砲弾の音だけが響く。異変を察知し、フシを探すボンシェンの前に、二百年前の生贄(いけにえ)の少女が現れる。不死身のフシは死んだのか。少女が示した場所で、待っていたのは……。
フシだけが、生きる痛みから逃げられない。カハクはそれを「呪い」と言った。不死身の秘密を握るボンシェンを、カハクが追及する。フシの人間性を守りたい。二人の意見は同じようでいて、相容れることはない。それぞれの守るべきもののために、戦いは続く。混迷極まる戦場で、メサールは王女アルメを探していた。
三人の死は、フシに強い怒りと深い悲しみをもたらした。目覚めたフシは、鬼神のごとき勢いでノッカーの群れを殲滅(せんめつ)する。一人きりで戦況を覆そうともがくフシだったが、ノッカーの罠に捕らわれてしまう。絶体絶命の危機に現れたのは、復活した「駒」。不死身なのは、フシだけではなかった。
戦いの火ぶたは切られた。レンリルには決して入らせまいと、フシは強化した能力でノッカーを撃退。状況は優勢に思えたが、敵は見えない場所から凶悪な一手を仕掛けていた。戦いが長引くにつれ、フシの身体に限界が迫る。その傍らで、いつかの少女が目を覚ました。
ともに戦う。まっすぐなフシの決意が、市民に伝わった。王女アルメは、正体を明かしたフシを国王のもとへ案内する。やがて、ポコアたちウラリスの面々もレンリルに到着。ウラリス兵、レンリル兵の助けを借りて、王都防衛の準備は順調に進んだ。ノッカーとの決戦の日を前に、カイ、ハイロ、メサールは、運命の選択を迫られる。
メサールが王女アルメから手に入れたのは、王都レンリルの地下水路の地図。広大な水の道は、ノッカーの侵入経路になりうる。地下に鉄板を張り巡らし、地上の家々を作り替え、防壁を築く。昼夜問わず働くフシの身体には、徐々に疲労がたまっていく。さらに、「賢者」の正体がベネット教に封印されたはずの悪魔フシであることが、市民に露見してしまい……。
王都レンリルを守るには、すべての民の信頼を勝ち取る必要がある。市民兵に接触し、交流を深めるハイロ。ハイロはフシに、ベネット教の手で「悪魔つきの子」として育てられた過去を語る。一方、メサールは城に出入りし、王女アルメにゲームを持ちかける。新たな仲間たちの協力を得たフシは、素性を隠した「賢者」として着実に街を作り替えていく。
船での修行を終えたフシは、王都レンリルに降り立つ。ノッカーは、この平和で美しい都市を襲うと予告した。フシは半年後に向けて、気を引き締める。その頃、ウラリス王国ではレンリルへの出兵準備が整わんとしていた。ついにフシのもとに新たな仲間が集う。カイ、ハイロ、メサール。三人に課せられた役割を知り、フシは思い悩む。