テクノロジーで変わる介護現場 最新のデジタル機器ご紹介!

NHK
2022年2月1日 午後2:51 公開

高齢化で介護現場の人手不足が深刻化する中、注目を集める介護のデジタル化。業務が効率化されるだけでなく、介護を受ける人の生活の質が改善することも分かってきています。いま介護現場では、どんなデジタル機器が活用されているのか?ご自宅での介護を楽にする便利な製品も。実際に導入されているデジタル機器を一挙ご紹介!

(クロ現+取材班)

AI搭載の介護支援ロボット

 米国で開発されたこのロボットは、世界に先駆け2021年4月から日本での導入が始まりました。特に、職員の肉体的な負担が大きい夜間の見回りで活用されているといいます。介護施設内を自律走行し、エレベーターのボタンを操作して別の階にも移動できます。

 搭載したAIによって、利用者や介護職員などの人物を特定し、床に倒れているなどの異常事態を検知すると、内蔵カメラで撮影し、介護職員のパソコンやスマートフォンに画像を送って、介助が必要なことを知らせます。さらに、手から紫外線を照射することで施設内のエレベーターや手すりの除菌を行うこともできます。

 今後は荷物を運搬したり、足腰の弱い利用者を識別し、その人が立ち上がる瞬間を検知すると職員に介助が必要なことを知らせるなど、日中のケアをサポートする機能も拡充される予定とのことです。

睡眠状態が分かるセンサー

マットレスの下に敷かれたセンサー

 ベッドのマットレスの下に設置したセンサーで、呼吸の状態や心拍数、寝返りなど体の動きを測定し、利用者の睡眠の深さをリアルタイムで判定。パソコンやスマートフォンに情報を転送して、確認することのできるシステムです。

パソコンのモニターに表示された利用者の睡眠状態

 これまでは主に、入院患者がよく眠れているかを確認するため、医療機関を中心に導入されてきましたが、最近は介護施設での需要も拡大しているといいます。仕様によって異なりますが、価格は1台につき約10万円程度とのことです。

排尿のタイミングを予測するセンサー

 排尿のタイミングを予測するセンサーは、500円玉より、ひと周り程度大きいサイズ。下腹部に装着し、超音波で膀胱の膨らみを検知。尿が溜まった量を測定し、トイレ介助のタイミングを知らせます。尿のたまり具合の推移がスマートフォンの画面などにグラフで表示されるため、介護をする人が、利用者の排尿傾向を把握でき、1人1人に合わせた介助を行うことができます。

たまった量が基準に達するとスマートフォンなどに通知

 介護職員からは「介助のタイミングが正確に分かるため、介助の“空振り”を防ぐことができる」といった声があがっています。利用者にとっても、最適なタイミングでトイレに行くことができるため、自立支援につながるといいます。仕様や施設の環境によって異なりますが、価格は法人向けモデルが1台につき約30万円、個人向けモデルが約5万円とのことです。

見守りセンサー

天井に設置されたセンサー

 居室の天井に取り付け、利用者の動きを分析。転倒や転落などを検知すると、前後1分間だけを自動で録画し、その映像を介護する人のスマートフォンなどに転送、介助が必要なことを知らせるセンサーです。介助が必要な時だけ録画をするため、利用者のプライバシーも守られるといいます。

スマートフォンに転送された利用者の映像

 導入している施設の介護職員は、映像があることで、「呼び出しのときに、あらかじめ何があったかを把握して準備できる」「緊急性の高さを判断して優先順位をつけて対応できる」といった利点を話していました。

布型の離床センサー

ベッドに設置した布型の離床センサー

 ベッドの上に敷いて使う布型の「離床センサー」。寝ている人がいなくなると、それを感知してWi-Fi通信で介護者のスマートフォンなどに通知し、転倒や転落を予防します。センサーは厚さ0.9mmで一般的な布と変わりなく、ベッドのシーツの下に敷いても利用者は違和感なく使用できます。漂白剤を使用して洗濯したり、アイロンがけも可能なため、清潔な状態で使用できるといいます。九州工業大学発のITベンチャー企業が開発しました。

人間の手で触るとセンサーが反応しライトが点灯

モノが置かれていてもセンサーは反応せず

 離床センサーの多くは、重さに反応するものが一般的ですが、それだと枕や本など、モノが置かれた場合にも反応してしまうことがあります。この布型センサーは人間の血液の流れに反応するため、そういった誤検知を防ぐことができるといいます。価格は1台、約3万円です。

在宅介護で活用できるデジタル機器

 ここまでご紹介したデジタル機器は、主に介護施設などで利用されるものでしたが、在宅介護をしている人が自宅で活用できるデジタル機器もあります。

見守り用 Wi-Fiカメラ

 見守りをしたい人の部屋に置いて、インターネット経由でスマートフォンと接続、離れた場所から映像を確認ができるカメラです。スピーカーを通して「声かけ」ができる機能があり、本人とやりとりすることも可能です。遠隔でズームや角度調整などのカメラ操作もできます。一般の家電量販店でも購入できます。参考価格5,500円。

人の動き・温度・明るさで家族を見守るセンサー

 センサーを置いた部屋の、人の動きや室温、部屋の明るさを感知して、異常があると離れた家族に通知します。例えば、「室温が高温になっている中で人感センサーの反応がある」という場合は熱中症の危険性があるため、家族に通知、未然に事故を防ぎます。カメラを使わないため、利用者のプライバシーも守れます。

 また、夜中のトイレの回数や起床時間の変化などの生活リズムを専用サイトで確認できるため、体調の変化に気づくきっかけにできるといいます。インターネット回線が不要なため、Wi-Fi環境が整っていない場所でも利用できます。

薬の飲み忘れを防止する服薬支援機器

 薬の飲み忘れや過剰な服薬を防ぐため、服薬時間に自動的に薬が出てくる機器です。「あさ・ひる・よる・就寝前」と一日4回分までの服薬時刻を設定して、その時間になると、音声とともに薬のケースが出てきます。薬が取り出されない場合には、スヌーズ機能により改めて音声で知らせます。

 こちらの機器はすでにメーカー生産は終了していますが、一部の介護用品の事業所でレンタルすることは可能です。

計測記録をデータ化し家族が共有できるシステム

 利用者の体温、血圧などのバイタル記録と、部屋の音や明るさ、ドアの開け閉めの状況などをデータ化し、離れて暮らす家族が共有できるシステムです。体温計や血圧計を使う度に、自動でその情報が記録されグラフ化まで行います。バイタル記録をグラフで確認することで体調の変化にも早期に気づくことができます。

 また、部屋に設置したセンサーに連動させることで、日々の「室温」「湿度」「明るさ」「音」を検知して記録していきます。それにより、普段の生活のリズムを継続的に把握できます。例えば「24時間電気が点いていない」など、異変があれば家族に通知が届くように設定することも可能です。

介護のデジタル化に関する相談窓口

 介護ロボットの導入や活用等によるデジタル化に関して、介護施設からの相談受付を行う窓口です。導入方法や活用方法に関する相談、業務の改善方法や導入事例、機器の情報、補助金などについてのアドバイスを受けられます。現在、全国に14カ所の窓口が設置されています。

「介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム 相談窓口の紹介」 (※NHKサイトを離れます)※別タブで開きます

介護のデジタル化に関する情報サイト

●厚生労働省のサイト

「介護ロボットの開発・普及の促進」 (※NHKサイトを離れます)※別タブで開きます

「介護現場におけるICTの利用促進」 (※NHKサイトを離れます)※別タブで開きます

●「介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム」

 厚生労働省の「介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム事業」のサイトです。デジタル化について相談したい介護事業者のための相談窓口や、介護ロボットなどを開発する企業を支援する「リビングラボ」の情報、介護機器の導入や開発に関する助成制度の情報などが掲載されています。

「介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム」 (※NHKサイトを離れます)※別タブで開きます

【関連番組】

クローズアップ現代プラス「最新技術で老後は安心!? ”デジタル介護”最前線」2022年2月1日放送 ※放送後1週間見逃し配信