新型コロナウイルスの感染を防ぐためには、正しい換気を行い、空気中に漂うウイルスを減らすことが大切です。公益社団法人 空気調和・衛生工学会の柳宇教授(工学院大学)に家庭でできる方法を伺いました。
柳宇教授(工学院大学)
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Q.感染を防ぐ方法は?
柳教授:「1時間に1回、2、3分程度、対面の窓を開けて空気を入れ替えるのがベストです。1時間に4回換気すれば、全く換気しない場合に比べて、呼吸器系の病気にかかる割合が最大5分の1程度に減るという研究結果もあります」
もうすぐ夏本番。暑い時期にこれだけ頻繁に換気をするのは難しいのではと尋ねると、ほかにも有効だという3つのテクニックを教えてくれました。
テクニック① こぶし1個分の隙間で換気
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柳教授:「夏にできる感染対策としては、窓をこぶし1個分開けておき、その隙間に向けて扇風機の風を送る方法があります」
扇風機やサーキュレーターを外に向け、室内の空気を排出することで、外の新鮮な空気が流れ込むようになり、効率よく空気を循環させることができるといいます。
柳教授:「こぶし1個分程度の隙間なら、室温もそれほど高くはなりません」
なるほど。でも、窓を開けられない場合や窓のない場所ではどうしたらいいのでしょうか。
テクニック② 空気清浄機で「撹拌(かくはん)」「こし取る」
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柳教授:「窓を開けられない場合は、空気清浄機を使います。室内の空気を撹拌してウイルス濃度を薄める効果と、フィルターでウイルスをこし取る効果が期待できます」
厚生労働省は、空気清浄機を使う際の注意点を挙げています。
空気清浄機は、HEPA(ヘパ)フィルターによる「ろ過式」で、かつ、風量が毎分5立方メートル以上のものを使用すること。
人の居場所から10平方メートル(6畳)程度の範囲内に空気清浄機を設置すること。
HEPAフィルターは、「JIS規格」で認証されているもので、マイクロ飛まつ程度の大きさの粒子であれば、99.97%以上こし取ることができるとされています。現在、市販されている空気清浄機に広く使われています。家電量販店やネット通販などで、フィルターのみを購入することもできます。
テクニック③ 意外に効果あり「エアコン」
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柳教授:「あまり知られていませんが、実は、エアコンの使用もウイルスに感染するリスクを減らすことができます。一般的なエアコンに使われているフィルターでも、人の呼吸で空気中に吐き出されたウイルスなら、85~90%はこし取ることができます」
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普段使っているエアコンにもウイルスを減らす効果があるとは意外でした。扇風機や空気清浄機なども上手に使って、夏場の感染対策を行ってください。