“宗教2世”問題にどう対応?旧統一教会側の回答

NHK
2022年9月5日 午後5:49 公開

安倍元総理大臣銃撃事件の後、「世界平和統一家庭連合」・旧統一教会の信者の子どもたち、いわゆる「宗教2世」が相次いで声を上げています。2世やその家族を取材すると、いまなお高額な献金による貧困や社会からの孤立、恋愛・結婚の自由がないなど、切実な訴えを口にしました。

取材から見えてきた2世らの悲痛な声を旧統一教会はどう受け止めているのか?

クローズアップ現代の取材から見えてきた実態と、それに対する教会の回答、その詳細です。


 

◆献金について

多くの2世が訴えたのが今も続く高額の献金の問題。

18歳の頃、将来のためにアルバイトで貯めていたお金を、母親が引き出し、無断で献金していたという2世。

両親の収入は月20万円ほどで、 生活に余裕はないにも関わらず、教会から183万円の献金を求められた家庭。

さらに、母親が1億円を超える献金を続けていると訴える声もありました。

  

質問)信者家庭の経済力に比べて高額の献金が組織的に求められている実態が、現在も続いていることが取材で明らかになりました。どのように受け止めますか。

 

教会の回答)

一世(親)が熱心に教会活動に勤しむ中で、親子での対話の時間が減り、二世(子供)たちが物心共に負担を強いられる場合があったことを痛感しております。

当法人信者が行った商取引等が社会問題となった2009年以後は、全国の教会および信徒に対して「コンプライアンス宣言」を周知し、法令遵守の組織運営を徹底して参りましたので、過去10年の間に、当法人に関わる深刻なトラブルが発生したという事実は把握しておりません。

現在当法人では、全国の教会に対して、信徒が収入に比して過大な献金を捧げることで、生活上の負担が生じることが起こらないよう指導しております。

また、信徒とその家庭に対しては、各種奨学金制度(教育奨学金、生活福祉奨学金)を設立し、円滑な家庭生活と二世の教育および進学に対して、最大限のフォローアップがおこなえるよう努めております

 

高額な献金を親が続ける苦しみを訴える2世たちと、教会の回答の間には大きな隔たりがありました。

  

◆祝福結婚について

さらに、教義に基づいて行う「祝福結婚式」(かつては合同結婚式とよばれた)によって結婚した夫婦の間に生まれ、その後の苦しみを語る2世も少なくありませんでした。

20代(女性)の2世は、教会の信者の両親の元に生まれましたが、夫婦の仲が悪く、その原因は、教会の合同結婚式だと感じていると、取材班に訴えました。

「両親はお付き合いの期間もなく、お互いがどんな人か知らずに、結婚しました。私が小さい時から、両親はずっと喧嘩していたり、怒鳴っていたり…。家にいるのが恐怖で、夜中に一人家を出て、公園でブランコをこいだりすることもありました。地獄ですよね。合同結婚式で両親が出会わなかったら、お互い別の人を見つけて、もう少しいい家庭を築いていたのかな、と考えることもあります」

 

質問)信者2世から「親が教義に基づいて結婚相手を決め、自分で選ぶことができなかった」という声が相次いでいます。面識のない相手と結婚した結果、価値観が合わずに離婚するなど、結婚生活で苦しみを抱えたという2世の訴えをどのように受け止めますか。

 

教会の回答)

「世界平和統一家庭連合が毎年開催する祝福結婚式は、「神様のもとの人類一家族世界」を誓い合う全世界からの参加者が一堂に会し、合同結婚式のスタイルで行われてきました。

未婚の青年男女の祝福結婚は、2012年に教祖である文鮮明師が逝去されるまでは、祝福結婚を希望する者が配偶者の推薦を受けるに際し、主に文鮮明師・韓鶴子総裁ご夫妻に委ねる形で行われて来ましたが、その推薦を受けるか否かは、その本人の自由に任されており、強制されることはありませんでした。

文鮮明師が逝去されて以降は、生前の文師の指導に従い、親の推薦や「マッチングサポーター」等によるお見合い形式に変化して来ました。それに伴い、二世の祝福結婚に際しては、祝福結婚を望む二世の親が御相手を子供に紹介する形となり、先ず、親同士が子弟の御相手を探すことからスタートし、親同士が話し合い、両家ともに相応しいと認め合えば、各々の子弟(二世)を引き合わせることになります。そして、双方の子弟(二世)がお見合いの場で交流することを望んだ場合、そこから平均して半年から1年の交流期間を経て、祝福結婚式への参加を決定していく形になります。

以上のようなマッチング制度への移行により、「面識のない相手と結婚した結果、価値観が合わずに離婚する」といったことがあるとは、当法人は認識しておりません」

 

両親が祝福結婚式で出会い、価値観が合わずに離婚したという声も聞いた取材班。その認識と教会の回答にも大きな隔たりがあります。

  

◆子の人権について

さらに取材からは、2世として生まれたことで、進学や就職、恋愛、結婚などの自由が失われたという声も多く聞かれました。

  

質問)親の信仰によって信者の子どもたちの信仰や、進学・就職、恋愛・結婚などの自由が失われていることは、人権侵害にあたるという指摘があることについて、どのように考えますか。

 

教会の回答)

「日本国憲法で定められた「信教の自由」はすべての日本国民に認められた権利であり、当法人二世においても完全に保障されています。

その観点から当法人では信仰継承の問題について、二世本人の意思を尊重し、その自由が最大限に守られるよう配慮しております。

そのため、当法人の一世(親)は二世(我が子)が信仰の本質とその大切さを悟り、強制ではなく、喜んで信仰継承を受け入れられるよう努めております。家庭に於ける日々の生活の中で、神様の存在を伝え、神の愛を実践しながら、親は我が子のために あらゆる場面で人生の模範となれるよう日々精進しております」

  

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