【ひとりで悩まないで】妊娠、出産支援の窓口まとめ

NHK
2022年6月28日 午後6:05 公開

「10代で妊娠 親や友人に相談できない」

「パートナーや家族のサポートが受けられない」

「精神的に不安定で出産・育児が不安」

こうした妊娠・出産の悩みに応えてくれる支援窓口が全国にあります。

支援窓口の連絡先や、どんな支援が受けられるのか詳しく紹介します。

(「クローズアップ現代」取材班)


 

番組で紹介した支援団体・支援窓口

  

一般社団法人 あんしん母と子の産婦人科連絡協議会

予期せぬ妊娠などの相談支援を行っている、全国20の産婦人科の医療機関でつくる団体です。 

中高生など18歳までの人を対象に初診料無料で妊娠相談を行っている医療機関や、特別養子縁組を取り扱う医療機関の一覧などが掲載されています。 

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特定非営利活動法人 BONDプロジェクト

10代、20代の生きづらさを抱えた女性たちのための、女性による支援を行っている団体です。虐待や家出、貧困などさまざまな困難を一人で抱える女性たちのため、LINE、メール、電話で相談を受け付けています。 

シェルターへの入所、医療機関や警察などへの同行、公的機関の支援窓口の紹介なども行っています。 

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ボ・ドーム ダイヤモンドルーム(大阪市)

大阪市にある産前・産後母子支援事業の実施施設です。出産前から住まいを提供し、引っ越し、医療機関への同行、家事や育児支援など、産前から産後、自立まで一貫してサポートしています。 

利用料や光熱費は無料です。LINE、メール、電話での相談支援もおこなっています。 

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産前産後母子支援センター「こももティエ」 (福岡市)

福岡市の委託を受け、産前からの相談、居場所の提供、子育てのサポートをし、産後まで切れ目のない支援を総合的に行っています。

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一般社団法人 全国妊娠SOSネットワーク

妊娠で悩んでいる人を対象に、LINE、メール、電話での相談支援を行っている全国の相談窓口などが掲載されています。

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関連番組リンク:

2022年6月28日放送 クローズアップ現代「孤立する母子を救えるか 増加する“特定妊婦”」

番組の詳しい情報はこちら(放送1週間後まで見逃し配信中)

 

 

どんな支援が受けられる?支援の現場を取材すると…

 

妊婦を孤立から救うため具体的にどのような支援が行われているのか。福岡市の支援団体「こももティエ」による取り組みを紹介します。

 

「こももティエ」のツイッターより

 

出産前から孤立した妊婦に寄り添い、息の長い支援を行う福岡市の団体「こももティエ」では、24時間365日妊娠や出産に関する相談を受け付けています。

保育士、社会福祉士、助産師など、専門知識を持ったスタッフが常駐し相談に応じます。相談窓口を開設してから2年。これまで寄せられた相談は670件。LINEなどを使い、匿名の相談にも数多く対応してきました。

 

支援① 妊娠の不安を相談できる

 

寄せられる相談で最も多いのは「妊娠したかもしれない」というものです。相談者の半数近くが10代だと言います。

スタッフは「直前の月経はいつだったか」「避妊はしたか」など丁寧に聞き取り、的確なアドバイスをします。心がけているのは優しく、わかりやすい言葉で対応すること。

相談者の多くは自分が置かれている状況を「自己責任」だと思っていて、「責められるかも」「非難されるかも」という不安の中で連絡してくるからです。

 

 

支援② 妊娠や出産前後の手続きをサポート

 

さらに、この団体では相談者のニーズにあわせた支援も行っています。実際にあった支援の事例を紹介します。

(※プライバシーに関わる情報に配慮してお伝えしています。)

 

妊娠8か月で相談をしてきた20代前半の女性。一度も妊婦検診を受けていません。女性は家族と折り合いが悪く、高校卒業後に実家を出て、知り合いの家を転々としていました。そうした中、働いていた先で性暴力に遭い、妊娠しました。

「こももティエ」の入居スペース

 

女性は、「こももティエ」に常設されている居住スペースに入居して、支援を受けることになりました。

 スタッフはまず、出産を受け入れてくれる病院を探しました。定期的な検診を受けていないとお腹の赤ちゃんの正確な情報がつかめず出産時のリスクが高まるため、受け入れを断る病院も少なくありません。妊婦の代わりに状況をきちんと説明し、理解を示してくれる医療機関を探し出します。また、女性は健康保険に入っていなかったため、スタッフは自治体と掛け合い、加入の手続きをおこないました。

女性は出産後、子どもを連れて実家に帰りたいと希望しました。そこで、スタッフはこれまで関係を断っていた女性の実家に連絡を入れ、希望を伝えました。家族との話し合いの結果、女性を受け入れることはできるが、子どもを一緒に育てることはできないという結論になりました。スタッフは、特別養子縁組をおこなっている団体に連絡。赤ちゃんを他の家族に育ててもらうことになりました。

 

支援の結果、女性は病院や自治体、家族とつながった

 

このように、この団体では、相談者と行政や病院、家族などのハブとなり、相談者のニーズに合わせた対応をおこないます。

 

 

“困ったときは誰かに頼っていい”

  

今、「こももティエ」のスタッフが一番課題だと感じているのが「SOS」を出せない妊婦をどう支援につなげるかということです。誰にも相談できず、ひとりで抱えてしまった結果、自宅や公共施設などで「孤立出産」をしてしまうケースが後を絶ちません。

 

また、「特定妊婦」などの支援をしている鮫島浩二医師によると、自宅などで1人で子どもを産む「孤立出産」は、母子ともに危険性が非常に大きいということです。赤ちゃんが逆子だったり、大量出血が起きたりした際、1人では対応するのが難しいからです。

 

また、孤立出産だけでなく、心中や乳児の遺棄につながることもあります。「こももティエ」の利用者の中に、母子ともに死のうとしたところまで追い詰められた女性がいました。

心中を試みたものの死にきれず、救急搬送されて出産。入院していた病院で「こももティエ」を紹介され、支援を受けることになりました。女性は、救急搬送されるまで、妊娠したことを誰にも相談していませんでした。

なぜそこまで相談できなかったのか尋ねたところ、「妊娠は自己責任。誰かに助けを求めても責められるだけだ」と思っていたと言います。

「こももティエ」で半年間手厚い支援を受けた後、退所。今は子どもと2人で市内のアパートで暮らしています。仕事も紹介してもらい、自立した生活を送ろうとしています。

女性は「最近子どもがママって呼んでくれるようになりました。幸せ」と話します。「自分のように孤立せず、SOSを出して欲しい、誰かが必ず助けてくれると伝えたい」と、私たちの取材を受けてくれました。

  

「こももティエ」のスタッフによると、「相談してくる妊婦たちはこれまで希薄な人間関係の中で生きてきた人が多く、人に助けられたり、寄り添ってもらったりした経験がないためSOSを出せない人が多い」のだと言います。多くの支援者がお母さんを責めるのではなく、お母さんも赤ちゃんも救いたいという気持ちでいるので、遠慮せずに連絡してきてくれたらと話しました。

  

産前産後母子支援センター「こももティエ」 (福岡市)

ウェブサイトはこちら (※NHKサイトを離れます)

  

取材を通して

 

「こももティエ」に寄せられる相談の中には男性からの相談も少なくありません。

その内容は、「女性と避妊せずにセックスをしました。それから数週間経っていますが、妊娠していませんよね?」といった内容です。

本来は男女がともに向き合うべきはずの「命」。心身ともに傷つきながら、男性の支援を受けられず、たった1人で重大な決断をせまられる――そして最後は「自己責任」にされてしまう女性もいます。支援を続ける人たちは、活動を通じてそうした現状に異議を唱えているようにも見えました。

  

 

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2022年6月28日放送 クローズアップ現代

「孤立する母子を救えるか 増加する“特定妊婦”」

番組詳細はこちら 放送1週間後まで見逃し配信中