「はやいのがイチバン!…じゃないの?」

NHK
2022年11月14日 午前10:00 公開

監修: 東京大学 汐見稔幸(教育学・教育人間学・育児学) 和光小学校・和光幼稚園 北山ひと美(性教育)

【ねらい】 見方を変えればいろんな“イチバン”が見えてくる。自分がイチバン大事だと思う尺度と異なる尺度があることを知ろう。 自分にとってのイチバンは大切だけど、他の人にとってのイチバンも認めよう。

・イチバンにはいろいろな尺度のイチバンがある。
・自分のイチバンを認めてもらうとうれしいように、相手もイチバンを認めてもらうとうれしい。
・イチバンになりたいと思う気持ち、イチバンになるためにがんばることを大切にしよう。

東京大学 汐見稔幸さんからのメッセージ

■イチバンになることがイチバン偉いの?

みー:はい、またまたイッチバーン!!

パパ:今度は何?

みー:靴を履いて外に出てくる競争だよ。いやー朝からずっとイチバンだったな。

パパ:みーはなんでもテキパキやってえらいなあ。

 勝ち負けに強いこだわりを見せるのは4〜5歳の幼児期に多いと言われます。そして、このエピソードでも5歳のみーは、早く起きてトイレに行く、早く顔を洗う、早く家を出る、早く公園に着く・・・など、何でも早くやってイチバンになって得意になっていますね。そんなみーを、パパは「みーは何でもてきぱきやってえらいなあ」と褒めています。イチバンになるということはつまり、何かをできるようになったことの証しでもあり、自分がやろうと思って、うまくできるように努力した、ということでもあります。それを認めてあげることは、こどもたちの自己肯定感を育むことにもつながります。しかし、「何でも早くやることがイチバン」「イチバンになるのが偉い」ということではないので、なぜほめているのか、丁寧に理由を説明してあげましょう。

■見方を変えると、いろんなイチバンが見えてくる

おねえさん:続いて、この中でイチバン高いお城を作ったのは?ひーでしたー!

みー:たしかに、イチバン高いお城は、ひーのお城だな。

おねえさん:続いて、この中でイチバンカラフルなお城を作ったのは?しーでしたー!

みー:たしかに、イチバンカラフルなお城は、しーのお城だな。    そうか!同じつみきのお城でも、見方を変えればみんなイチバンなのか!

みーが早いのがいちばん!と思い込んでいたように、未就学児のこどもにとって
・自分とはちがう尺度
・自分とはちがう良さ
に気づくのはむずかしいものです。
また、気付いていても、「自分がイチバン」という事実に固執してしまうこともあるかもしれません。

そんなときは、そのこと自体は「すごいね」とうけとめつつ、ぜひ、生活の中で、「もしかしたら、早いだけじゃなくって、〇〇ちゃんは、こういうことがいいと思っているのかもしれないよ?」などと声をかけたり、今度は、「できるだけいろんな色をつかって、お城をつくってみよう!時間はたっぷり使っていいよ」などと、尺度を変えた遊びを提案してみるなど、ぜひこどもの視界を広げる手助けをしてみてください。

 ■いろんなイチバンをみつけてみよう

めろん:うえ〜ん!!私もイチバンになりたいの!!

みー:あっ、めろんさんだけイチバンがない!    よし、めろんさんのイチバンを探そう!えーっと、うんとー、あ、はい!!    この中で、イチバンお城に見えないお城は?

イチバンになるのは誰にとってもうれしいものです。番組では「自分のつくったお城には“イチバン”がない」と大泣きをしてしまうめろんさんのために、みーはめろんさんの積み木のイチバンをさがし、見つけてあげます。みなさんも想像力を働かせて、周りの人、周りの出来事からイチバンをみつけてみましょう。見方を変えるとそれまでとは世界が違ったように見えてきます。ぜひこどもたちと楽しんでみてください。

そして、「見方を変えるといろいろなイチバンがあるんだね」、「どのイチバンもそれぞれにいいね」と声をかけてみてください。こどもたちが、自分がイチバンになることばかりに固執せず、他者のイチバンになりたい気持ちや努力を認めることは、思いやりや協調性につながっていきますよ。

イチバンはその人のいいところです。イチバンを見つけてお友だちを褒めてあげられたら、そのお友だちともっと仲良くなれます。イチバンは、仲良くなるツールにもなるんですよ。