NATOの武器供与拡大 ロシアの反発
これまでNATO加盟国は戦況に応じて、様々な兵器をウクライナに支援してきました。
侵攻開始から1か月ほどがたった3月中旬の時点では、「スティンガー」や「ジャベリン」といった「携行型」の対空・対戦車ミサイルが供与されていました。

首都キーウなどでの市街戦においてウクライナはロシア側の戦車などを待ち伏せし、携行型兵器で攻撃。これが極めて効果的だったとみられています。
今も激しい攻防が続く東部地域で繰り広げられているのは、市街戦とは全く異なる、開けた場所での地上戦です。

各国が供与する武器は、戦場の変化と歩調を合わせるように、およそ30キロの射程があるりゅう弾砲や、自爆型のドローンが増加。アメリカは5月31日、長射程の高機動ロケット砲システム「ハイマース」を新たに供与することを明らかにしました。
さらにNATOの軍用機などの偵察によって得た情報は、ウクライナ軍へ送られ、ロシアの旗艦の破壊につながったと見られています。
こうしたNATO加盟国による支援に対し、ロシアは反発を強めています。
プーチン大統領は5月28日、欧米諸国の武器供与について、「事態のさらなる不安定化と人道危機の悪化を招く」と警告。核の使用もちらつかせながら、けん制を繰り返しています。
米露の専門家は危機感
ロシアの安全保障の専門家、セルゲイ・オズノビーシェフ氏は、事態がエスカレートするリスクについてこう指摘します
「どんな紛争でもそれがエスカレートすれば、故意であろうとなかろうと核兵器の使用に至る可能性はあります。他に方法がない、脅しなどの手段として核兵器を使用する可能性があるのです」
元CIA(アメリカ中央情報局)のロシア分析責任者、ジョージ・ビービ氏が指摘するのは、NATO加盟国によるウクライナ支援をロシアがどこまで許容するのか、あやふやなまま突き進むことの危険性です。
「ロシアがどの程度まで許容するのか、その限界線を見定めようとしています。しかし、私たちが一歩間違えば、取り返しがつかない状況に陥りかねません。ロシアがNATOと対立した場合、ロシアは早期に核戦力に頼らざるを得なくなるでしょう。戦闘が長引けば長引くほど、その可能性は高くなると思います。」

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