若い世代の移住 増減マップ

NHK
2022年8月3日 午後3:00 公開

現在20代後半から30代の若い世代が、2020年までの5年間にどのように移動しているかを市区町村ごとにマッピングしてみると、人口減少が著しいはずの「過疎地域」にある800程の市町村のうち、何と半数近くで若い世代の転入が転出を上回っていることが分かりました。そこで、全国の増減マップと若い世代の移住が増えている市区町村を500位まで紹介します。また、データの作成にあたった「持続可能な地域社会総合研究所」の藤山浩所長にデータを読み解いていただきました。

(クローズアップ現代取材班)

若い世代の移住 増減マップ(全国)

若い世代の移住 増加マップ(過疎地のみ)

※この地図は、若い世代の移住の増減について、コーホート増減率で示した地図です。コーホートとは、同じ期間に生まれた人たちのことです。2015年の国勢調査での20歳から34歳は、2020年には25歳から39歳になるわけですが、この世代が各市区町村で、5年間に転入・転出の差し引きでどれだけ増減したかを、この地図は表しています。2015年から2020年の間に、転入した人が転出した人よりも多い自治体は赤になり、転出した人の多い自治体は、青になります。

若い世代の移住増 市区町村ランキング(トップ500)

データの作成にあたられた「持続可能な地域社会総合研究所」の藤山浩所長にデータを読み解いていただきました。

藤山浩さん

持続可能な地域社会総合研究所

―――このランキングから、どんなことが分かるでしょうか?

過疎地域で、若い世代の移住が目立つようになったのは、2010年代に入ってからです。リーマンショックや東日本大震災、福島第一原発事故などがきっかけとなっています。2015年と2020年の比較では、800余りある過疎地域の市町村のうち、およそ半数で現在の25歳~39歳の若い世代が流入超過となっています。

このランキングを見ても分かるように、若い、子育て世代が増えている自治体には、明確な傾向が見られます。ひとつは、都心回帰です。例えば、東京の真ん中の中央区、千代田区、品川区、渋谷区などに若い世代が移動しています。

もう一つの大きな流れが、過疎自治体への田園回帰です。この流れにも、大きく二つの傾向があり、一つは、リゾートや観光に力を入れている自然豊かな町や村もう一つは、一見人を惹きつけるものが特に見当たらないように見える離島や山間の小さな町や村に、若い世代が増えています。こうした過疎地域に、なぜ若い世代が増えているのか、各自治体の実情を今、調べているところですが、今回の番組で取り上げた福島県昭和村(25位)のように、移住者が増えている地域には、共通点があるように感じます。

まず、「誰でもよいから来てくれ」という地域には移住者は行かないものです。受け入れる側の市町村が、都会からの「借り物の豊かさ」ではなく、自分たちの地域の戦略を立て、こんな人に来てほしいと打ち出すことが大切です。昔からの住民と移住者を結んで、自然の生態系のように多様なつながりを育ててほしいと思います。やはり、移住先で自分が新たに取り組むことが誰かを幸せにしているという実感を持つことができる地域が選ばれています。今の若い世代は、競争よりも共生を志向していますから。

―――若者の過疎地域への移住は、日本の社会にどんな影響を与えていくと考えられますか?

実は、世界の先進国で、相変わらず一極集中が続き、地方の人口が極端に減って困っている国は、日本くらいです。ヨーロッパでは20~30年前から田園回帰の傾向が見られます。

これからは、日本も、真剣に脱炭素で循環型の社会へ進化していく時代。その先端を切り開くのは、再生可能な資源やエネルギーに恵まれた過疎地域です。そこで、若者たちが、持続可能な暮らしのフロンティアに挑むことを期待しています。

【あわせて読む】

👉 移住 新時代 ~過疎地を選ぶ若者たち~

【関連番組】

クローズアップ現代 2022年8月3日放送

👉 移住新時代 過疎地域にチャンスあり ※8月10日まで見逃し配信