”二刀流”生みの親 栗山監督が語る 大谷翔平の快進撃

NHK
2021年6月14日 午後2:43 公開

投打共に快進撃を続ける大リーグ・エンジェルスの大谷翔平選手。先発登板をした試合でみずからホームランを放つなど、唯一無二の“二刀流”に挑戦しています。さらにことしは、登板前後は試合を休むと言った大谷選手独自のルールを撤廃、ほとんどの試合で先発出場を続けています。

“二刀流生みの親”日本ハムファイターズの栗山英樹監督にインタビューし、大谷選手の活躍ぶり、そして“二刀流”を続けていくために必要なことについて聞きました。

大谷翔平 驚異の進化の舞台裏

―今シーズンの活躍、栗山監督の目には、どのように映っていますか?

栗山監督:ファイターズに入ったときから、体の面で、表に出ないことも含め、たくさんいろんなことがありました。しかし、去年のオフに翔平といろいろ話したのですが、ことしは初めて、全力で勝負のできるシーズンになると感じました。その結果がどうこうではなく、まずは全力で打って投げてほしいと思っています。

―表情を見ていても大谷選手は生き生きしているように感じますが?

栗山監督:やりたいプレーができるのは、選手にとってすごくうれしいことだと思います。翔平は自分のやりたい野球ができるのをずっと望んでいたと思うので、本当にうれしそうだなあと思います。

―起用法を見てみると、日本ハム時代と異なり、ことしはほとんど休みがありません。どのように思いますか?

栗山監督:おそらく起用法は翔平が全部決めて、マッドン監督に納得してもらうという形だと思います。翔平が体のことを考えながら自分で決めていくということは、とても重要なことだと思います。そしてそれを認めてあげるマッドン監督は心が広く、素晴らしいと感じます。

いま翔平は自分の感覚の中でできると思ってやっています。それに対して「試合に出すぎだ」とかいろんなことが言われていますし、僕もいろんな考えはありますけれど、それはどうでもよくて、本人がやりたいことをやってほしいなと思っています。

― 一方でマッドン監督は、「どこかのタイミングでペースを抑えないといけない場面が出てくる」とも話していますが、監督としてはそこは重要な点になるのでしょうか?

栗山監督:日本ハム時代、彼は野球界の宝だったので、とにかく壊さないようにという思いしかなかったですし、怖かったです。だからなるべく丁寧にいくというふうに、自分で決めてやってました。

翔平とは、大丈夫なのかどうかをいつも確認していましたし、「大丈夫」という言葉でも、本当に大丈夫なのか、ちょっと何か感じている「大丈夫」なのかというのを、表情や言葉から読み取る作業を常にしていました。

ことしはかなり高いレベルまでいっていると感じていますが、それでも上限といいますか、ここは止めたほうがいいというものがあると思います。生き物なので、きょうまで大丈夫だけれど、明日はだめということが起こり得ます。それを見極めていくのが周りの仕事であると僕は思っていました。

ただ、こんなスケジュールで試合に出場した選手はいないわけですから、常に新しいものを作っていくことになると思います。このスケジュールよりもっとできる可能性もあります。ですから、先入観なく翔平を見て、全てを考えながらいけるかどうかを判断することになるのではないでしょうか。

マッドン監督は、僕も大好きで憧れていましたし、どういうふうに翔平を使うのだろうというのはすごく楽しみで、これからも注目していきます。

―今後、大谷選手は、投打でどれくらいの成績を残せると思いますか?

栗山監督:僕が思ってる数字はものすごく高くて、世界で一番高い数字をイメージしています。

ここまできたので、けがなく、好きな野球を思いっきりやってほしいし、我々としては、世界一の選手になれると信じて早めに送り出したつもりだったので、その道をしっかり歩んでほしいと思います。