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気づいていました?コロナ禍の“駅”の変化

NHK
2021年10月13日 午後0:22 公開

緊急事態宣言が解除され、気をつけながら徐々に取材に出かけられるようになった10月、私は日本各地の駅のある変化に気づきました。

駅の切符販売窓口、減ってない?

私は取材で出張するとき最寄り駅の切符販売窓口を利用することが多いのですが、窓口があるはずの場所にない、ということが何度かあったのです。

気になって調べてみると、私たちにとって身近な「駅」に、コロナ禍で大きな変化が起きていることがわかってきました。

(クロ現プラス 取材班)

地域によっては7割削減! コロナ禍で減った「みどりの窓口」

実は、JRでは今後数年をかけて、乗車券類を販売する「みどりの窓口」を大幅に削減する予定だといいます(JR東海・JR九州を除く)。

JR東日本は2025年までに7割を削減、JR西日本も2030年度までに6割強を削減すると発表しています。

その大きな理由はコロナ禍による経営状況の悪化です。JRでは以前から将来の人口減少を見据えて、みどりの窓口などの見直しを進めていましたが、コロナ禍がその流れを大きく加速させました。

窓口業務にかける人件費を減らすことで経営の効率化を進めること、非接触による切符販売促進で感染症対策につなげることを目的としています。

みどりの窓口に変わって、新たに普及を広めようとしているのが新型の券売機です。

オペレーターと遠隔で会話をしながら、乗車券や定期券を購入することができます。オペレーターは、1人で複数の駅の券売機を担当するため、より効率的で安全に利用者に応対することができるといいます。

定期券売り場が意外な場所に・・・  私鉄でも進む“駅”の変革

さらに取材を進めると、駅の変革は、私鉄でも進んでいることがわかりました。

タワーマンションが建ち並ぶ川崎市、武蔵小杉駅。ここでは駅員たちのアイデアで、これまで駅に欠かせなかったある場所を廃止し、まったく別の場所に生まれ変わらせる取り組みを始めていました。

定期券売り場を改装して作った「シェアオフィス」です。料金は15分100円から。2時間半以上の場合は一律1000円だそうです。

「学生から会社員の方まで幅広い年代の方が利用してくれています。数時間以上の利用もたびたびあるんですよ」

そう話すのは、この取り組みを主導した駅員の1人、駅務係の岡本政美さんです。コロナ禍で利用客が激減した駅の収益を少しでも上げられないか、本社からアイデア募集の呼びかけがあったときに自ら応募しました。シェアオフィスを思いついたきっかけは、武蔵小杉駅での8年間の勤務経験から感じた町の変化だといいます。

「人気もまばらになった駅ビルで、近くにある喫茶店だけがそこそこにぎわっていたんです、多くの人が訪れて、仕事や勉強をしている様子を見て、『気分転換ができる場所がほしいんだな』と思いました」

そこで岡本さんが、設置場所として選んだのが定期券売り場でした。

「コロナ禍で定期の売り上げが前年比で3割以上減っていました。人もほとんど訪れないのであまり利用されていなかったんです。それに最近の券売機は定期券も購入できるようになっているので、利用者にとってそれほど大きな負担はかからないだろうと思いました」

岡本さんたちの提案を受け、この大手私鉄では今夏から3か所にシェアオフィスを設置しました。サテライトオフィスの利用者は徐々に増え、武蔵小杉駅では1日に10人ほどが利用しているといいます。

鉄道会社の活路は 不動産にあり?

実はこうした駅のスペースを生かした取り組みは鉄道業界で大きな注目を集めています。もともと大手の鉄道会社は、駅周辺を中心に不動産事業を営んでいることが多いのですが、コロナ禍でそうした事業の安定性がより明らかになったためです。

コロナ禍の直撃を受けた鉄道各社の20年度の決算では、JR各社で合計1兆円以上、大手私鉄各社で合わせて4800億円以上と、巨額の赤字を計上しました。

しかし、その内訳をよく見ると、交通事業やホテル事業が前年比約30~60%と大幅な減収を記録する一方で、マンション販売やオフィスの賃貸などを中心とする不動産事業の落ち込みは前年比約10%と比較的小幅でした。会社によっては前年比を上回る売り上げを記録したところもあります。

そのため鉄道各社は、中期経営計画などに不動産事業の強化を強く打ち出すようになっています。JR東日本は不動産ファンド専門の子会社を設立し、1000億円規模の不動産投資を行う計画を立てています。

他にも、東京メトロは今年5月、赤羽岩淵駅の出口最寄りに日本初の「eスポーツジム」をオープンしました。eスポーツのプロ選手から指導を受けられる本格的なものですが、車いすの方でも利用できるよう店内にスロープを設けられるなど、障害のある方も含めた様々な人に利用されることを狙った施設となっています。

これから駅を訪れたら意外な変化が見つかるかも…この記事を読まれた皆さんも、ぜひ探してみてください。