追悼 ピーター・スコットーモーガンさん

NHK
2022年6月17日 午後6:59 公開

去年11月24日放送のクロ現+「ピーター2.0 サイボーグとして生きる」にご出演いただいたピーター・スコット-モーガンさんがお亡くなりになりました。

最先端のテクノロジーを肉体に導入することで、不治とされる病から命を守ることができるのではないかー ALS(筋萎縮性側索硬化症)と闘っていたピーターさんの、自身の体を実験場とした挑戦は、本当に残念ですが、ここで幕を閉じました。しかし、その志と挑戦の物語はこの地球の多くの人々に受け継がれていくことでしょう。きっと。ㅤ

心から哀悼の意を表したいと思います。

(NHK エグゼクティブ・ディレクター 片岡 利文)

2021年11月24日放送「 ピーター2.0 サイボーグとして生きる」

実は「クロ現+」の放送後、多くの反響をいただいたこともあり、ピーターさんとは続編制作の話で盛り上がっていました。ピーターさんのサイボーグ化のプロセスを追う、まさにピーター2.0から3.0への進化をドキュメントしようという企画です。

ところが、ピーターさんからのメールが途絶えました。4月下旬にご本人からではなく、エージェントの女性から番組企画の詳細についてたずねるメールがあった際、ピーターさんは忙しくされているのか、あるいは少しお疲れで体調を崩されているのか、などと心配していました。

体調伺いのメールにご返信をいただくこともお手を煩わせることになるのではないかと思い、ピーターさんご自身から連絡があるまで、しばらくそっとしておくことにしました。

6月15日の夜のことです。一緒にクロ現+の制作に携わっていた仲間から、驚きの連絡が入りました。フェイスブックにピーターさんが亡くなったと書かれているというのです。

もし本当にお亡くなりになったとすれば、残された伴侶のフランシスさんはどれだけ深い悲しみに陥っていることか。情報の確認も合わせ、仲間と連名で送ったメールに、フランシスさんはすぐさま以下のような返信をくださいました。

Dear Toshifumi,

Thank you so very much for your kind words.

It is a terrible thought to imagine a future without Peter being in it. But I must try.

Peter is now at peace, and no longer has to battle with that cruel disease.

Very Best Regards

Francis Scott-Morgan

(日本語訳)

利文さん

暖かいお言葉をいただき、本当にありがとうございます。

ピーターがいない未来を生きるなんて、想像するだけで恐ろしいことです。

でも、私は頑張ろうと思います。

ピーターはようやく平安を得ました。もう、あの残酷な病と闘わなくていいのです。

心から敬意を込めて

フランシス・スコット-モーガン

フランシスさんに、いただいたメッセージをピーターさんの訃報とともにクロ現のホームページで紹介させていただいてもよいかたずねたところ、ご快諾いただいた上、日本の皆さんへも、以下のようなメッセージをくださいました。

Good Morning Toshifumi,

Yes please share with whom ever you wish to.

Being on your program was a great honour for Peter and me. He spoke of it often and felt a great respect for the Japanese people.

One of his big regrets was that he never got the opportunity to visit Japan and experience the kindness of the people first hand. I will always be grateful for the opportunity you gave us to be on your program and share our story. so please send my dearest love and gratitude to all at NHK and everyone in Japan.

Warmest Regards

Francis Scott-Morgan

(日本語訳)

利文さん、おはようございます。

もちろんメールはシェアしてもらって結構です。

あなたの番組に出演できたことは、ピーターと私にとって、大変光栄なことでした。

ピーターはあの番組についてよく語っていました。そして、日本の皆さんのことを心から尊敬していました。

ピーターにとって、もっとも残念なことの一つは、日本を訪れ、日本の皆さんの思いやりの心に直接触れる機会を得られなかったことです。私は、番組に出演するチャンスをいただいたこと、そして私たちの物語を取り上げてくださったことをこれからもずっと感謝します。NHKの皆さん、そして日本のすべての皆さんに、私からの深い親愛の情と感謝を伝えていただければと思います。

温かい気持ちと敬意を込めて

フランシス・スコット-モーガン

クロ現+にご出演いただいた際、フランシスさんは「ピーターの肉体が滅んで、ピーターの記憶を移植されたAIだけが残ったとしても、私はそのAIを愛します」と話されていました。

ピーターさんとフランシスさんは、この上ない愛情で結ばれた、本当に美しいカップルでした。それだけに、フランシスさんのいまのお気持ちは私などの想像をはるかに超えた悲しみに覆われていることでしょう。

それにもかかわらず、ピーターさんを失った直後に、これだけのメッセージを送ってくださったフランシスさんに心からの敬意と感謝を表したいと思います。本当にありがとうございます。

重ねて、哀悼の意を表するとともに、ピーターさんの遺志が何らかの形で受け継がれていくこと、そして、フランシスさんの心身とものご健康を心からお祈りいたします。

NHK エグゼクティブ・ディレクター 片岡 利文

ピーターさんの出演番組

クローズアップ現代+ ピーター2.0 サイボーグとして生きる 2021年11月24日(水)放送

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