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目指せ!世界標準のバリアフリー

NHK
2021年9月8日 午後4:54 公開

 東京オリンピック・パラリンピックを契機に、急ピッチで進められてきた日本のバリアフリー整備。エレベーターやホームドアといったハード面の進歩と共に大きなひろがりを見せているのが、IT技術を活用したバリアフリーです。

 その一つが、今年1月に東京メトロの一部の駅で導入された「shikAI」というサービス。点字ブロックを頼りに歩く視覚障害者たちの移動をサポートするために、都内のIT企業が開発しました。点字ブロックの中に貼られたQRコードを専用アプリで読み取ることで、改札やトイレなどの目的地まで音声案内してくれます。

 このアプリを使用している視覚障害者の方々に取材したところ、「初めて行く駅や乗り換えが複雑な駅だと駅員さんに案内をお願いしないといけなかったが、このアプリのおかげで1人で移動しやすくなった」「トイレの場所がわからないとき、本当は同性の方に場所を尋ねたいが、周りを見渡して人を探すことが私にはできません。このアプリがあればトイレに一人で迷わず行けるのでありがたい」など、1人で移動できることの喜びを感じている方が多い印象を受けました。

 このサービスが導入されているのは、東京メトロの「明治神宮前(原宿)」「北参道」「西早稲田」「新木場」「辰巳」「東池袋」「護国寺」「豊洲」「外苑前」の9駅。また、東池袋駅~豊島区役所間、東池袋駅~中央図書館間でも運用を開始しています。アプリ開発者の小西祐一さんは、まずはこれらの場所で実用性を確かめ、今後さらに多くのエリアで使えるようにしていきたいと考えています。

 アプリは現在、iPhone専用となっています。また、このサービスを利用できるのは視覚障害のある方に限られています。

▶ 「shikAI(シカイ)」 リンクス株式会社  (※NHKサイトを離れます)

IT技術を活用したバリアフリー

 こうしたアプリやIT技術を活用したバリアフリーの取り組みは、他にも多様なものが始まっています。商業施設や商店街、公共交通機関などさまざまな場所での使用を目指して開発中の「袖縁(そでえん)」というアプリは、車いす利用者や視覚・聴覚障害者といった当事者の方と、店員やスタッフなど支援を提供する側とをつなげるサービスです。

 このアプリの特長は、自分の障害やどんな配慮を求めているかについて、あらかじめ記入しておけること。「車いすを突然押されると怖いので、押す前にひと声かけてください」「耳が聞こえないので筆談でお願いします」などの要望を、支援の依頼と共に店員やスタッフに送信することで、よりきめ細やかなサービスを受けることができます。同時に、サービスを提供する側にとっても、「どう手助けすればいいんだろう」「余計なおせっかいにならないだろうか」といったことに悩まずに済みます。

 内閣府が今年公表した意識調査によると、障害がある方の手助けをしたいと思わない理由として、最も多いのは「かえって相手の迷惑になるといやだから(43.8%)」、次に多いのは「手助けをしたくても対応方法がわからないから(23.6%)」でした。

 アプリ開発者の友枝敦さんは、このアプリを使って障害のある人とない人を結びつけることで、障害に対する無理解や偏見を乗り越え、“心のバリアフリー”をひろげていくことができればと考えています。

※アプリは今年度末にリリース予定

▶ 「袖縁(そでえん)」株式会社 袖縁  (※NHKサイトを離れます)

 こうしたIT技術を活用したバリアフリーについて、他にも一部を紹介します。

● らくらくおでかけネット 

 障害者や高齢者が公共交通機関をよりスムーズに利用できるようにするため、全国の駅やターミナルのバリアフリー整備状況や、乗り換え案内などのバリアフリー情報を提供しています。

▶ 「らくらくおでかけネット」公益財団法人 交通エコロジー・モビリティ財団  (※NHKサイトを離れます)

● WheeLog!(ウィーログ)

 車いすで通れるルートや、利用できるトイレ・施設などを見ることができるバリアフリーマップです。そうしたバリアフリー情報を見るだけでなく、自ら投稿することもできます。

▶ 「WheeLog!(ウィーログ)」一般社団法人WheeLog  (※NHKサイトを離れます)

 誰もがより快適に生きていける社会を目指して、多くの開発者たちが試行錯誤を繰り返しています。そして、もし身近に困っている人がいたら、こうしたアプリがあることを教えてあげることも、私たちにできる心のバリアフリーではないでしょうか。そうして皆で、より良い共生社会を目指せればと思います。