地域の名産品が並び、様々な施設が併設されるなど、年々魅力的になってきたサービスエリア。その一方で、かつてはおよそ50キロ間隔で整備されることになっていたガソリンスタンドが、今では150キロ以上にわたり存在しない区間があるといいます。実際にガソリンスタンドがない区間はどこなのか?地図にまとめました。
(クローズアップ現代 取材班)
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そもそもサービスエリアの役割とは?
みなさん、「サービスエリア」と「パーキングエリア」の違いってどこにあると思いますか?現在ではその区分はあいまいですが、かつてははっきりとした区分がありました。
2015年、日本初の高速道路である名神高速道路が開通して50年を記念してNEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本および(公財)高速道路調査会がまとめた『高速道路50年のあゆみ』によると、当初、高速道路では、“概ね 50km 間隔でサービスエリアを、15〜25km 間隔でパーキングエリアが設置”され、特にサービスエリアについては、“各サービスエリアに食堂、給油所および修理所を設置する方針 ”と規定されていました。
“駐車場、トイレ、水飲み場だけの簡単な施設”とパーキングエリアが想定されていたのに対し、“給油所があること”がサービスエリアの原理原則だったのです。
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サービスエリアからガソリンスタンドが撤退!?
ところが2000年代、サービスエリアからガソリンスタンドの撤退が相次ぎました。
原因の一つは、21世紀に入ってからの、ガソリン価格の高騰です。もともと、高速道路のガソリンスタンドは上限価格が設定されており、高騰を防ぐ仕組みがありました。閉鎖的な高速道路という環境で、不当に高価格で販売することを防ぐためです。
しかし、2005年前後から、日本国内のガソリン価格が大幅に高騰。一般道のガソリンスタンドがどんどん値上げをするのに、高速道路のガソリンスタンドは値上げができず、撤退するスタンドが増加しました。その結果、2008年の上限価格制度撤廃後も、一度撤退した区域にはガソリンスタンドが戻ってこないという状況に追い込まれたのです。
サービスエリアにガソリンスタンドがない、もしくはサービスエリア自体が無いという状況は、現在も続いています。
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150キロに渡ってガソリンスタンドがない区間はこちら
では、実際に長距離に渡ってガソリンスタンドがない区間はどこなのか?高速道路上で特に長距離にわたってガソリンスタンドが無い8区間をまとめたのが、以下のマップです。
<高速道路上で150キロ以上ガソリンスタンドがない区間8箇所>
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由仁〜足寄 175km 道東道
西紀〜南条162km 舞鶴若狭道ー北陸道
西紀〜賤ヶ岳156km 舞鶴若狭道ー北陸道
岩手山〜青森東 155km(下り)東北道―青森道
磐梯山〜荒川胎内 154km(下り) 磐越道ー日本海東北道
吉野川〜淡路 150km 徳島道ー高松道ー神戸淡路鳴門道
ひるがの高原〜有磯海150km 東海北陸道ー北陸道
今川〜山田 150km 東九州道ー大分道
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以上の区間では、150キロ以上に渡ってガソリンスタンドが設置されていません。なお石田東生筑波大学名誉教授の調べによると、これ以外に100キロ以上ガソリンスタンドがない区間は現在全国に40箇所以上あるといいます。
なお高速道路で「ガス欠」で停車をすると、交通違反で取り締まられる可能性もあります。道路交通法第75条の10(自動車の運転者の遵守事項)高速自動車国道等運転者遵守事項違反となり、検挙された場合は違反点数2点と反則金が徴収されるのです。
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ガソリンスタンド不在問題 対策は?
こうした事態に対し、高速道路を運営するNEXCOはガソリンスタンドのないサービスエリアで緊急対応としてガソリン缶を販売するなどの対応をしてきましたが、2010年代から「路外給油サービス社会実験」を実施しています。
高速道路上での燃料切れ防止を目的として、インターチェンジで一時流出し、周辺にある一般道の指定ガソリンスタンドで給油をおこない、再度、インターチェンジから限られた時間内に流入した場合、「乗り直し料金」を取らないという実験です。(ETC車限定)
近い将来には、ガソリン車のみならず、電気自動車など「新しい燃料」で動く自動車の普及も予想されています。便利で事故がない高速道路にするにはどうすればよいか?対策が求められています。
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