ChatGPTでクロ現のイメージソング、作ってみた

NHK
2023年4月11日 午後4:08 公開

いま世界で話題の、対話型AI 「ChatGPT(チャットGPT)」。

質問を入力するだけで、まるで人間のような回答が返ってきます。

このAIを使えば、クローズアップ現代のイメージソングを作ることもできるのではないか?

そう考え、ディレクターがChatGPTを使って、作詞・作曲に挑戦しました。

(クローズアップ現代 ChatGPT取材班 池田周平)

作詞・ChatGPT

ChatGPTで作詞・作曲に挑む

まず手をつけたのは、歌詞づくりです。

ChatGPTに、「クローズアップ現代という報道番組のイメージソングを作って。」とお願いしてみると、ものの数秒で、次のような歌詞を提案してくれました。

ChatGPTとのやりとり

【実際に出力された歌詞】

瞬く間に過ぎ去る時の中で

真実を見抜く 力が求められる

誰が正しいかも分からない時代

ただただ混沌(こんとん)とした世界で

クローズアップ現代

光を当てる 闇を暴く

真実の声を聞かせて

誰もが見ている 今を映し出す

驚くべきは、クローズアップ現代という番組の内容について、詳細は何も教えていないこと。

にも関わらず、この出来ばえです。

報道番組であるという情報や、番組名などから、番組のコンセプトを察したのでしょうか?

様々な情報にあふれかえる現代、真実を見抜いてお伝えしたいという番組のコンセプトを見事に表現しています。

ちなみに、この歌詞をもとに、曲のタイトルもつけるようChatGPTにお願いしてみると、『真実の探求者』というタイトルまで提案してくれました。

作詞だけじゃない…作曲までできちゃう!?

これだけの歌詞を作れるのなら、もしかして作曲もできるのではないか?

そこで、ディレクターはChatGPTに作曲もお願いしてみることにしました。

先ほどの歌詞に合わせて、コード進行とメロディを提案してもらったのです。

出てきた回答がこちら。

メロディとコードについての実際のChatGPTとのやりとり

【実際に出力されたコード進行とメロディ】

コード進行:|Am|Fmaj7|Dm|G|C|E7|F|G|

メロディ:  瞬く間に過ぎ去る時の中で (A B C B A G F E)

真実を見抜く 力が求められる (A B C B A G A G)

誰が正しいかも分からない時代 (A B C B A G F E)

ただただ混沌とした世界で (A B C B A G A G)

クローズアップ現代 (E F# G F# E D C B)

※注) ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ドは、C・D・E・F・G・A・B・Cで表現される

このように、非常にシンプルな曲ではありますが、

歌詞に合わせてコード進行とメロディを提案してくれました。

これを、作曲ソフトに入れて、実際の曲に仕上げてみたのがこちらの曲です。

(※注 歌唱はSynthesizer V 弦巻マキ)

シンプルながらも、耳に残って離れない、独特の曲に仕上がりました。

いったい、ChatGPTはどこまでイメージして作ってくれたのでしょうか?

ただし、人間によるブラッシュアップは不可欠

今回作ってみて分かったのが、大きな可能性を感じる一方、ChatGPTが提案したものをそのまま使うだけではダメということでした。

当初ChatGPTが提案してくれたコード進行とメロディをそのまま使って作った曲は、いまひとつサビでの盛り上がりに欠けたり、歌詞に合っていなかったりした部分もあったのです。

ですがそのたびに、ディレクターが「もう少しサビは盛り上げるようなメロディにして」などと、ChatGPTに指示を出し、よりよいものに仕上げていきました。

ディレクターによる指示

他にも、曲の途中で「Ah~」という歌詞が入りますが、実はこれは、ディレクターが後から足したものです。

ChatGPTが提案してくれたメロディに対して、歌詞が足らなかった部分があり、そこは人間の手で補うことにしたのです。

実は、最初に提案された楽曲のタイトルも、現在のものとは異なっていました。

そのタイトルは、既存のコンテンツとの類似性があったため、新しいタイトルを考えてもらったのです。

その際に、「もっとかっこいいタイトルがいい」とか、「番組のテーマに沿ったタイトルを希望する」といった、こちらの要望をChatGPTに伝えました。

そして最終的に、ChatGPTが提案した「真実の探求者」というタイトルを選んだのです。

AIとディレクター “二人三脚”で歩んだ曲づくり

実際の作曲風景

今回の曲作りを通して、人間とAI、“二人三脚”で作ることの大切さと面白さに気づくことができました。

自分にはないアイデアをもらえるという創作性の広がりと、AIが出してきたものをうのみにするのではなく、「こうしたい」と的確に指示を出す人間の役割。

実際に使って作ってみることで、さまざまな気づきがありました。

これからの未来、AIがますます身近なものになっていくかもしれません。

どうAIと付き合っていくべきなのか?

曲づくりを通して、AIの得意なこと・苦手なことも含めて、AIとどう付き合えばいいのか、大切なことを学んだ気がしています。

 

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